【“成河(そんは)” 密着取材②】インタビュー

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≪連載企画≫
ローチケ注目俳優!第1弾 “成河” 密着取材②

 

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 連続テレビ小説「マッサン」では主人公亀山政春が入社する鴨居商店の広報・紺野役として、

 そして全国東宝系で公開中の『脳内ポイズンベリー』では真木ようこ子演じる主人公・櫻井いちこを支える担当編集者・越智宏彦役で出演。話題作への出演が続く成河さんは舞台の世界ではその存在を知らない人はいないという、今最も注目を集めている若手実力派俳優。

 主演舞台『アドルフに告ぐ』が7月4日まで地方公演、また8月15日からはミュージカル『100万回生きたねこ』の主演が決定しています。

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ローチケ演劇宣言!では注目の役者・成河さんに密着!

稽古場レポートを始め、作品への想い・演じることへの想いを熱く、そして楽しく語ってくれる成河さんのインタビューをお届けしてきたいと思います!

 

 

<第2回>

頭で考える芝居と

何も考えずとことん体を動かす芝居

両方経験できたからこそ今の自分がある

 

―前回、高校の学園祭で初めて芝居を経験し、そこで“静寂”に魅せられて演劇の世界にのめり込んでいったというお話を聞かせて頂きましたが、その後大学で演劇サークルに入って本格的に成河さんの舞台活動が始まるんですね。

成河 演劇サークルに入ってとにかくむさぼるように芝居の世界に入っていきました。サークルから出て自分たちで劇団を作って自主公演もやりましたし、アマチュアながらも精力的に活動をしました。僕が選んだ大学のサークルは東大の演劇サークルでメンバーも当然東大生が多かったんです。“演劇はインテリのもの”と言われた時代があったように、そこでは“演劇とは、芝居とは”といった理論はもちろん、芝居をすることよりもその作品が何を表現したいのか観念的なことを議論するのが楽しい、というインテリ風な劇団でした。僕は一年半くらいその劇団を離れてつかこうへいさんの「★☆北区つかこうへい劇団」に参加させて頂いたのですが、そこがまた前の劇団とは真逆で(笑)。「頭なんか使うヒマがあったらとにかく動いて汗をかいて表現するんだ!」みたいな経験をするんです。どちらも理解できるし、楽しい日々を過ごしながらも僕はどこかで「根っからの体育会系ではないし・・・、かといって頭で考えるばかりというのもしっくりこないな・・・」と思う部分があって、「どちらにも正しい部分がある」とか「自分はどうすればいいか」を一人で考えていました。その当時から誰かに話すわけでもなく周囲を客観的に見て分析したり、一人で考える時間が好きでしたね。

 

―勉強熱心と言われる成河さんのルーツですね。たくさん情報を集めて分析して整理して答えを導く。役作りにも通じているのではないでしょうか?

成河 あまり意識したことはないですが、それは今にも通じていて、自分で情報を集めて観察して、さらに自分なりに整理して考える、というのは昔から変わらないですね。自分で考えていたことが“あっている”とか“違った”みたいなことを繰り返しながら自分の中に確かな情報をためているのは間違いないですね。

 

―出演される作品が幅広いですよね。

成河 出演させていただく作品はタイミング含めてやっぱりご縁だと思います。僕は何でもやりたいし、どんな作品にも興味があります。ましてや自分で“熱い”と感じたいし、自分で“痛い”も感じたいタイプ(笑)。いろんな経験をしたいと思っています。考えることも大好きですが、“とにかくやってみる”というのも好き。それはやっぱりつかさんの劇団での経験が大きいですね。大学のサークルの経験だけだったら今の僕は無かったかな・・・。演じることの歓びを教えてくれたつかさんの劇団での経験が今の僕を作ってくれているのは間違いないです。

 

―現在上演中の舞台『アドルフに告ぐ』では“主演”として大きな役割を担っています。

成河 便宜上「主演」とついているだけですよ(笑)。僕個人としては「主演」という立場や言葉にこだわっていませんし、基本的に気にしていないです。1人芝居ならともかく、舞台はたくさんの出演者がいて成立するものですし、今作もそうですがあくまで群像劇です。僕一人の力でどうにかできるものではなく、出演者みんなで創り出す世界をお客様には感じてもらいたいですね。演じるのは僕ですが、物語としてアドルフ・カウフマンがちゃんと存在できて僕個人が消えてくれればそれが一番ですから。

 

―消える?

成河 舞台上では成河という存在が消えてアドルフ・カウフマンがそこにいると感じてもらえたら、という意味です。以前『春琴』でご一緒させて頂いた演出家のサイモン・マクバーニーに出会って、僕は天地が引っくり返るくらい演劇観を変えられたことがありました。「俳優は消えなければいけない」それが彼の哲学でしたし、それが当然というスタンス。「俳優個人が見えてはいけない」そう教えてもらいました。例えば「月が綺麗だ」という台詞一つでも、観て頂いた方が「あの俳優さんの台詞が良かったね、表情も良かったしずっと忘れないわ」という感想を言ってもらう場合もあるでしょうが、「誰が言った台詞だったか覚えてないけれど、本当に綺麗な月が見えた気がしたね」と言ってもらえるか。サイモンの教えは後者で、そういう演劇作品を作るカンパニーでした。当時の僕はアングラ芝居はもちろん、いろんなテント芝居を見て勉強していましたけれど、そこにも劇団を引っ張るスターはたくさんいましたし、そういう世界なんだと思っていました。でもサイモンたちと出会ったことで僕の中にあった固定観念が覆されたんですよね。そうじゃない世界があるんだ、と。

 

―確かに、観ているうちにその人が役柄そのものに見えてくる場合がありますね。

成河 でもこれが演じるとなるとまた難しいし、なかなかできないんですよ(笑)。僕もそう意識してからもがき苦しんで、もがいてもがいて、どうすればそうできるのか未だに答えが出ていませんが、サイモンやジョン・ケアードを始め素晴らしい出会いが僕の思考の大きな幹を作ってくれたと思っています。

 

―演技で表現することも難しいですが、観る側にも影響されることですから簡単なことではないですよね。

成河 日本でどういうエンタテイメントが求められていて、どういうエンタテイメントを作っていくのか。突き詰めていくとそういう話になりますよね。どちらがいいということではなく、俳優という職業を選んだからには自分たちが創るエンタテイメントの質を良くすることを考え続られる役者でありたいと僕は思っています。エンタテイメントの世界、その間口を狭めることなく、逆に広げていく力を持った役者でありたいです。

 

―高校の初舞台から始まって、役者・成河がこうして出来上がっていくんですね。

成河 まだまだ勉強中ですし、まだまだ道の途中です。本当に出会いに恵まれていると思います。ジョン・ケアードもサイモン・マクバーニーも、そして今作「アドルフに告ぐ」の演出の栗山民也さんも、演劇という長い長い歴史と文化に精通している素晴らしい方たちですし、彼らと触れ合う機会を持てたのは本当に貴重な経験です。サイモンがある時、「写真の発明によって絵画が解放されたように、テレビや映画があるからこそ演劇は解放される」という言葉を聞きました。「写真が無かった時代、絵画はとにかく写実的であることを求められ、写真のような絵を書かなければならなかった時代があった。写真ができたことによって絵画はその役割が無くなったけれど、その分もっと絵画らしい表現の方法をより自由にできるなった」ということです。それが演劇にも当てはまるんじゃないか、と彼らは言うんです。テレビや映画ができたから舞台は廃れていくんじゃないか、と思うかもしれないけれど「写真と絵画の関係を見れば明らかなように、テレビや映画があることによって舞台はもっと自由になって、もっともっと自由に表現できるようになる」とい言うんです。僕はその話をしてもらった時、こういう言葉を自分も継承していきたいし、そういう役割を担っていきたいと心から思いました。

 

 

<第3回>へ続く。

 

 

◆今後の出演予定◆

『アドルフに告ぐ』

6/3(水)~6/14(日)KAAT神奈川芸術劇場 ホール 公演終了

7/3(金)~7/4(土)刈谷市総合文化センター大ホール(愛知)

チケットのお申込は⇒こちら

『100万回生きたねこ』

8/15(土)~8/30(日)東京芸術劇場 プレイハウス

10/2(金)~10/4(日)シアターBRAVA!

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