KERA・MAP #006『グッドバイ』ケラリーノ・サンドロヴィッチ&仲村トオル インタビュー

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KERAと仲村の
名コンビが太宰に挑む

 

 ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)と仲村トオル。昨年末は舞台「夕空はれて〜よくかきくうきゃく」、今年はドラマ「怪奇恋愛作戦」と、立て続けにタッグを組んだ作品が発表されてきた。さらに9月、太宰 治未完の遺作を舞台化した「グッドバイ」でこのコンビが舞台に再登場する。

 原作となる小説「グッド・バイ」は、10人の愛人を持つ男・田島の物語。田島は田舎に残してきた妻子を東京に呼び寄せることを決意し、そのために愛人全員と別れようと画策する。愛人たちときれいに別れるため、とびきりの美人を妻と偽ることにし、仕事で出会ったキヌ子を雇うが、田島はキヌ子に振り回されることに……。

 一人目の愛人に会いに行ったところで終わってしまっている原作の続きを、今回KERAが紡ぐこととなる。田島を仲村が、そしてキヌ子を小池栄子が演じる。

 

−−なぜ仲村トオルさんと小池栄子さんを選んだんですか?

KERA「誰がいいだろう? と唸ってひねり出したわけではなく、直感的にこの二人なら面白そうだと思ったんだよね。そしたら快諾いただけて、二人以外の役も『この人だったら』と思った人全員にOKをもらえた。トオルくんにはかなり以前にお願いしていて、その後に別役さんの舞台(『夕空はれて〜』)とドラマが決まったという順番なんです」

仲村「お話をいただいたのは確かにずいぶん前でしたね。その時点では僕も原作を読んでいませんでしたし、太宰 治という作家にも特別な思い入れはなかった。ただKERAさんの舞台で、小池栄子さんとご一緒するとなれば、それはもう面白くなるだろうという予感がありました」

KERA「今回はあんまり小難しくも、重くもないコメディーを書きたいなと思ってる。原作から設定はもらうけれど、ほとんど自分の脚本というつもりでいるんです」

 

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−−KERAさんからみた仲村さんの魅力とは?

KERA「とにかく面白い人なんですよ。何をやっても、僕はツボにハマってしまう(笑)。最初に出てもらった舞台『黴菌』では変人を、ドラマ『怪奇恋愛作戦』では狂人といってもいいようなデタラメな人物を演じてくれたけれど……」

仲村「たしかに、KERAさんの作品っていつも『こんな役、これまで要求されたことがなかったな』というキャラクターなんです。今回は振り回される側ではあるけれど、妻子を東京に呼び寄せるために多くの愛人と別れなきゃいけない。そのために別の美女を見つけなきゃいけないって、またちょっとおかしい感じがありますね(笑)。今まで見たことのない自分を見られたり、感じたことのない感覚に触れられたりするのはKERA作品に参加させてもらうときの魅力です」

 

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−−小池さんはもちろん、ほかにも豪華なメンバーが揃っていますが、仲村さんが楽しみにしている共演者は?

仲村「今回の作品がもしドラマや映画で、『今日はこの女優さん、明日はこの方』という形ならば楽しいだけかもしれませんが、その人たちが一堂に会する状況が1カ月以上も続くと思うと恐怖に近い不安を感じます(笑)。みんなを平等に愛さなければ……」

 

——今回は原作にはない、萩原聖人さん演じる田島のライバルも登場するそうですね?

仲村「萩原くんとは何十年来の友人で、『いつか一緒にすごいことをやりたいね』と言い合っていたんです。でも今までは共演してもほとんどすれ違うような役ばかりだった。僕たちがずっと待っていたのはこの『グッドバイ』なのかなあという気もします」

 

−−7年ぶりに「KERA・MAP」という冠がついていますが、ほかの作品と意識の違いはありますか?

KERA「自分の名前がついているぶん、“シアターコクーン・オンレパートリー”とか“パルコプロデュース”とかよりも責任の重さを感じてます。普段ないわけじゃないけど(笑)。“KERA・MAP”は毎回僕が言い出しっぺなので、ちゃんと品質保証できるような作品にしたいと思います」

 

インタビュー・文/釣木文恵
Photo/慎 芝賢
構成/月刊ローソンチケット編集部

 

 

【プロフィール】

■ケラリーノ・サンドロヴィッチ ’63年、東京都出身。’93年ナイロン100℃を旗揚げ。脚本、演出、映画監督など幅広く活躍。有頂天、ケラ&ザ・シンセサイザーズほか音楽活動も活発。

■仲村トオル (ナカムラ トオル) ‘65年、東京都出身。映画「ビー・バップ・ハイスクール」でデビュー以降、数々の映画、ドラマで活躍。「エッグ」「オセロ」など舞台にも活躍の場を広げている。

 

 

【公演情報】

KERA・MAP #006『グッドバイ』
公演日程・会場:
2015/9/12[土]~27[日] 東京・世田谷パブリックシアター
2015/10/3[土]~4[日] 北九州芸術劇場 中劇場
2015/10/7[水] 新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
2015/10/10[土]~11[日] 大阪・シアターBRAVA!
2015/10/17[土]~18[日] 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホール

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