ふたりのドロシーが新たな旅へ！

パワフルな傑作ミュージカルが再演！

　2012年に続き行われた、演出家・宮本亜門がAKB48グループのメンバーから選ぶ、ミュージカル「ウィズ～オズの魔法使い～」のヒロイン（ドロシー役）・オーディション。今回は梅田彩佳、田野優花が選ばれたが、彼女たちにはそれぞれ異なるドラマがある。梅田は前回のオーディションにも挑戦。実力的には増田有華（前回のドロシー役）と一騎打ち状態となりながら、最終審査で落選した。

梅田「すごく悔しかったです。前回は流れで受けただけだったんですけど、オーディションの過程で演技がどんどん好きになっていきました。お芝居がしたいと思ったのは、あのオーディションがきっかけ。だから今回は私にとってはリベンジでした。私はAKB48グループのなかで2番目に年長者なので、『若手に譲ったほうがいいんじゃ？』って声も聞こえてきたりするんです。でも人生に譲れないものがいくつかあるとしたら、これはそのなかのひとつだと思っていたから『いや、絶対欲しい！』って（笑）。言い続けていれば、実際にそうなる気がしたので」

かくして願いが通じた梅田。もともとドロシー役は1名の予定だったが、宮本がどうしても絞れずに、Ｗキャストとして2人目のドロシーとなったのが田野だ。

田野「梅田さんに決まったとき、すごく悔しかったです。で、亜門さんが『もう一人います』っておっしゃったときは驚いたんですが、それは絶対私じゃない、とは思わなくて、なんか信じていたら名前が呼ばれました」

　田野も前回のオーディションに参加しているが、実は途中棄権している。

田野「当時の私は、舞台に出たり演技をしたいという気持ちがなくて。それを察したのか亜門さんが『正直、受けたくない人？』って聞いてくださって、『はい』って手を挙げて帰りました。そんな自分が、今はお芝居がやりたくてしようがないんです！」

　きっかけのひとつが、なんと梅田だった。

田野「梅田さんが出ていた舞台『イン・ザ・ハイツ』を観たんですけど、梅田さんが本当にキラキラしていてステキで、私もああいうふうになりたいと思いました。夢を与えてくれた先輩と同じ役をやるなんて夢みたいです」

梅田「田野ちゃんは楽屋に来るなり『めっちゃ良かったです』って泣いていたので、すごく印象的でした。変わるきっかけになったというのもあとから聞いてすごくうれしかったけど、『だったら、なおさら私は頑張らなきゃ！』ってプレッシャーを、自分に与えていかなきゃいけないと思っています」

　柔らかい雰囲気を持つキュート系の梅田と、エキゾチックな美人顔の田野。正反対といっていいほどタイプの違うふたりだが、共に役と自分との共通点を見いだしている。

梅田「私もドロシーと一緒で、根本的にネガティブで自信がなくて。でも一人だったら自信がないけど、隣にメンバーがいて一緒に踊ってくれたら大丈夫。そんなところに、自分がAKB48グループでやってきたことが生かせるんじゃないかと思います」

田野「抱えている悩みだったり、仲間と進んでいくという状況だったり。そしてドロシーも芯を持っている感じがしますね。私もデビュー当時から色々と考え方は変わっているけど、根っこの部分は変わっていないので。なんか似ているんじゃないかなと勝手に思っています」

　そしてお互い、“AKB48グループ代表”という気持ちの強さも人一倍。

梅田「『あのふたりがAKB48グループの人ね』って言われて恥ずかしくないよう、一緒に頑張らなきゃ。ほかのメンバーのためにも、AKB48グループってこんなにできるんだ、というのを見せなきゃと感じています」

インタビュー・文／武田吏都

【プロフィール】

梅田彩佳

■ウメダ アヤカ　　‘89年、福岡県出身。‘06年にAKB48のメンバーとなり、現在はNMB48チームBⅡの副キャプテン。女優としても活躍し、’14年4月にブロードウェイ･ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」に出演した

田野優花

■タノユウカ　　　‘97年、東京都出身。‘11年にAKB48のメンバーとなり、現在AKB48チームKのメンバー。’14年10月「トロイメライにさよなら」で初舞台、初主演。「ウィズ」が２本目の主演作となる注目株