ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT 』featuring SPAM®ゲネプロレポート

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2012年、話題が話題を呼び大爆笑の中幕を閉じた、ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」。

2月16日(月)、待望の再演が幕を開けた。そして、開幕に先駆け、公開ゲネプロが行われた。

 

物語は、軽快な演奏と、歴史学者を演じるムロの独特の語りで幕を開ける。

歴史学者が時代背景を説明する中で、「イングランド」という地名を出すが、アンサンブルキャストがこれを「フィンランド」と聞き間違え始まるフィンランドの歌(「魚たたきの歌」)。始まりから1曲まるごとボケに使うというなかなか贅沢な演出である。そして、劇中全ての歌詞に散りばめられた細かいナンセンスギャグは必聴だ。

 

いよいよ、ユースケ・サンタマリア演じるアーサー王とマギー演じる従者パッツィが登場。

アーサー王は、市民の認知は低く、口ごたえまでされ威厳はない。 従者パッツィが鳴らすココナッツの音でエア乗馬をするなど、天然ボケな王様である。

市民の口ごたえに嫌気がさしたアーサー王は適当な嘘で切り抜けようとする。そして、なぜ嘘をつくのかとパッツィから問われたアーサー王は、「こういうたぐいの嘘を積み重ねて芸能界を生き抜いてきたんだ」と答える。このように、本作では、アーサー王ではなくユースケ・サンタマリアが顔を出すシーンが多々存在する。このあやふやな設定が生み出す絶妙なユルさや、意表をつく演出が福田雄一作品の魅力であり、観客を引き込むポイントだと言える。

 

続いて、ロビン卿を演じる貴水博之、ランスロット卿を演じる池田成志、死んでないフレッドを演じるムロツヨシが登場。ムロの軽快?なダンスと初演時より格段に上達した?という歌声に注目して頂きたい。

 

そして、湖の貴婦人を演じる平野綾と、デニスを演じる松下優也がオペラ座の怪人風に歌い上げる「こんな歌」は、”いわゆるミュージカル”でありがちなパターンを説明しているだけの壮大なバラードである。平野の圧倒的な歌唱力と、それに相反する皮肉たっぷりな重みのない歌詞。このギャップが笑いのつぼを刺激する。

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仲間を集め聖杯探しの旅を続けるアーサー王。その道中、彼らの前に立ちはだかるのは、あの有名キャラや話題のキャラたち。”え?本当に大丈夫?(笑)”と観客側が面食らってしまうほどの福田演出が炸裂する。

 

その後、謎の森に迷い込むアーサー王と仲間たち。

そこで出会う、池田演じる二ッの騎士に、”ジパングで人気なる”という謎の試練をかされるアーサー王。ロビン卿がジパングで人気になる方法を歌う「成功するなら」では、少女マンガを原作とする作品の台頭など、日本のエンタメ業界の現状を皮肉りながら歌い上げる。

 

二ッの騎士を演じる池田だが、本作ではムロに次いで多くの役を演じている。どの役も個性豊かで、強く印象に残っている。最後まで池田が演じていると認識できなかった役もあり、変幻自在で強烈な池田の演技には是非注目して頂きたい。

 

そして、小姓と共に森の中を彷徨うランスロット卿のもとには矢文が届く。そこには助けを求めるメッセージが記されていた。己の欲の為、父親が強引に決めた縁談。受け入れることができず、城の中で助けを求め悲しみにくれるお姫様・・・ではなくムロ演じるハーバート王子。

乙女チックなハーバードは、ムロの独特なしゃべりと仕草で表現がされている。一度見たら癖になる、ハーバードの一挙手一投足から目が離せない。

また、マギー演じる衛兵と、ハーバードの父を演じる皆川が繰り広げるボケとツッコミの応酬は必見である。個人的には、本作でもっとも笑ったシーンだった。2人のやり取りはとにかくしつこい。あまりのしつこさに、皆川が「これがあるから再演への出演を断ろうと思った」と舞台上で言い出してしまうほど。観客としては、お腹を抱えて笑い転げてしまうシーンだが、皆川本人にとっては息つく暇のない劇中でもっともハードなシーンなのかもしれない。

 

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笑い過ぎてストーリーが見えなくなってしまいがちだが、アーサー王とその騎士たちの目的はあくまで聖杯である。多くの試練を乗り越え、はたして彼らは聖杯にたどり着くことができるのか…

バカバカしくて面白い、ひたすら笑えるミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』 featuring SPAM®。是非、会場で福田ワールドを体感して頂きたい。