★絶賛上演中★舞台「CHERRY BOYS〜GRADUATION〜」|西川俊介&栗原大河&小原卓也インタビュー

2023年に小原卓也と三国由佳によって立ち上げられた演劇団体「皇帝ロックホッパー」の、本格始動1作品目となる舞台「CHERRY BOYS~GRADUATION~」が、2月2日(金)より上野ストアハウスにて上演。就職氷河期、アダルトグッズ販売会社に就職してしまった童貞4人の奮闘を描いたドタバタの青春コメディが描かれる。公演は2つのチームに分かれており、Team PEACHで主演を務めるのは西川俊介。Team BANANAの主演は皇帝ロックホッパー所属の栗原大河が務める。果たしてどのような物語になるのか、主演の2人と、両チームに出演しつつ演出も務める小原の3人に話を聞いた。

――2023年5月に旗揚げ公演を終え、本作が皇帝ロックホッパーの「1st Stage Performance」となっています。その1発目にチェリーボーイが繰り広げるコメディを描こうと思われたのはなぜでしょうか。

小原 まずは個人的にこういう”男ノリ”みたいな、ちょっと昔のバラエティみたいな雰囲気が好きなんですよ。高校まで野球をやっていたんですが、男子高校生が楽しそうにワチャワチャしているところに、僕は青春を感じるんです。そして、僕は岡山出身なんですけど、テレビでやってた吉本新喜劇がめちゃくちゃ好きで、新喜劇を見て育ったようなところがあるんです。ああいう吉本新喜劇みたいなコメディを作りたい想いと、学生の男ノリみたいな青春を描きたい想いがミックスして、今回の形になりました。

――キャストのお2人は作品の第一印象はいかがでしたか?

西川 台本を読んでみて、まずは普通に面白い!と思いました。題名は…ちょっとエッチな感じがするんですけど(笑)、開けてみたらそのあたりはマイルドな感じで、本当に若者の青春が描かれていて、分かりやすいと思いましたね。

栗原 僕にとっては「皇帝ロックホッパー」として初めての公演になるんですけど、団体の人間として「一発目がこれかよ!」と思いました(笑)。もっとカッコいいやつやろうよ、とかも思いましたけど、小原くんとは8回とか9回とか共演しているし、お互いの芝居も分かっていて、そういうことを考えていくと、これが僕ららしい作品なのかな、と納得しました。一緒にやりたいことをやろう、それを全力で皆さんに楽しんでいただく、と言う点では、団体からの提示としてアリ。でも、2作目はどうするよ、とは思いますけどね(笑)

小原 別にずっとこの路線じゃないから(笑)。その時、その時でやりたいと思ったことをやろうと思っているし、作り手が今こういうのをやりたいと全力で思っていないとお客さまにも届けられないと思っているから。ただエンタメがやっぱり好きですし、団体としては、分かりやすくて見やすい、そして嘘の世界にリアルを、という理念でやっているので、そういう誰が見ても楽しんでもらえるものを作っていきたいと思っています。

――今回は、Team PEACH、Team BANANAと同じ台本で2チームに分かれての公演となっていますね。

小原 今回のキャストには、オファーさせていただいた方のほかオーディション経由の方も結構いらっしゃるんですが、どちらのチームもすごくバランスがいいんですよ。俊介とは、彼が初舞台で初主演の時に共演してからの仲で、旗揚げ公演の時に「良かったら観に来てよ」と声を掛けたら『いや、出してくれよ』って言ってくれたんですよ。じゃあ、2月どうよ?ってなるじゃないですか。だから俊介を主演に、というのは考えていました。そして大河は、団体側の人間なので、やっぱり主演じゃないか、と思ったんです。

栗原 僕としては正直、重い重い!って言ってたんですけど、団体としてやっぱり1発目なので責任をもってやらなきゃいけないと思っています。チームの雰囲気も結構違いますよ。

小原 座長のカラーが全然違うので、座組の雰囲気もね。僕は俊介とも大河とも仲がいいんですけど、2人は人間的に全然違うタイプ。でも、根っこの人間的なところは似ているところもあるんですよね。どっちも人見知りだし(笑)。それぞれに意識は高いので、違った形でチームをまとめてくれていると思います。

西川 うちは結構フレッシュな感じです。メインキャストの童貞組は若い子たちだし、本当にフレッシュで、初々しさがあるチームになっていますね。

栗原 それで言うと、うちのチームも若いよ? 先輩もいるけど、初舞台っていう子も割といますね。コメディだし、最初は率先して、こういうことやっていいんだよ、って促していたんですけど、今は結構チャレンジ精神にあふれたチームになったと思います。

――お2人は主人公の熱血童貞・赤井和貴を演じられますが、役の印象をお聞かせください。

西川 最初にお話を頂いたときから、赤井は戦隊モノのレッドみたいな熱血の童貞と聞いていたので、自分も一応、そういう役(「手裏剣戦隊ニンニンジャー/伊賀崎天晴・アカニンジャー役)をやっていたので、そのイメージでいました。

栗原 戦隊ヒーローと一緒にすんなよ、って話だよね(笑)

西川 まぁ、ぜんぜん違うけど(笑)

小原 馬鹿正直で真っ直ぐで仲間想いとか、そういうことでね。

西川 そういう部分では、当時の役を思い出しながら作ったりしていました。やっぱり赤井が振り回すとかじゃないけど、話の1本筋に居るので、俺がまとめなきゃほんとに散らばっちゃう、って感じなんですよね。

栗原 作中だと個性が控えめかも。周りの個性が強すぎるから、何としても話を終わらせなきゃいけない立場なんだよね。Team BANANAの場合、赤井はただのツッコミ(笑)。他のキャストがけっこうブッコミを仕掛けて来るので、それに臨機応変に対応しなきゃいけないんです。だから変なところに気を張っていますね。台本もあってないようなところがあるし、毎日違うコントをやっている感覚です。うちのチームの通しが10分くらい長くて、めっちゃ省いたりしていました(笑)

――小原さんが演出の際に意識していることは?

小原 とにかくテンポにはこだわりました。フレーズというよりは人間模様で笑ってもらうことを意識しましたね。僕はお笑いの中でも漫才が好きで、好みの笑いというか、そのテンポ感をつかむのに、最初はみんな苦戦したかもしれません。とにかく個性豊かな面々が一つの個体になり、ゴールに向かって…作品のカーテンコールに向かって一体となっていくことが目標。全員のキャラがしっかり立っているので、特定の誰かとか、この部分とかじゃなく、どこを切り取っても楽しんでもらえるような作品作りになっています。

――演出を受けていて、特徴的だと感じるところはありますか?

栗原 ダメ出しとかの時、自分も出演しているからか、自分にもダメ出ししてるんですよね(笑)

小原 板の上に立って一緒にやっているんですけど、演出の脳みそも残っていて、稽古中はダメ出しをどんどん書いていくんですよ。自分の分も含めて。でも、殴り書きで書いているから、ダメ出しの時に読み返していって、これは…俺へのダメ出しだ、と(笑)

栗原 ただのメモ(笑)

小原 そう、ただのメモをみんなの前で発表する時間がちょこちょこあります(笑)

栗原 そういう感じで、基本的に和気あいあいと楽しくやっています。そこが団体理念じゃないですけど、とにかく明るく楽しく。

西川 僕の場合、あんまり引っ張っていけるような座長じゃないので…。そこは小原くんが僕のことをよくわかってくれているので、主宰でありながら座長っぽいところも担ってくれて、Team PEACHを引っ張ってくれています。

小原 俊介は背中で見せるタイプ。チームにも真面目で素直な子が多くて、年上の人たちが前のめりにやってくれているところがあるので、そんなに手を焼くことはなかったですけどね。ただ、Team BANANAは座長が団体の人間なので、割と丸投げしました。

栗原 丸投げしやがって(笑)

小原 いやいや、信頼しているからこそやってもらえるはずと(笑)。俺よりも芸歴が長いですからね。

栗原 うちのチームは、とりあえず一旦作って見せるから、嫌だったら言って?って言う作業でしたね。好みもあるから。

小原 そこが僕としてはありがたい。演出としての僕は交通整理だと思っていて、見せたいものに対してどうまとめていくかという作業なんですよね。時間も無い中でこの人数の1人1人と向き合う時間はそう取れないので、お芝居の中で提示してくれるようなやり方じゃないと間に合わなくなる。僕は役者がやりたいことを尊重したいし、その人にしかできないキャラがあると思っているので、基本的には否定しません。否定されてしまうと、次ができなくなるじゃないですか。否定からは何も生まれないので、役者が提示してきたことを一旦肯定したうえで、アップデートする。それが役者に対してのリスペクトだと僕は思います。

――本作はチェリーボーイたちの初めての経験をめぐる物語ですが、みなさんはそれぞれに”興味はあるけど未経験なもの”はありますか?

栗原 なんだろう。ゴルフとか? やっぱカッコいい人がやっているイメージですよね。ゴルフって。

小原 それで言うと、ゴルフはやってるからなぁ。最近は行けていないけど。

栗原 僕、細いんでクラブ握れるかどうかわからないですけど(笑)。あとはキャンプとかアウトドア。ちょっと温かくなったら挑戦したいかな?

西川 やってそう、と思われがちなんですけど、サーフィンですかね。スノボはやるんです。あとスケボーも、ちょこちょこやるので、あとの横乗り系はサーフィンだな、と。教えてくれる人がなかなかいないんですよね。やってみたいと思っているんですけど。

小原 俺は…なんだろう。意外と考えたことないかも。結構つまみ食い系というか、いろいろ手は出しているんですよね。やりたいと思ったら、すぐやってみちゃうんです。スキューバーダイビングとかもやったんですけど、僕、海洋恐怖症なんですよね。だから1回でもういいや、ってなりました(笑)

――恐怖症だけど、1回はやってみるんですね(笑)

小原 そうなんです。それでいくと、高所恐怖症なんですけど、スカイダイビングとか? あとマカオタワーからのバンジーとか!

栗原 それ、高所恐怖症じゃないから!

小原 いや怖いんだよ。東京タワーとかスカイツリーとかも、登って下を見たらクラクラするし。4階くらいのベランダも、高さがリアルで怖い。でもジェットコースターは好きなんだよね。

栗原 やっぱり違う、高所恐怖症じゃない(笑)。ジェットコースターとか苦手すぎて、作った人を嫌いになりそうだもん。お前のせいで~!って(笑)

小原 でも、それをやりたいと思って挑戦した人がいるんだよ。ライト兄弟も空を飛びたいと思って飛行機を作ったんだろうからね

――最後に、公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!

西川 今回の作品は、タイトルとかあらすじだとちょっとエッチな作品なのかなと思っちゃうかもしれないんですけど、本当にすごく青春ラブコメディになっています。下ネタとかも柔らかくなっているし、本当に面白いんですよ。個性が集まったキャストで、すごいコメディが出来たと思っているので、何にも考えずに観に来てほしいです!

栗原 俊介くんが言ってくれたとおりの青春ラブコメディです! 正直に言うと、何かすごく意味のある中身が詰まっているわけじゃないです。でも、観終わったあとに「すごくいい舞台を観た!」っていう気分になる。そういう純粋な純愛、ピュアな恋愛のお話なので、チェリーを可愛いな、と思ってくれたら。そう思ってもらえるように、僕らも頑張ってきたので、ぜひ楽しんでください。

小原 もしかしたら、こういう方向性のタイトルにしない方が良かったかもしれないし、ほかの人が作るならこのタイトルにしなかったと思うんですけど、これもう、僕の”尖り”です(笑)。このタイトルで、2人が言ってくれたような青春ラブコメをやりたかったんですよ。もう、空っぽで来てください。新喜劇も、空っぽで観て、単純にそこで起こっているものを見て楽しくなるものじゃないですか。僕が目指しているのもそういうところで、観終わったあとにストーリーが残っていなくてもいいんです。でもなんか楽しかった!っていう感覚を持ち帰ってもらえることが一番幸せですし、やりたいことの詰め合わせで、いろんな無駄遣いもしているので、単純に楽しんでもらえる作品が出来たと思っています。そこに自信も持っていますので、ぜひ劇場まで足を運んでいただければ!

取材・文:宮崎新之

撮影:眞砂佳奈子