写真左より)むらきゃみ、加納
誰にも真似のできない活動を重ね、今年で結成15周年を迎えるコンビ、Aマッソ。才能を発揮する場をどんどん広げている加納は、5月に2冊目となる小説集『かわいないで』(文藝春秋)を上梓するほか、現在放送中のドラマ『スナック女子にハイボールを』(中京テレビ)では初の連ドラ単独脚本を務めている。一方、Aマッソのネタにおいて常に加納の発想を具現化するむらきゃみは、今年2月に「村上」から「むらきゃみ」への改名を発表し、ファンを驚かせた。コンビとしても新しいことに挑戦し続ける二人。昨年はテレビ東京のプロデューサー、大森時生とタッグを組んだホラーと笑いが同居するライブ『滑稽』でも大きな注目を集め、この4月からは美容バラエティ『A LABBO』(テレビ朝日)もスタート。
そんな彼女たちが、ちょうど1年ぶりとなる単独ライブ『縦』を敢行する。7月に東京、大阪、名古屋、福岡の4都市13公演、過去最大級のこの単独ツアーについて、二人に聞いた。
改名によって変化したこと
──先日スタートしたレギュラー番組、『A LABBO』を拝見したのですが、楽しくて役に立つ美容番組で、失礼かもしれませんが驚きました
加納 ほんとですか。
むらきゃみ アイシャドウのパレットの話(第1回のテーマ)ね。
──Aマッソがやるからには、もしかして何か仕掛けがあるのだろうか、とうがった見方をしてしまっていました。でも、お二人の空気がYouTubeチャンネルなどと同じように力が抜けた感じもあって、とてもいいなと。やってみていかがですか?
加納 そういうイメージがフリになるのはありがたいですよね。まあ、冠番組ではありますけども、自分たちの企画ではないので、この企画に呼ばれたからには一生懸命やる、という感じで取り組んでいます。
むらきゃみ なんかいっぱい情報が知れるんで、楽しくやってます。
──むらきゃみさんは改名してから2か月ほど経ちますが(※取材は4月)、反響や変化はありますか?
むらきゃみ なんか、いろいろスムーズになっています。あんまり信号とか引っかからなくなりました。
加納 あら!
むらきゃみ そう。運気が上がってる気がする!
むらきゃみが弾けられるネタを
──単独ライブについて聞かせてください。まずは去年の単独ライブはいかがでしたか?
加納 去年の単独は、楽しかったです。例年に比べてシンプルな構成で、映像ネタとかもなくやりましたけど。
──それは、例えば同じ年に『滑稽』など単独以外で凝ったライブをやったから、という理由も?
加納 そうですね。変なライブをやったので、それをフリにしてというのもありますし、まあ自分のモードがそうだったというのもあって。
むらきゃみ オープニングのコントのキャラがけっこうしっくり来すぎてて、気に入ってます。だから今回も、何をやるかはわかりませんけど、そんなふうに「何か」になれるのを楽しみにしてます。
加納 去年は(むらきゃみが)はじけられるネタが多くできたんで、今年もそんなふうにできたらなって思います。
──7月から始まる単独ライブは『縦』というタイトルですが、このタイトルはどこから?
加納 最初に言ったのは、いつも一緒にやってる構成作家のイモちゃん(井本恵)やったんやないかな。その音の響きと、演出でなにかできる可能性がありそうやなというので選びました。去年、長いタイトル(『ヘンリー・ヒャッハーの帽子はどこだ?』)だったんで、今年は短いタイトルでいこうと思っていて。
むらきゃみ 長かった(笑)。
──現時点で内容はどの程度決まっていますか?
加納 うちら、タイトルをまず決めて、そのタイトルから中身を考えていくんで、まだ全然なにも決まってないです。でも去年よりは漫才が多いかもしれません。去年は2本、初日公演は1本だったんですよ。そしたらけっこう「物足りない」という声をいただいたので、漫才を求めてくれてるんだなと。
──むらきゃみさんは、漫才とコント、どちらが好きですか?
むらきゃみ うーん、時期によるんです。漫才が恥ずい時期と、コントが恥ずい時期とあって。だからその時その時。
──好き嫌いではなく、「恥ずい」
むらきゃみ はい。「恥ずい。なんかやりたくないかも」っていうのが、全然あります。
──そんなときは、加納さんはどうするんですか?
加納 いや、わからんでもないんですよ、私もあるから。
むらきゃみ たぶん一緒の時期に思ってると思う。
加納 うん。なんかライブの間隔が空いたりすると、けっこう「あ、異常なことしてたんだな」と思っちゃって。
むらきゃみ 俯瞰で見るようになっちゃうんですよね。
どんな形であれ、アウトプットを続けられたら
──テレビやYouTubeのほか、個々の活動もある中で、お二人にとって単独ライブはどんな存在ですか
加納 最近、ライブ自体にあまり出ていないので、年一回ガツンとネタを見てもらえる場ですね。ふだんそんなに地方に行くタイプの芸人でもないので、大阪、名古屋、福岡各地の方とも会えますし。
──これまで年に1度は必ず単独ライブをやられていますが、このペースは崩さずに行こうと?
加納 まあ、でもわかんないです。どんな仕事が来るかわからないので、その時やりたいことをやりたいです。アウトプットにはいろんなかたちがあるので、何かしらものづくりができれば。
──いま現在は、どんなことをやりたいと?
加納 初めて冠レギュラーができたのもありますし、こうやって二人でいろんな番組に出られたらと思います。ロケとかも行きたいし。いまやっていることをちょっとずつ広げていきたい、という感じですね。
むらきゃみ 海外に行きたいです。メキシコ料理に最近ハマってるんで、(加納に向かって)メキシコに行こ!
加納 うん。
むらきゃみ 決定!
──単独ライブも、メキシコロケも、楽しみにしています。最後に単独ライブへの意気込みをお願いします
加納 コアな人だけじゃなくて、お笑いを観たことがない人たちにも観に来てほしいです。だから、全体的には楽しいライブにできたらなと思います。
むらきゃみ (今年のツアーに)いっぱい来てくれたら、来年はまた違う場所にも行けるかもしれないので! 次は北海道に行きたいんで、いっぱい来てください!
インタビュー・文/釣木文恵
撮影/ローチケ演劇部