「RENT」エンジェル役・平間壮一さんインタビュー

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人生を愛で測ろう Measure your life in Love
「RENT」
エンジェル役・平間壮一さんインタビュー

 

 「RENT」(レント)は1996年2月、オフブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで初演され、後にブロードウェイのネダーランダー劇場に舞台を移して以来12年4か月、連続上演5140回。現在では歴代8位のロングラン公演記録を樹立したミュージカルの最高峰。

 アメリカではもちろん世界中で各国語版の「RENT」が上演されるなか、日本でも名だたる実力派若手俳優が名を連ね繰り返し上演されています。

 2015年9月8日よりシアタークリエにて再演が決定した「RENT」でストリートドラマーのエンジェル役を演じる平間壮一さんにインタビューしました。

 

――実は以前も「RENT」のオーディションを受けていたそうですね。

平間 そうなんです。以前オーディションを受けた時は何の手ごたえも無く、たぶん“全く対象外”みたいな勢いで落ちたと思います(笑)。「RENT」はニューヨークでも観ましたし、もちろん日本で上演された舞台も観て“自分も出演したい!”と思っていた大好きな作品でしたから、もう一度オーディションに参加しました。でもまさかエンジェル役だとは思っていなかったので、お話を頂いたときは心から嬉しかった半面本当に悩みました。もちろん「RENT」には出たいけれど、エンジェルという役が作品のなかでもひと際特別な存在なのも知っていましたし、同性愛者という設定なので僕がそこまで理解して演じられるんだろうか、中途半端になるくらいならやらないほうがいいはず、でも出たい!みたいな自問自答を繰り返しました。

 

――エンジェルといえば物語のなかでも重要なキャラクターですよね。

平間 エンジェルは同性愛者でHIVポジティブ。これだけでもハードルが高いなと思いました。今とは違って同性愛者であることをオープンにできるような時代じゃなくて、比較にならないくらい差別もあった。HIVも当時は治る見込みのない不治の病だったから、彼はある意味死を宣告されたようなもの。そんな過酷な環境のなかでも自分らしく一生懸命誰かを愛して愛されて、 “やっぱり人生は素晴らしい”と精一杯生きる姿を僕は演じられるんだろうか。多くの人に愛される「RENT」のエンジェルという役を全うできるんだろうか、と不安がずっと消えませんでした。

 

――その背中を後押ししたきっかけは?

平間 やっぱり大好きな作品ですから自分ができるならどんな役でも出たい。難しい役だけれど最大限努力してそれでもダメなら批判も受けよう、って腹を括った瞬間がありました。自分のこれまでの経験やイメージを越えて新しい可能性にチャレンジするタイミングなんだ、と半ば強引に自分を納得させて覚悟を決めました(笑)。

 

 

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――まだ稽古前ではありますが、エンジェルという役に対して自分なりにどんな風にアプローチしようと思っていますか?

平間 かなりシミュレーションはしています。エンジェルはコリンズを心から愛してますが、僕はエンジェルのようにコリンズを愛せるんだろうか?性別を超えた人間愛は理解できるけど、もっと違う感覚なのかもしれないし自分にとっては正直未知の世界。加藤潤一君やTAKE(Skoop On Somebody)さんを愛おしいと思えるのか・・・(笑)。自分は頭で理解して演じるとか、引き出しにある知識や経験から役を作るなんてできないタイプだから、本当に彼らを愛してしまうくらい感情を入れ込まないとこの作品のテーマである“愛”の域までいけないかもしれないな・・・とか。もちろんゴリちゃん(加藤潤一)やTAKEさんを愛するんじゃなくて、あくまで彼らが演じるコリンズを心から愛する、ということですよ(笑)!

 

――新しいチャレンジになりそうですね。

平間 この間ニューヨークにダンスレッスンに行く機会があって、そこで出会った人たちはほとんどが男同士だけど見たことのない密着感とスキンシップが普通でした。自分にはない世界が広がっていて衝撃的でしたね。たぶん根本の部分でいったらゴリちゃん(加藤潤一)のほうが感覚的には近いんじゃないかな。彼はキレイ好きだし化粧するのも大好きだし(笑)。僕の場合は先日エンジェルの衣装で撮影した時も、やっぱり指先がそれっぽくなってないんですよね。力の入れ方、抜け方がわかってないからしぐさが固くて。最近は信号待ちの時に女の人の立ち姿とか、カバンを持った時の手の向きとかずっと見てます。あとはIVANさんにみっちり教えてもらおうと思っていますが(笑)、今はそんなしぐさの研究に没頭してます。

 

――キャストを見ると歌手の方も多く、とにかく歌の上手い方の名前が並んでいますね。

平間 そこは“気持ち勝負”で行こうと思います!もちろんボイトレに通って自分のやれることはやりますが、さすがに歌で勝てる気がしないので歌じゃないところで勝負しようかな(笑)。“平間壮一が演じるエンジェルって何かイイよね”って言ってもらえるように頑張るしかないです。歌もそうですが役作りも未知の世界ですし、自分にとってはいろんな挑戦が待っている感じですね。

 

――平間君が思う「RENT」の魅力とは

平間 この作品は“愛”が大きなテーマです。登場人物それぞれに愛の形があって、成就する人もいればそうでない人もいる。物語を通して全てに“愛”が溢れているのはもちろん、「RENT」に携わるキャストの間にもスタッフの間にも“愛”があるんです。それはたぶん、この「RENT」が初めて上演された時から脈々と受け継がれているものだと思います。“人生を愛で測ろう”というキャッチコピーがついていますが、文字だけだとあまりピンと来ないかもしれない。でもこの舞台を観るとそれが何を意味しているのかよくわかると思うんです。みんな「RENT」が大好き。だからこそこの「RENT」が続いていて、それが目に見えるのがこの作品の素晴らしさなんだと思います。それに「RENT」を観たことが無い方という方も“この曲聴いたことある!”という歌がたくさんあります。ぜひこの機会にご来場頂けると嬉しいですね。衣装はもちろんですし、ダブルキャストだからこそ個々が光るキャラクターも楽しんでいただけると思います!

 

――では、平間壮一の見どころは?

平間 (笑)。平間壮一を観に来て下さる皆さんにはイイ意味で期待を裏切りたいと思っています。さっきは気持ちで勝負、と言いましたが(笑)、“あれ?そんなに歌えたっけ?”と言わせたいし“私よりかわいい”と思わせたいし、自分としてはまた役者・平間壮一の新たな一面を見せられるように頑張りたいと思っています。男25歳、社会人らしくちゃんと考えてちゃんと作品と向き合って頑張りたいのと、今までの「RENT」をイイ意味で壊したい。こんなエンジェル初めて、こんな「RENT」もあるのねと思ってもらえるようなチャレンジをしたい。そのために自分がいると思っています。苦労して悩んで作り上げた僕のエンジェルをぜひ劇場に観に来てください!

 

 

【公演情報】
「RENT」
日程・会場:
9/8[火]~10/9[金] 東京・シアタークリエ
10/16[金]~18[日] 大阪・森ノ宮ピロティホール
料金(税込):
【東京】S席¥11,300 A席¥8,800
【大阪】¥11,500

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Photo by Leslie Kee

 

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