アニメ「リコリス・リコイル」を原作とする舞台の第2弾、舞台「リコリス・リコイル」Life won’t wait.が6月に東京ドームシティ・シアターGロッソにて上演される。犯罪を未然に防ぐため、人知れず暗躍する秘密組織の少女たちを描いた物語。2023年1月に上演された第1弾では、その再現度の高さが大きな話題となったが、第2弾でもそのメインキャストが再集結する。W主演を務める河内美里と本西彩希帆の2人に、作品の意気込みなどをたっぷりと聞いた。
――第1弾は非常に大好評でしたが、実際に手ごたえはいかがでしたか?
河内 本当にたくさんの方々に愛していただける作品になりました。もともとアニメが多くの方に愛されているんですけど、舞台版になって、アニメがお好きな方にも、舞台がお好きな方にも、どちらにも愛されている作品になったと、みなさんからいただく声ですごく実感しましたね。関係者の方々からもすごく好評で、本当に良かったです。第2弾の発表があったとき、第1弾を観てくださった方がまだ観ていない人に「この作品、めっちゃ面白いよ」「これは観るべき!」って言ってくれているのを目にしたんです。こうやってみなさんの心に残っているんだなと改めて感じました。でも、それだけ期待値も上がりますよね。物語としても、クライマックスに近づいていくので、頑張らなきゃ、と身の引き締まる思いでいます。
本西 アニメがすごく人気だったので、舞台にする上で私たちキャストもスタッフもすごく使命感をもっていたんです。幕が開くまではドキドキしていましたが、すごくいい反応をいただけて。「初めて舞台を観に来ました」という声もたくさんいただいたんです。そういうきっかけになる作品になれたんだな、と思いました。第1弾は仲が深まっていくようなところから始まるんですけど、第2弾は関係性が出来ているところから始まるので、そういう意味では孤独じゃない。だからすごく楽しみにしています。ストーリーが後半に向かってシリアスになっていきますし、アクションも多くなってくるので、リコリコを好きでいてくれるファンはすごく楽しみにしてくれていると思います。あそこのシーンはどうするんだろう?とか期待しているはず。そのあたりは、私たちもすごく楽しみなので、みなさんと一緒に楽しみながら作っていきたいですね。
――それぞれの役どころについて、どういうキャラクターだと感じていますか
河内 千束は割と、自分に近いテンションで演じられる役でした。飄々としていて、明るくて、でもやっぱり抱えているものがたくさんあって…だからこそ、行動や言動に関しては意識しなくても自然と出てくるような感覚ではありましたね。動きが多いキャラクターで、こういう動きをしたら、こういうテンションになるんだ、と動きながら発見できるような軽やかさやコミカルさがたくさんありました。演出の山崎さんからも「語尾にちょっと付け足してみよう」みたいな、台本に無い遊びを入れていくことで、より千束らしさを作れていった気がします。型にハマらない千束らしさがありますね。アドリブもすごく多い作品でしたが、舞台の上でみんなと一緒にいると、スッと言葉が出て来やすいんですよ。それは、たきなが彩希帆ちゃんだったからとか、周りのキャストが私を千束にしてくれたという部分も大きいです。だから第2弾でみんなに会えるのも楽しみです。今回は、千束が過去と向き合わなければならないシーンも多くなってくるので、第1弾では見せられなかったような表情をお見せできるといいなと思います。
本西 たきなは、目的のためなら手段を選ばず、任務が1番という子。千束やリコリコのみんなとはちょっと違う考え方だったり、葛藤もあったりするんです。千束のことを、相棒でもあり自分にすごくいろんな影響を与えてくれる人だと思っていると思うんですよね。千束だけじゃなく、いろんな人の影響を受けて、ちゃんと1歩ずつ成長している子だなと思います。それも、変に作っていかなきゃ、っていう感じはなくて、舞台上で本当にみんながすごく与えてくれるので、そういう考え方もあるんだ、とすんなり入ってくる感じがありました。ただ、舞台上で素直で居ればよかったので。たきなは根がすごくいい子だから、私自身がすごくたきなを好きでいられたというのも大きいです。第2弾では、貰うだけじゃなくて与える側にもなるところが多くなるので、ちゃんとみんなと一緒に作っていけたらいいなと思います。
――非常にファンの多い作品ですが、その魅力はどういうところにあると思いますか
河内 やっぱり私は演じる側としてのフィルターがかかっているところはあると思うんですけど、非日常と日常がとても上手く融合した作品だと思うんです。特に前半は、千束がたきなを導いているようで、実はたきなに自分を重ねるところがたくさんあったり、リコリスの仲間たちから影響されるところがあったりするんですね。本当は平凡に、戦わずに暮らすような年代の子たちが、事件に関わったり、人の命に触れたりすることで、いろいろぶつかったりもしながら成長していく。世間にはバレていない存在だから、実は本当にこの世にいるのかもしれない。そういうワクワク感も感じています。後半にかけては、あんまり感情を出さなかったたきなが、誰かのために感情を震わせて動いていて、それを見ている千束とかの姿からは、家族愛のような愛情も感じます。そういう意味で、学生モノが好きな人にも、バトルものが好きな人にも、家族愛とか愛情あふれる作品が好きな人にも、いろんな人にすごく刺さる、素敵な作品だと思っています。
本西 舞台をやっていてもすごく思うことなんですけど、出てくるキャラクターがすごく個性豊かなんですよね。あんなにたくさんキャラクターがいるのに、似ているキャラっていないんですよ。どのキャラクターの視点に立っても、楽しめる作品ですね。ガンアクションとかもすごくしっかりしていて、ガンマニアの方がスゴイって言ってくれるくらいに、すごく細やかに描写されているんです。そうやって、細部にまで愛情を注いでいる作品だからこそ、惹かれる人がすごく多いんじゃないかな。ビジュアル撮影の時も、武器の持ち方などもとても細かくスタッフさんに教えていただきました。
――第2弾での見どころはどんなところになりそうでしょうか?
河内 第1弾でもそうだったんですけど、本当に欲張りすぎだろ!っていうくらい、見どころが詰め込まれているんですよね。使っているエピソードで出てくる衣裳はすべて着させたい、みたいな(笑)。でも、それは制作スタッフを含めてアニメが大好きで、作品への愛があるからなんです。絶対にお客さんはコレが観たいはず、っていう気持ちに寄り添っているからこその欲張りなんですね。だから、第2弾でも、きっとあんな衣裳やこんな衣裳を着ると思います!すでに、ビジュアル撮影でもめちゃくちゃ着ましたから(笑)。後はバトルシーンにも期待してほしいです。どこまで舞台で演出できるのかはまだまだこれからですが、私たちも大好きなシーンなので、リコリコをより好きになってもらえるような、そして舞台のことも好きになってもらえるようなものを作りたいです。
本西 もう全部言ってくれてるんですけど(笑)、個人的に私が楽しみにしているのは、千束が振袖を着るシーン。たきなは観ることができないシーンなんですけど、絶対にどうにかして舞台袖から見るつもりです!早着替えとかセッティングとかあるかもしれないけど、どうしてもこの場面だけは!って、お願いしようかと思うくらい、大事なシーンです。あと、ヘリで来るシーンとかはどうなるのかな。あとはミズキとクルミのやりとりがすごく好きなんです。たきなとしては一度DAに戻るので、そこで繰り広げられるリコリスの物語も楽しみにしていただきたいですね。
――稽古場の雰囲気はいかがですか?稽古の中で感じたお互いの印象も聞かせてください
河内 リコリコの現場は、いい意味で和気あいあいとしているんです。変にピリッとすることは無いですね。中心に立ってくださっている演出の山崎彬さんをはじめ、他のスタッフ、キャストのみなさんが、楽しく作品作りをしようとしてくださるんです。こういう作品だから、楽しく、お互いをリスペクトしながら作っていて、みんなで二人三脚をしているような感じですね。第2弾でもアクションなど、ここはどうしようか、って思うようなシーンは多いんですけど、しっかりと怪我をしないようにすり合わせしつつ、稽古していきたいですね。彩希帆ちゃんは、お芝居でも与えれば与えるほど、全部受け止めてくれるんです。大事な言葉をかけあうシーンでも、そういうお芝居上のコミュニケーションや意思疎通がすごくやりやすいんですね。普段は、ちょっと可愛らしいというか、抜けている部分があって、ちょいちょい!ってツッコみたくなるようなことも多くて(笑)。でもそこが、たきなとリンクすることもあって、とにかくすごくカワイイです。
本西 本当にこの舞台に関わっている人たち、カンパニー全体がリコリコという作品が大好きなんですよ。そういうファンとしての目線があるからこそ、ここはちゃんと見せたいです、とか、ここはもっとこうした方がいいです、っていうこだわりがきちんとあるんですね。そういうこだわりはどんな現場でも大事なことだとは思うんですけど、ファン目線と役者目線の両方があって、それを大事に作っていけたらなと思います。とにかく楽しく!体に気を付けながら頑張ります!私自身、実はけっこう心の扉が厚くて…1つ目の扉は開いていても、2つ目は開かない、みたいなことも結構多いんです。でも美里さんとは、ビジュアル撮影で会った時から全く大丈夫でした。頼もしいし、ちゃんと包み込んでくださるんです。最初から信頼があるんですけど、それが重なって、今はもう大信頼しています。美里さんが隣に居てくれるなら大丈夫、って思えるんです。
――最後に、公演を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!
河内 第1弾が終わってから、ご覧になった方から「第2弾はまだなの?」っていうお声をたくさんいただきました。ついに、みなさんにお知らせできて、着々と準備が進んでいます!私自身も、個人的に好きなシーンや大事なシーンがたくさん詰まっているところに物語が進んでいくので、カンパニーのみんなと、誰1人欠けることなくゴールしたいと思います。アクションも多いので、怪我に気を付けながら稽古も頑張ります。実はちょっと気になっていたんだよね、と言う人も、ぜひ第2弾からでも見ていただきたいですし、アフタートークがある回などもありますので、いろいろと楽しんでいただきたいです。私たちもリコリコという作品が大好きなので、全力で愛情を注いで作っていきます!
本西 最初の方にも言ったんですけど、第1弾の時、この作品をきっかけに初めて劇場に足を運んだ、と言う人がたくさんいたんですね。その輪がさらに広がればいいなと思っています。新作アニメーションの制作が発表されていますし、そこにもうまく繋げられるような舞台にできるよう、私たちも頑張りたいと思います!アニメを見返してからでも、DVDで第1弾をチェックしてからでも、いきなり第2弾から観に来ていただいても、どんな方に来ていただいても、私たちは全力で愛情を注ぎながらお届けするのみなので…楽しみに、待っていてください!
取材・文/宮崎新之
【プロフィール】
河内美里
■カワウチ ミサト
女優、歌手、声優と幅広く活躍。近作は朗読劇「人間失格・紅」、LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」など。
本西彩希帆
■モトニシ サキホ ’19年にミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景 篇にて2.5次元舞台デビュー。近作は舞台「ある閉ざされた雪の山荘で」など。