舞台『マクベス』佐々木蔵之介 インタビュー

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ほぼひとりで演じる“マクベス”

革新的な演出版が日本初上演

 

シェイクスピア4大悲劇のひとつ「マクベス」。あまりにも有名すぎるこの戯曲を、役者・佐々木蔵之介がほぼひとりきりで演じ切るという。しかも、舞台はとある精神病院。病室の監視カメラが患者の動きをすべてとらえるなかで、佐々木扮する一人の隔離患者が突然「マクベス」を語りだすというスコットランド・ナショナルシアター版のこれまでにない演出が光る。

佐々木「精神病院の入院患者という設定にはなりますが、戯曲は純粋にシェイクスピアのものをそのまま使います。もちろん、セリフもまったく付け加えられていません。物語も登場人物もそのままにひとりで演じ分けていくことになるので、越えなければいけない課題はものすごく高いなと感じています」

たったひとりでシェイクスピアのマクベスを演じるという「高すぎるハードル」を選んだ佐々木。その理由について聞いてみると――。

佐々木「今回の日本版では、スコットランド・ナショナル・シアターのオリジナル版演出家アンドリュー・ゴールドバーグが演出を務めます。シェイクスピアを本場のスタッフたちと一緒に作れる機会はそうそうありませんし、そこに自分の身を置いてみたいと思って。それがどんなに大変で不安なことなのかはこれから味わうことになると思うんだけど、本番までにどれだけ準備できるか。覚悟を持って稽古に臨みたい」

シェイクスピア作品と聞くと、どうしても「難解なのではないか」と心配する人が多いのでは? そんなシェイクスピア作品について、これまで別演出の「マクベス」、「夏の世の夢」に出演経験のある佐々木はこう語る。

佐々木「シェイクスピアは翻訳劇ですし、どうしても難しそうだというイメージがあると思うんです。確かに役者のセリフ量は『こんなにしゃべるか?』っていうほど膨大。でも、それだけ話さずにはいられない感情が登場人物たちの心には渦巻いているからなんですよね。400年前の作品が今も上演されているということは、やはり人間の根本的な部分に触れているからだと思います。どの人物たちもいろいろと迷いながら、時に崩れてしまうような弱い人間ばかり。そこにシェイクスピアならではの面白味があって、人々の心をつかむんだと思う。演じる側は、キャラクターがひとりで思いを語る独白も多くて大変ですけど、『なぜ大地にまで話しかける?』なんて突っ込みながらやっていると、その高いハードルも楽しめてしまうんです」

精神病棟に入院している患者を通して語られる「マクベス」。その患者がなぜ精神病棟に入れられたのか、なぜ謎の袋を手にしているのか。映像やカメラワークを駆使した斬新な演出とともに、患者自身の謎解きも並行する。

佐々木「自分の心のなかには違う自分がいて、誰もがそれを自然に演じ分けていると思う。魔女が誘ってきたら乗ってしまいたいと思う自分もいれば、それを制する自分もいる。そう考えると、一人芝居も無理して演じ分ける必要もない気がしています。これまで様々な解釈がなされてきたこの『マクベス』。役者としていろいろな限界や壁にぶちあたると思いますが、“シェイクスピアってかっこいい”と思ってもらえるような舞台にするつもりです」

 

インタビュー・文/まつざきみわこ
構成/月刊ローソンチケット編集部

 

【プロフィール】

佐々木蔵之介
■ササキ クラノスケ 京都府出身。大学在学中に劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加し、看板俳優として活躍。’00年NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」で注目されて以来、舞台だけでなく映画やドラマに多数出演。独自の存在感を放つ。

 

【公演情報】
舞台『マクベス』
日程:2015/7/12[日]~8/30[日]
会場:パルコ劇場、森ノ宮ピロティホール、KAAT神奈川芸術劇場、北九州芸術劇場・中劇場
料金:【東京】¥8,500 プレビュー公演 ¥8,000【大阪】¥8,800【横浜】¥8,000【北九州】¥7,500

※全席指定
※未就学児入場不可

【発売情報】
一般発売:[東京・大阪・横浜]4/25[土] [北九州]6/28[日]

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