「ブロッケンの妖怪」 竹中直人&生瀬勝久 インタビュー

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濃密かつ絶妙なタッグによる
待望の第2弾がこの秋決定!

 

 この写真の並びだけでも伝わる濃厚さ。と同時にわいてくる大きな期待感! そんな演劇ファンならずとも注目必至のタッグ、その名も「竹中×生瀬企画」が、第2弾「ブロッケンの妖怪」を上演する。第1弾「ヴィラ・グランデ 青山~返り討ちの日曜日~」からはや4年。当初は、生瀬の竹中へのラブコールから始まったという。

生瀬「僕は学生のころから、ラジカル・ガジベリビンバ・システム(シティボーイズ、宮沢章夫、いとうせいこうらとともに竹中が活動していたギャグユニット)や竹中さんが出演される番組をずっと観ていて憧れていたんです。だから、いつかぜひご一緒して、竹中さんが芝居をするのを間近で見たいと虎視眈眈と狙っていて(笑)」

竹中「ちょっと演劇から離れていた時期だったということもあってオファーはうれしかったけど、最初は二人芝居でという話だったよね。でも最初からそれは無理だと思ったから、『何人かでやろう』と(笑)。ただ、作・演出を倉持 裕君でとお願いしたのは僕のほうだった。彼が主宰するペンギンプルペイルパイルズの『まどろみ』もそうだったけど、変わった芝居のなかにも、どこか引っかかるものをずっと感じていたから」

 

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 そうして始まった稽古。だが、そこでの竹中の姿は、生瀬のイメージしていたものとは少しかけ離れていたようだ。

生瀬「いわゆる職業俳優とは違って、感性を第一に考える方だと思っていたんですが……。実際の竹中さんは、それ以上に、倉持君独特の繰り返し稽古にすごく真面目に取り組んでいらしたんです。僕は現実主義者だから、船頭である演出家が作りたいイメージを早く知ってそれを具現化したい、そう思うタイプなのに」

竹中「僕はね、これまで一緒に芝居をやってきた岩松(了)さんに、『もう一回』『はい、もう一回』と言われる稽古がすごく肌に合っていたの。この役はこうだという解釈が僕のなかには常に存在しない。でも、言われたとおりに何度も同じシーンをやっていくうちに、感情が動く瞬間があって。なにより僕は、大好きな演出家から『もう一回!』と言われること自体がうれしい。そのまなざしに、『ヤッバい、色っぽいなぁ』なんて思っちゃう(笑)」

生瀬「すごいっ。俺は絶対に思わない!」(二人爆笑)

 

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 「ブロッケンの妖怪」は、放浪癖のある絵本作家の打越(竹中)と担当編集者の黒柳(生瀬)を軸に展開するホラーコメディーだ。孤島の洋館の影が海上に浮かび上がる“ブロッケン現象”の取材にやって来た彼らは、やがてその幻の館に、自分たちとそっくりにして真逆の人物がいることに気が付き……。

竹中「『ホラーっぽいのを』みたいなことを提案した記憶はあるんですけど、チラシにも書いている“全てを手放そうとする者と、一つとしてこぼすまいと抱え込む者”という設定も含めて、またすごいストーリーを考えてきたなと。シノプシスの段階で、すでに期待が膨らんじゃってますね(笑)。映像の世界からメインの女優さんを呼んでいた岩松さんとの『竹中直人の会』の流れもあって、前作の山田 優ちゃんに続き、今回は初舞台の佐々木 希ちゃんも参加してくれる。その点でも面白くなりそう」

生瀬「風呂敷を広げようと思えば、いくらでも広げられる物語ですよね(笑)。ただ、倉持君の前作は、ラストになっても大きなことが起こらないとか、登場人物たちが考えていることが映像ではなかなかできない形で表現されているとか、演劇ならではのエンタテインメントとしてすごく面白かった。だから今回も、いい感じで着地させてくれるんじゃないかな」

 

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 この企画への思いや自身の役に対するアプローチ哲学について、和気あいあいと語り合う二人。だが聞けば、前回の公演以降、一度も個人的には会っていないのだと言う。

竹中「変なところで“馴れ合い”にならない。それが面白いんです。それに、互いの距離を測っていく芝居の取り方ができるのも、僕にとっては貴重な経験で。というのも、生瀬君とやっていると、グッと出てくるようなあのインパクトのある顔が迫ってくるぶん、こちらもそれを弾き返すような力を持っていなくちゃいけない(笑)。だけど、その力があまり強くなって出すぎてもダメで。まるで、微妙な駆け引きのなかで静かに戦っているような感じなんです」

 

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生瀬「この世界の先輩にそんなことを言われるなんて光栄です。僕なんかは、竹中さんに対する刷り込みがあるから、舞台上での『よくもそんな、いけしゃあしゃあと』という表情には、やっぱり笑ってしまうんですけど(笑)。それにしても、2回目が実現して本当によかった! 続いたというのがすごく大事だし、今回の成果がこの先にもつながっていきますから」

竹中「そうだね。僕としては、とにかく今回も、すごくいい芝居になりそうという予感しかしない。とんでもないテンションで二人の“恐怖の顔合戦”をしようと思う。ただし、体には気を付けてね(笑)」

生瀬「テンションを上げることをよしとする先輩世代の考え方って大好きです。僕も負けないように頑張りますよ!(二人笑)」

 

インタビュー・文/大高由子
Photo/大嶋千尋
構成/月刊ローソンチケット編集部 10月15日号より転載

 

ヘアメイク/外丸 愛
スタイリスト/兼子潤子(竹中)、中谷東一(生瀬)
衣裳/
【竹中直人】※価格は税抜き
ジャケット 23,000円
プルオーバーシャツ 20,000円
シャツ 24,000円
パンツ 21,000円
ベルト 12,000円

Iroquois
渋谷区恵比寿南3-8-3 1F
03-3791-5033

 

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【プロフィール】

竹中直人

■タケナカ ナオト ’56年、神奈川県出身。俳優、声優、タレント、コメディアン、映画監督など多方面で活躍。舞台では、岩松 了との「竹中直人の会」のほか、「竹中直人の匙かげん」などでも人気を集めた。

生瀬勝久

■ナマセ カツヒサ ’60年、兵庫県出身。個性派俳優として舞台、ドラマ、映画で活躍。バラエティ番組でも抜群のコメディセンスを発揮している。最近の出演舞台に「万獣こわい」「皆既食」「七人ぐらいの兵士」など。

 

 

【公演情報】

ブロッケンの妖怪

作・演出:倉持 裕
出演:竹中直人、生瀬勝久、佐々木 希、大貫勇輔、安藤 聖、田口浩正、高橋惠子

★詳しい日程&チケット情報は下記「チケット情報はこちら」ボタンにて!