日本初上陸!『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』ゲストシンガー・海宝直人 インタビュー

ボストンやロンドンで上演され、大反響を呼んだ『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』がこの冬、日本に初上陸する。
今回、来日するのは、『メリー・ポピンズ』でメリー・ポピンズ 役のオリジナルキャストを務めたアシュリー・ブラウン、『ターザン』でターザン役のオリジナルキャストを務めたジョシュ・ストリックランド、『ライオンキング』のムファサ役で最多上演数を誇るアルトン・フィッツジェラルド・ホワイト、『ライオンキング』のナラ役で活躍したキシー・シモンズ。

そしてゲストシンガーとして、海宝直人の出演が決定。劇団四季『美女と野獣』チップ役、『ライオンキング』ヤングシンバ/シンバ役、『アラジン』アラジン役、『ノートルダムの鐘』カジモド役などディズニー作品への出演経験も豊富なミュージカル俳優だ。出演ばかりでなく、かなりの“ディズニー好き”でもある海宝。ディズニー作品の魅力や、記念すべき1回目の開催となる『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ』について、たっぷり話を伺った。


――このお話が来た時の率直な感想を教えて下さい

海宝「豪華なキャスト、しかも全てディズニーの楽曲でお届けするコンサートということで、公私ともにディズニー作品で育ってきた僕としては絶対に出たいと思いました。僕もキャストの皆さんの歌を生で聴きたいですし、何より同じステージで歌えることをすごく楽しみにしています」


――今回のコンサートの見どころはどこでしょう

海宝「オリジナルキャストがこれだけ揃って、一夜で様々な名曲を聴けることですよね。とても贅沢な時間になると思いますので、ぜひ楽しみにして頂きたいです。
また今回の公演では、ミュージカルの中でしか聴けない曲も聴けるかもしれませんよ!例えばミュージカル『アラジン』 の『Proud of your boy』。アニメ―ションでは泣く泣くカットされてしまった曲なのですが、ミュージカル版では復活していて。ディズニーミュージカルの中にはそうした隠れた名曲もたくさんあります 。アニメーションしか知らない…という方にもぜひお越し頂きたいですね。これを機に、多くの方にディズニーミュージカルの魅力を知って頂けたらと思います」


――今回ゲストシンガーとして参加されますが、ご自身のパフォーマンスで注目してほしいところは

海宝「“日本人が演じるからこそ”のディズニーの魅力を表現していきたいです。やはり日本で、日本人が演じるからこそ描ける部分というのは絶対あると思うんです。例えば『アラジン』でも、ジーニーの手かせが外れる演出(※)は日本オリジナル。“人と人とが強い信頼関係を築ける日本だからこそ、アラジンとジーニー2人の関係性を重視したい”という想いから、海外の演出家・日本のスタッフ が新たに作り出したシーンなんですよ。今回はそういった“日本人だからこそ”という繊細な部分を僕も表現出来たらと思います」
(※アラジンは“3つの願い”の最後に、ずっと魔法のランプに囚われていたジーニーの自由を望む)


――ディズニー作品の中で、特に思い入れがあるのはどの作品でしょうか

海宝「やはり『ライオンキング』は特別な作品です。小学生のとき、ヤングシンバを3年間演じたということ、 大人になってシンバとして戻ってこられたという意味で、役者としてすごく思い入れがあります。またアフリカ音楽をベースに作られた作品でもあるので、アフロアメリカンの皆さんが闘ってきた歴史など、この作品には特別なものが“宿っている”という感覚もあります。濱田めぐみさんや吉原光夫さんと『ライオンキング』について話したこともあるのですが、“やっぱりあの作品は特殊だよね”と口を揃えておっしゃっていました。出演経験のある方は皆さんそう感じるのだと思います」


――海宝さんはアラン・メンケンさん(作曲家。多くのディズニー作品楽曲を作曲している)にどういう想いをお持ちですか

海宝「『美女と野獣』で役者デビューしていなければ、恐らく僕は舞台をやっていないでしょうし、今ここにもいないと思うので…本当に“生まれてきてくれてありがとうございます”という感謝しかないです」――アラン・メンケンさんの楽曲の魅力は

海宝「キャッチ―でシンプルなメロディーラインの中に繊細さ・ダイナミックさがあり、キャラクターの感情を丁寧にくみ取っているところではないでしょうか。『アラジン』ならアラビアンな世界、『ノートルダムの鐘』なら聖歌が流れる厳粛な聖堂、『リトル・マーメイド』なら海の世界というように、音楽によって作品の世界観を明確に表現していることも、本当に素晴らしいです。表現はすごくシンプルなのに、やっぱりどの曲もアラン・メンケンさんが手がけている楽曲ということが明確に分かるんですよね…彼の頭の中は一体どうなっているんだ!?(笑)と感じています」


――シンプルといっても、歌い手の方にとってはやはり難しいのでしょうか

海宝「メロディーも言葉もスッと入ってきて、自然と感情を引き出してくれる感覚があるので“分からない”ということは全くないですね。だからこそ歌うときも自分で変に色を加えようとせず、その音楽を“きちんと・丁寧に”表現するよう心掛けています」


――日本語で歌うことと原語の英語で歌うこと、同じ曲を歌う上で何か違いはありますか

海宝「それはあると思います。特に翻訳ものの作品をやるときには、原語は通らなければいけないと思っています。原語で歌うと、自然とメロディーラインの意味が分かってくるんですよ。原語だと、音が上がりきるところで重要な単語が当てられていたりするのですが、日本語は一音に一語なので、最高音のところでどうしても単体では意味を持たない助詞が当てられることもあるんです。そういうときにはまた違ったアプローチが絶対に必要になると思います。音を駆け上がった先が助詞だとしても、その前の単語からいかに上手く登っていくことができるか。翻訳ものを日本語でやるときに大切にしていることですかね」


――今年ウエストエンドの公演(イギリス・ロンドン・ピーコックシアターで上演されたTHE HIT OPERA SHOW『TRIOPERAS』)にも出演し、海外キャストと共演する機会も増えていますが、日本と海外の違いがあれば教えて下さい

海宝「海外は日本とカラーが全然違うので、そこは面白いですね。ウエストエンドでの共演者は、皆さんすごくダイナミックでした。颯爽とやってきて、パーっと歌って、颯爽と帰るみたいな(笑)。
日本人のキャストはすごく繊細に稽古をしますし、群舞もきっちり揃っていてきれい。海外の作品を観ても、そこは日本人の繊細さ・細かさが際立っていると感じます。一方でブロードウェイなどの作品を観ると、アンサンブルの一人一人までもがすごくパワフルでダイナミック。完璧に揃った群舞とはまた別の、力強いエネルギーが伝わってくるんですよ。国内・国外両方で作品に触れる機会が増えてきたからこそ、それぞれの持ち味・良さを学ぶことが出来ているので、すごく勉強になります」


――ウエストエンド・ブロードウェイといった“ミュージカルの本場”に比べると、日本のミュージカル界はまだ発展途上なのでしょうか

海宝「もちろん人種・言語的な壁など難しいところもありますが、決して遠い世界ではないと感じます。
僕がウエストエンドの舞台に出演していた時、渡辺謙さんと大沢たかおさんが出演されている『王様と私』も上演されていたので、観に行きました。お二人がロンドンのお客様を引き込み、沸かせていたのがとても印象的で。この作品を観て、“ミュージカルの本場”と言われる場所も、自分の意識次第で遠い世界ではなくなると感じましたね」


――公演のサブタイトルに「たった一夜で音楽の魔法にかかる」というキーワードがありますが、海宝さんはどんな音楽の魔法をかけて下さるのでしょうか

海宝「音楽を通して、それぞれの作品の世界を旅して頂きたいです。『美女と野獣』ならパリ、『メリー・ポピンズ』ならロンドン。『ライオンキング』のサバンナや、『ターザン』のジャングルなど、ディズニーの音楽は本当に幅広い世界へと案内してくれるはずです。皆さんが日常生活を離れ、旅に没頭できるような時間をお届けしたいと思います」


――今回の公演で、海宝さんが音楽の魔法で日本と海外を繋ぐ架け橋になって下さることを期待しています!

海宝「…頑張ります(笑)!!」

 

 

ヘアメイク/中嶋竜司
スタイリスト/及川千春
インタビュー・文・写真/ローソンチケット

【公式HP】
http://www.disneybroadwayhits.com