ミュージカル『町田くんの世界』|町田一 役:川﨑皇輝インタビュー

累計140万部の大人気コミック『町田くんの世界』が初ミュージカル化。3月29日からシアタークリエにて開幕する。物静かでメガネ。そんな外見とは裏腹に成績は中の下。アナログ人間で不器用…なのに運動神経は見た目どおりの町田くん。そんな男子高校生、町田くんが周りのみんなを変え、みんなに愛されていく新感覚人間ドラマがどんなミュージカルになるのか注目だ。主人公の町田くんを演じるのは、今作がミュージカル初主演となるSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)のジュニアユニット・少年忍者のリーダーで、俳優としても活躍する川﨑皇輝さん。ミュージカル初主演の心境や作品への思いなどを聞いた。

――まずは、ミュージカル初主演が決まったときの心境からお聞かせください?

「お話をいただいたときはすごく嬉しかったですけど、“大丈夫かな?”っていう心配も最初はありました。でも、任せていただいたからには精一杯頑張ろうと、ゆっくり準備を進めています。今は、とにかく緊張してます(笑)。シアタークリエは事務所に入所した頃から毎年のようにライブで出させていただいていて、少年忍者としての初めての単独公演も行った劇場で。そういうすごく思い入れのある場所で、ミュージカル初主演をさせていただけることも本当に嬉しいですね」

――仮の台本をお読みになった感想と、1曲歌のレッスンをされた感想をお聞かせいただけますか?

「出演のお話をいただいてから、原作の漫画を読ませていただいて。本当に心が温まるすごく素敵な作品で、僕もいちファンとしてもう何周も読ませていただいているんですけど。“どういうミュージカルになるんだろう?”って感覚で僕もしばらくいて…。それが実際に台本と曲が来て、あ!こうなるんだ。『町田くんの世界』をそのままミュージカルにしたら、こうなるよねって(笑)。本当に“ザ・町田くんの世界”というか、世界観をおもいきり表現してくださっている一曲が僕の手元に届いて、もうすごく嬉しかったですし、この曲がこの作品の中にあって、こういう形になっていくんだっていうのが見えた瞬間でもありました。つい最近、仮の台本をいただいて、これは僕の好きな『町田くんの世界』がミュージカルになるなと。原作読者としても楽しみだなって思います。今回、町田くんを演じさせていただく身として、“あ~これ表現しきれるかな”っていう不安や緊張もありつつ、実際にこれをやるんだという実感が湧いて、本番までにここからしっかり詰めていけるように頑張ろうというスイッチが入りました」

――原作の漫画をかなり読み込んでいらっしゃるようですが、川﨑さんが好きだなと思うのはどういうところですか?

「けっこうクセが強いキャラクターがいる中で町田くんが優しくて一番いい人みたいな感じに見えつつ、“天然”な子で。でも間違いなく一番優しくて一番いい人で。その優しさに周りの普通の人が気づいていくっていう、絶妙な人間関係が描かれていて。僕たち普通の人の目線から見たら、町田くんは優しすぎると思うけれど、その優しさにちょっと感動する、というような。そんな関係性にも『町田くんの世界』みたいな作品にも出会ったことがなかったので。ある意味特殊だけど、一番日常に近い作品な気もしていて…。なんかこの絶妙な世界観が魅力なのかなと思いますね」

――役作りで大切にしたいと考えていることは?

「ポスター撮影が、僕が町田くんを演じる上での最初のステップだったんですけど。メガネを選ぶところから始めて、制服を着て、リュックを背負って、空を見上げて…。あ~町田くんになったなっていう(笑)。スタッフさんからも「町田くんぽいね」って言っていただいたので、そこはひとつ自信もっていこうかなと。見た目の面でいうと、ちょっと髪を切りました。人物像に関しては、周りに似た人がいないんですよね。誰よりも人間を愛していて、その愛も兄弟的な愛というか聖人のような感じがするし、ちょっと天然だし(笑)。そこをしっかり理解できるように近づいていけるように、台本と漫画を読んで解釈しているところです。稽古場で演出のウォーリー木下さんと相談しつつ、共演者の皆さんとお芝居をしながら、時間をかけてしっかり僕の知っている町田くんになれればいいなと思っています」

――ミュージカル『町田くんの世界』の見どころ、ここは期待してほしいと思うことは?

「僕がナチュラルボーンの“人たらし”になれるかどうかですかね(笑)。本当に難しいと思うんですよ、町田くんって。狙ってやっているように見えたら終わりなので。突然、人の頭をなでたりするので、それって町田くんの人柄じゃないと成り立たないというか。うちのメンバーにもチャラめのやつとかいますけど、ちょっとわざと感を感じてしまうので(笑)。チャラいやつが突然頭なでたら、ただのチャラいやつじゃないですか(笑)。でも彼はチャラくないんですよ、なぜか突然女の子の頭をなでてもチャラくないっていう。なんですかね、あの差は。まだ謎のままなので、そこは早く解明しないと(笑)」

――1月に出演された帝国劇場2024年新春公演『Act ONE』のスーパーヴァイザーをKinKi Kidsの堂本光一さんが勤められていましたが、多くのミュージカルに主演されている光一さんから何か学ばれたことはありますか?

「光一くんとは『ドリーム・ボーイズ』で3回もご一緒しているので、直接アドバイスをいただくことはあります。でも今考えると、何よりも光一くんから得ているものは、『Endless SHOCK』で帝劇のゼロ番(舞台のセンター)に立っている姿。それがやっぱり憧れというか。僕はSHOCKオタクでもあるので、毎年観に行かせていただいていて。ある年、ふぉ~ゆ~の先輩に「今年、何回見に来るんだ?」って聞かれて、「2回観に行きます!」って答えたら、「じゃあ3回来い」って言われて。それで3回行ったくらい『Endless SHOCK』が好きなんですけど(笑)。主演だけでなく演出から全部やられている姿を、毎年見続けられたことが、個人的には一番の勉強になっている感覚はあります。立ち振る舞いからも学ぶことが多いです。もしもカーテンコールのしゃべりがあったら、光一くんぽくなるかもしれないです(笑)。あのちょっとゆる~い感じでやりだしたら、影響され過ぎてるなって思ってください(笑)」

――最後に、公演を楽しみにしている方へ、意気込みとメッセージをお願い致します!

「本当に素敵な作品なので、絶対に楽しんでいただけると思います。絶対に楽しんでいただけるように、僕も精一杯務めますので、楽しみにしていてください。」

取材・文:井ノ口裕子