――俳優のイメージが強いですが、もともとはシンガーソングライターとしてデビューしているんですよね。
「21歳のときに“洸平”の名前でメジャーデビューして、1年ちょっと過ぎたぐらいでミュージカルのオーディションのお話をいただいてから、『あ、役者も面白いな』ということで、気がついたら役者メインになっていたんですけど。でも役者の仕事をしながらも曲は作っていたし、作ったらやっぱり聴いてほしいし。一番素に戻れる、ありのままの自分でいられる場所はたぶんライブのステージだと思うので、年に1回のライブ開催を目安に続けていきたいと思っているんですけど」
――そして今年のライブは11月2日に渋谷WWWで開催。現在、その準備で大忙しだとか。
「さっき言ったように、ライブは自分の中ですごく大切にしている行事だったりするからもちろん楽しみなんですけど、どんな仕事よりもシンドい!(苦笑) 自分で何もかも全部決めて、いろんな人を動かしていかなきゃいけないから。例えば舞台の仕事だったら僕らは演出家に指示を受ける側だけど、動かすのも自分、動くのも自分っていうのはめちゃくちゃタイヘンで。ありがたいことに規模も大きくなってきていてできることも増えて、そうなると『あれもやりたい、これもやりたい』ってさらに欲が出てくるし、自分があと5人ぐらいいないと追いつかないんじゃないかと思うぐらいです(笑)」
――松下さんは絵も描けるので、グッズのデザインも自分でやられているんですよね。
「それも全部やりますね。今回のライブは“のんびり”“ゆったり”という意味の「CALM」ってタイトルなんですけど、そのコンセプトを決めるところから構成も。やっぱり僕の中に描いているものは僕にしかわからないから、どうしたらそれを具現化できるかっていうのを、みんなで話し合いながら決めていきます」
――じゃあほんとに隅から隅まで詰まっていて、どこを押しても“松下洸平”のエキスがニュッと出てくるような。
「そうそう(笑)。飾らずに自分のやりたいことを表現できる唯一の場所かなぁと。1年を通じていろんな仕事をさせてもらっていますけど、中でも俳優はやはり特殊な仕事だと感じます。いろんな気持ちをもらったりいろんなことを経験させてもらうから、それを逆に自分のライブで返していくというのが、ここ数年、繰り返し続けていることなのかなと思います」
――具体的にはどんなライブに?
「ファンクラブのサイト限定で、できた曲をyoutubeにどんどんアップしていく形にしているので、そういう今までコツコツ作り貯めていた曲とか、毎回カバーも1、2曲やったり。このライブ用の新曲も。3曲くらいできて、だいぶ“CALM感”のある仕上がりになっています。で、全部で13~14曲くらいを今考えていて」
――ちなみに、これまではどんな曲のカバーを?
「例えば去年はAKB48の曲とか(笑)。みんなに楽しんでもらえればいいなと思って、アコースティックに変えて僕なりにアレンジして歌ったり。あとはハナレグミとか、新納慎也さんがゲストに来てもらったときはSMAPの『セロリ』を一緒に歌いました」
――ゲストも登場するんですね。
「そう、新納さんとか、ミュージカル『スリル・ミー』で共演した小西遼生くんも前に出てくれました。そして今年は『スリル・ミー』や『アドルフに告ぐ』でも一緒だったパクさん(朴勝哲)がゲストプレーヤーでピアノを弾きにきてくれます! 毎年オファーしていたんだけどいつもスケジュールが合わなくて、今回やっと。僕のオリジナル曲をパクさんに弾いてもらって僕が歌うという、2人のコーナーも作る予定です」
――MCはどんな感じなんですか?
「こんな感じ(笑)。ダラダラしゃべります。曲も含めて全体的におとなしい感じのライブだから、よくみんな眠くならないなと思いながら(笑)」
――そこもまさに、“ゆったり”“のんびり”の「CALM」なんですね。この言葉は何から出てきたもの?
「なんなんですかねぇ? たぶん、僕自身がそれを求めているんじゃないかな(笑)。今年、『アドルフに告ぐ』というなかなかパンチの効いた舞台をやったり、今後のスケジュールを見ても結構ハードなものがあったりするので。でも僕自身はわりとゆったりのんびりしてるんですよってことを言いたいっていうのもあるのかな」
――取り巻く環境とは違うんだよ、と(笑)。
「ってことを(笑)。ただ過去のライブにも“CALM”は当てはまるんですよ。僕は気質としてのんびりゆったりしたいタイプだから、この“CALM”って言葉で自分を守ってもらいたい、そういう気持ちも含まれているような気がします。そうして自分のためにやったことが観ていただいた方にも喜んでいただけたって実感が過去のライブでもあって、だから続けていかなきゃいけないとも思っていて。来てくださる皆さんには少しでも都会の喧騒から離れてのんびりゆったり、ちょっと車で海に行ったような感じを、僕の音楽を通じて感じてもらえればいいなって思います。そういう空気で包む、CALMらしい照明っていうのも今絶賛作っている最中です」
――そういう部分にも本人のこだわりがあるっていうのは、ファンの方もうれしいと思います。
「プロではないので、僕のイメージを伝えて、大人たちを困らせるという程度だけど(笑)。でも今回は準備に通常の倍ぐらいの時間を掛けられていて、わりと早い段階でいろんなことが決められているから、いいライブになるような気がしています。次の日とその次の日頑張れるパワーくらいはお届けできるような気がするので、俳優としての僕を知っている人も何も知らない人も、とりあえず1回見てほしい!」
――2009年の「GLORY DAYS」で俳優デビュー以降、同じ歌うのでも“ミュージカルで歌う”ということが加わりましたが、ミュージシャンとして何か変化がありましたか?
「変わりましたね、やっぱり。ミュージカルの仕事をやり始めてから、歌の持っている力に気づかされました。自分の音楽もよりいっそう大切にするようになったし、作る曲も変わってきた。以前は、自分のキャパシティも狭かったし、みんなに気に入ってもらえるような曲を書かなきゃと思いすぎて苦しい部分もあったんですよね。こんなはずじゃない、こういう曲をやりたかったわけじゃないって思った時期もあって。そういう意味では俳優を始めたことで、すがれるものが僕にできた。だからその先の松下洸平の音楽人生はわりと自由奔放に、好きな音を出せるようになったっていうのが、ひとつの大きな変化かなと思います」
取材・文/武田吏都
★松下洸平ライブ情報&コメント動画到着!
【公演情報】
『松下洸平 LIVE 2015 ~CALM~』
日程:11/2(月) 18:15open / 19:00start
会場:渋谷 WWW(ダブルダブルダブル) 東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル地下
料金:6,500円(整理番号順入場自由席・ドリンク代別)
★詳しいチケット情報は下記「チケット情報はこちら」ボタンにて!