『Dancing☆Starプリキュア』The Stage│田村升吾×滝澤諒 インタビュー

写真左から)滝澤諒、田村升吾

20周年のアニバーサリーイヤーを迎えた『プリキュア』が、初の舞台化となる。しかも、プリキュアに変身するのは男子高校生。10月28日(土)から開幕の『Dancing☆Starプリキュア』The Stageは、多くのファンにとってもまだ見たことのない『プリキュア』になりそうだ。

そんな“男子プリキュア”を演じる田村升吾と滝澤諒に今の胸の内を語ってもらった。

不安だと思うことはネガティブなことじゃない

――おふたりは『プリキュア』を観たことがありますか?

田村 僕も諒くんも妹がいて。だから、『ふたりはプリキュア』は観ていたんですよ。それまで『仮面ライダー』や戦隊ヒーローで育ってきたので、最初に観たときは女の子が戦うというテーマに驚きましたね。

滝澤 途中から女の子が主人公というのを忘れちゃうぐらいアクションシーンが激しくて。それもシンプルな体術だったんで迫力がありましたね。

田村 妹もそうだけど、女の子が戦う『プリキュア』を観てカッコいいって言っていて。女の子の思うヒーロー像が生まれたというか、革新的な作品だなっていうのは子どもながらに感じていました。

――そんな『プリキュア』を男性である自分たちが演じるというのはどういう気持ちですか?

田村 プレッシャーです。大きなプレッシャーがありますよ、僕は(笑)。

滝澤 一体どうなるのか最初は想像がつかなかったです。情報解禁のときも、ファンのみなさんが驚いているのを見て、いや僕も同じ気持ちだよって思ってました(笑)。

田村 X(旧Twitter)の日本トレンド1位になってて。

滝澤 すごいよね。

田村 それもアニメーションとか、2.5次元舞台のトレンドじゃなくて、ジャパントレンドで1位。「俺、これをやるの?やっば!」ってプレッシャーがすごかったです。それだけ反響がある作品だからこそ、いろんな声があるのはもちろんわかる。でも、新しいことをやるときにはチャレンジはつきもの。だからそこはもうプレッシャーを背負って、観に来てくださる方に素敵な思い出を持って帰っていただけるような作品をつくりたいなと覚悟を決めつつ、やっぱりドキドキしています(笑)。

――そのドキドキは、楽しみと不安、比率で言えばどんな感じでしょうか?

田村 不安7、楽しみ3です。やっぱり真ん中に立たせていただく以上、お客様からの反応をいちばん受ける立場にもなると思うので、そこはもう不安が尽きないです。

滝澤 僕は不安8、楽しみ2です。

田村 やば。俺を超えていくなって(笑)。

滝澤 最初は「本当に『プリキュア』になるの?」って、どこか信じられない気持ちだったんですよ。でも衣裳に袖を通したり、少しずつ骨組みが出来上がっていくのを見ていると、どんどん実感が湧いてきて。今は不安6、楽しみ4くらい。これを稽古に入る頃には5:5にして、本番初日には逆転できるようにしたいです。

田村 いいね。でも、僕は不安だと思うことはネガティブなことじゃないと思うんですよ。

滝澤 確かに。

田村 不安があるのは、それだけ作品やお客様へのリスペクトがある証拠。逆に不安がなくなったときの方がちょっと怖い。不安をゼロにする必要はないなと思うので、僕はいつまでも7:3でいきたいと思います(笑)!

面白いギミックで変身シーンを彩ってくれるんじゃないかな

田村升吾

――衣裳を着たときの感想を聞かせてください

田村 『Dancing☆Starプリキュア』というタイトルだけに、きっとダンスシーンがたくさん登場すると思うんですけど、きっとこの衣裳で踊ったら綺麗になびくんだろうなって。『プリキュア』のきらびやかな世界をダンスで表現できる衣裳になってるなと思いました。

滝澤 今回、5人が踊るダンスのジャンルもそれぞれ違うんですよね。

田村 そうそう。僕はヒップホップで。

滝澤 僕はロックダンス。衣裳もダンスのジャンルによって結構違いがあって。衣裳を活かす踊り方ってあると思うので、そこを追求しながらやれたら、お互いのダンスを活かせて、より各キャラクターの世界を表現できるパフォーマンスになるんじゃないかなと。

田村 ブレイクダンスとか和物とか、いろんなジャンルのダンスがあるのは面白いよね。お客さんにとっても、どのキャラを推したいかを決めるひとつの判断基準になるんじゃないかな。

滝澤 僕はずっとヒップホップをやってきたので、ロックダンスに挑戦するのは今回が初めて。でも、今っていろんなジャンルをミックスしたようなダンスが生まれてきていて、昔ほど境目があんまりない気もします。ロックという新たなジャンルからいろんな学びを得つつも、今まで自分がやってきたヒップホップの要素も違和感がないようにミックスして、キャラクターの個性にできれば。

――改めてですが、今回おふたりが演じる役はどんなキャラクターなのでしょうか?

田村 まだ1〜2割くらいしか掴めていないんですけど、僕の演じるキュアトップは主人公らしいエネルギッシュな性格。ダンスに救われた経験がある、ダンス大好きな男の子です。周りを引っ張っていくようなタイプなので、僕自身もちゃんとみんなを引っ張っていきたいですね。

滝澤 僕の演じるキュアロックは、そんなトップに常に寄り添う幼なじみ。トップが前に出る性格の分、ロックは一歩引いた位置から見守り支えるタイプ。ダンスに対しても、表には出さないけど内に熱いものをメラメラと燃やしている男の子です。

――人気投票で上位に来そうなタイプですね(笑)

滝澤 (自信満々に)そうですね。

田村 おい!

滝澤 ロックが「トップ」ですもんね。

田村 うまいこと言うな(笑)。

――おふたりは、今回が初共演ですよね。そうとは思えないくらい息がぴったりです

滝澤 今日1日、取材でずっと一緒だったんです。おかげでだいぶ打ち解けました。

――気になるのは変身シーンがどうなるかです

田村 そこは僕たちもまだわからないんですよ。

滝澤 たぶんみなさんがいちばん気になっているところだと思うんですけど。

田村 どうなるんだろうね。歌舞伎とか宝塚って早替えのスピードがすごいじゃないですか。この間観に行った舞台でも一瞬で早替えするシーンがあって、舞台ならではのマジックだなと思いましたし。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』も「これ、どうなってるの?」という仕掛けがいっぱい散りばめられていて。ああいうのを生で観たときの感動ってすごいと思うんですよ。これは僕の勝手な想像ですけど、きっと(演出の)ほさか(よう)さんなら面白いギミックで変身シーンを彩ってくれるんじゃないかなって。乞うご期待!ですね。

僕のヒーローは集英社です

――『プリキュア』はいろんな世代の女の子たちに夢を与えたヒロインですが、おふたりにとってのヒーロー/ヒロインといえば?

滝澤 僕はもうマイケル・ジャクソンです。ダンスをしている人なら、どんなジャンルであっても、必ず通るのがマイケル。僕も昔はクラシックバレエをやっていて、マイケルはバレエの人ではないんですけど、それでもよく父のパソコンでマイケルのライブ映像を流しながら、ムーンウォークの練習をしていました。初めてマイケルを知ったのは幼稚園の頃だったかな。父の趣味からの影響が強くて。家の中でも車の中でも、父が好きな音楽が常に流れているような家でした。その中にマイケルがいて、もう本当に自然とハマっていったという感じですね。

田村 ……僕のヒーローもマイケルです!

滝澤 いや、だったら今のトークにもっと乗ってこないと(笑)。

田村 ごめん、全然わからなかった(笑)。ヒーローかあ……。僕は『週刊少年ジャンプ』で育ったので、やっぱり『ジャンプ』がヒーローかなあ。『ジャンプ』を読んでいると明日も頑張ろうというエネルギーをもらえるし、『ジャンプ』の中にはなんでこんなカッコいいんだっていうようなヒーローがいっぱいいた。集英社がすごいですね。決めました、僕のヒーローは集英社です。

滝澤 なんで会社なんだよ。そこは『ジャンプ』でいいでしょ(笑)。

田村 友情努力勝利。大人になっても持ち続けたい大切なものを教えてくれたのが『ジャンプ』。最初にハマったのは『NARUTO -ナルト-』で、今いちばんアツいのは『ONE PIECE』です。(滝澤に)追ってます?

滝澤 いや、追ってない。

田村 ダメだ、仲良くなれなさそう(笑)!今、めっちゃアツいんで、今からでもぜひ。

滝澤 『ONE PIECE』読んでる人って、毎回「今がアツい」って言うじゃん(笑)。

田村 そうだよ。ずっとアツいの!一度も冷めない。常に上を行くから。それくらいすごいんです、『ONE PIECE』は!

何気ない日常も含めて全部が青春だった

滝澤諒

――では最後にもうひとつ。キュアトップたちは、ダンスに青春を懸けていますが、おふたりが学生時代に青春を懸けていたものは?

田村 僕は野球ですね。最近、野球をお仕事でやらせていただいて。事前に何度か練習会があったんですけど、炎天下の中やったら2〜3時間でへばっちゃって。中学の頃は朝9時から夜6〜7時まで外でずっと練習してたのに、今はもうできなくなってるんだって現実を知りました(笑)。単純に体力の差もありますけど、それ以上に野球しか見えていなかったからこそ湧いてくるエネルギーというのがあの頃はあったんだなって。

――当時はやっぱり坊主でした?

田村 坊主です。めっちゃ厳しい学校だったんで。

滝澤 じゃあ、茶髪とかもダメ?

田村 茶髪どころか、もうスキンよ、スキン!五厘刈りでした。

滝澤 それは野球部ルールってこと?

田村 野球部ルール。なんであんなキツいことをやってたんだろうと思うときもなくはないけど、仲間のために頑張る気持ちとか、あのときに学んだことはたくさんありますね。

――部活でいちばん印象に残っている出来事は?

田村 夏休みの練習で、超炎天下の中、ノックをしていたんですけど、全員がエラーせずに捕球できるまで終わりませんっていうルールがあって。当時は1・2年生だけで50人くらいいて。僕の番が回ってきたのが、確か45人目くらい。残りあと少しというところで、僕がエラーしちゃって。

滝澤 うわー!

田村 その瞬間、マジでぶっ倒れそうになった。陽炎が見えたのを覚えています(笑)。

滝澤 うわー!いやだー!

田村 あの絶対に失敗できないというプレッシャーのかかり方は、舞台をやるときも活きてると思う。まあ、そのときはマジで熱中症にかかったふりして倒れてやろうと思ったけど(笑)。

――滝澤さんはいかがでしょう

滝澤 僕はダンスの同好会に入ってて、文化祭の出し物を決めるとか、それぐらいの活動しかしてなかったから、そこまでの恐怖体験はないけど。

田村 いや、マジで恐怖体験だよ。

滝澤 だから、青春を懸けるとはちょっと違うかもしれないけど、あの頃は同好会に行くために学校に行ってたみたいなところがあって。それくらい打ち込めるものがあったから、他のことも頑張れた。大人になってくると、知り合ってもすぐ会わなくなる人とか、いろんな形の知り合いが増えちゃうけど、あのときの友達はシンプルな友情で、ほぼ毎日一緒にいて、今でも仲がいい人も結構いて。そういう何気ない日常も含めて全部が青春だったなと思います。

写真左から)滝澤諒、田村升吾

インタビュー・文/横川良明
撮影/篠塚ようこ

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