10月某日、都内にある劇団スーパー・エキセントリック・シアターの稽古場を訪ねた。
そこでは、10月12日(金)より池袋サンシャイン劇場で上演される「テクニカルハイスクールウォーズ 鉄クズは夜作られる」の通し稽古が行われていた。
劇団スーパー・エキセントリック・シアターとは
1979年11月創立今年で創立39年を迎える。
解りやすくて誰もが楽しめる、サービス精神旺盛な芝居を目指し、三宅裕司、小倉久寛らを中心に結成された劇団。
劇中にはアクション・ダンス・歌・笑いをふんだんに取り入れ、なおかつ、社会に対しての警鐘を提示しつづる作風は”ミュージカル・アクション・コメディー”として確立され、演劇界の第一線を走り続けている。
1980年から始まった本公演も、今回で56作目。
20歳~67歳という幅広い年齢層で構成されるこの劇団が今作挑むのは、夜間の工業高校。「日本の下町のものづくり」をテーマにしながら、定番の大爆笑ミュージカル・アクション・コメディーを楽しめる作品となっている。
活気にあふれた雰囲気の中で始まった通し稽古。稽古場には幅広い年代の役者たちがそろっているが、その年の差を感じさせない、劇団ならではのチームワークを伺うことができた。
本作は定時制の工業高校を舞台にしており、不良とみなされ警官に信じてもらえない高校生や、もう一度青春を謳歌したい60歳の男性、メカに強い女子高校生など様々な学生が登場。この学校におおたけこういち演じる熱血教師が赴任し、彼らの意識が変わっていく様を描いている。
注目すべきは、美しいハーモニー、キレキレのダンス、そして練られた台本から生まれる笑い。本作も、まさに“ミュージカル・アクション・コメディー”を体現した作品に仕上がってきていると感じた。
まだ通し稽古を始めたばかりということだが、この時点でもパフォーマンスの質の高さはお墨付き。これから10月12日(金)の初日まで、さらに磨きをかけていくのだろうから、その出来上がりは期待大だ。その中でも特に見どころなのは、早口言葉を取り入れた合唱のシーン。よくこれほど噛まずに歌えるものだと感心してしまうほどの、見事な滑舌とハーモニーには脱帽。是非注目してほしいナンバーである。
また、言うまでもなく、三宅と小倉の相変わらずのコミカルな掛け合いは本作も必見。あうんの呼吸で繰り広げられるユーモアあふれるやり取りには、袖でスタンバイしている役者たちからも大きな笑い声が溢れた。
三宅は先日まで療養をしていたが、小倉との身体を張った表現で、復活を印象付けた。
「劇団スーパー・エキセントリック・シアター 第56回本公演 『テクニカルハイスクールウォーズ 鉄クズは夜作られる』」は、10月12日(金)~10月28日(日)まで東京・池袋サンシャイン劇場で上演される。
笑いあり、アクションあり、音楽あり、リラックスした気持ちで気取らず楽しめる作品。さらに笑いだけでなく、劇団員が演じる、学生たちの熱い気持ちにも何かを感じることのできる作品となっているだろう。
暗いニュースの多い今だからこそ、是非劇場で、会場全体で笑って楽しんでほしい。
取材・文・写真/ローチケ演劇部員