20~30代女性に絶大な人気を誇るコミックのミュージカル化。そして物語の中心であるゴッホ兄弟を演じるのは、共に演技力&歌唱力を高く評価されている良知真次と平野良。チケットの発売を前に大いに期待感を煽ってくれる作品がミュージカル「さよならソルシエ」だ。すでにオフィシャルHPなどでその一部が公開されているが、昨秋に同作品のビジュアル撮影が行われた。
スタジオでは、まず弟のテオドルスを演じる良知さんの撮影からスタート。切れ長なアイメイク、タイトな黒のスーツ、すらりとしたシルエット。まさにテオ!という風貌の良知さんがカメラの前に立つと、スタッフからも歓声が漏れたほど。しかしここからさらに原作のテオドルスにイメージを近づけるため、制作チームが入念にチェックを入れていく。帽子を傾ける角度や前髪を出す量、眉毛の隠れ具合といった微細なポイントを調整しながら撮影が進行。
HPのトップなどで見られるメインビジュアルの表情については「『あなたのことは全部知ってる』みたいな、ちょっと相手を見透かすような目に。唇には微笑をたたえてみてもらえますか?」という指示があり、1カットを撮影するごとにスタッフや良知さんもモニターを覗きこみながらチェック。全員が原作本やイメージイラストを手に持ち、モニターと見比べながらの撮影は真剣そのもの。また良知さん本人からも「目線は正面を見たほうがテオっぽいんじゃないですか?」などと提案があり、目線の位置を変えながらさらに撮影が続けられる。
制作チームのビジュアル再現に対するこだわりぶりはかなりのもので、「良知さん、もうちょっとネコ目にならないですかね?」という無茶ぶりに、良知さんも「それはムリ!(笑)」
と苦笑い。究極の1カットのために撮影が続き、「これだ! この目です!」「完璧!」の声でメインビジュアルの撮影は終了した。
そのあとは宣材写真(全身カット)の撮影へ。こちらは良知さんがイメージするテオらしいポージングでキザっぽく頭を指差してみたりと、ややリラックスムードで撮影が続く。時おり、踊るような動きで撮影をこなしていた。
終了後にお話をうかがうと「自分だと客観的に見られなくて、似てるのかどうなのか、よくわからなかったりするんですけどね(笑)。でもこの2.5次元ミュージカルの世界観って、触れるたびに新しい発見があるんですよ。アニメやマンガだったりするものを実際に人がやると、『あ、こういうふうになるんだ!』っていうのを、改めて感じた撮影でした。帽子を持つ手元だとか、何気ない動きを再現するのが一番大変でしたね」とのこと。
続けて兄のフィンセントを演じる平野さんの撮影へ。手前の良知さんの撮影が行われるかたわらで、フィンセントが出てくるシーンに合わせて表面のファブリックを張替えたアンティーク調のチェアやカンバス、パレット、羽ペン、手紙(ちゃんと文字入り)など、作品の世界観に合わせた小道具が次々に準備されていく。
撮影前に「僕はどちらかというと性格的にテオっぽくて、この世に怒りと憤懣しかないタイプです(笑)。“怒りという感情を知らない”っていうフィンセントをどう表現するか…
作品中でほとんど彼はニコニコしてるんですけど、陽気さや慈しみだったり、その微笑みの種類にもいろいろありますから。撮影では見ている人をやわらかく包み込むような、すべてを受け入れるような笑顔で笑えたら」と語っていた平野さん。
表情やポーズにバリエーションのある写真の撮影風景を覗かせてもらったが、事前のコメントのように天真爛漫な笑顔も見せつつ、時おり打って変わったように鋭い目つきで筆やパレットを握って“炎の画家”らしい表情を見せる瞬間も。
そしてフィンセントといえばヘアスタイルやファッション共に、ルーズな雰囲気がポイント。だぼっとしたシルエットのジャケットは、あまりだらしなくなりすぎないよう、襟の開き具合を何度も微調整。さらにコミックでの無造作なヘアスタイルを再現するために、前髪のスタイリングなど何度もヘアメイクさんの直しを入れながら撮影を進めていく。
実はこの日はかなり気温が高く、撮影の合間にスタッフにうちわで扇がれていた厚着の平野さん。蒸し暑さに耐えつつの撮影中になぜかクシャミをしてしまい、「アハハ! ごめんなさい!」と笑顔で謝ったり、パレットを持ちながらふざけて「格闘家っぽいですよね?」とオーバーなポーズを取ったりする姿が、愛嬌あふれるフィンセントの姿ともなんだか重なった。
後半にはストールをはためかせたカットを撮りたいということで、送風機で風を吹かせるなど、その方法を話し合い。最終的にはフィンセントの無造作なヘアスタイルが乱れないよう、テグスでストールの端を引っ張る形にし、ここでもストールの動きを綿密に調整しながら撮影を進めていた。
ちなみに今回の撮影を担当したカメラマンはこれまでに2.5次元作品関連の撮影を経験しているが、「こんなに繊細に表情やシチュエーションにこだわった撮影は初めてです」と語るほど、再現度にこだわった内容となった。スキのないビジュアル同様にミュージカル本編も完成度が高いものになりそうで、ワクワク感は高まるばかりだ。
取材・文 古知屋ジュン
≪プロフィール≫
良知真次
■ラチ シンジ ’83年、東京都出身。舞台のほか映像作品、アーティスト活動、振付など幅広い分野で活躍中。現在、ミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」に出演中。
平野 良
■ヒラノ リョウ ’84年、神奈川県出身。ミュージカル『テニスの王子様』などで高い人気を獲得。12月には舞台「夜の姉妹」への出演が決定している。
≪公演情報≫
ミュージカル「さよならソルシエ」
【原 作】穂積「さよならソルシエ」(小学館)
【脚本・演出】西田大輔
【音 楽】かみむら周平
【振 付】エムジェイ
【出 演】良知真次(テオドルス・ファン・ゴッホ役) 平野 良(フィンセント・ファン・ゴッホ役) W主演
土屋シオン(アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック役) 小野健斗(エミール・ベルナール役)
Kimeru(ポール・ゴーギャン役)/窪寺 昭(ムッシュ・ボドリアール役)/泉見洋平(ジャン・ジェローム役) 他
【公演期間】3/17[木]〜21[月・祝]
【会 場】Zeppブルーシアター六本木
【料金(税込)】一般¥7,200 プレミアムチケット(パンフレット・限定グッズ付き)¥10,800
※プレミアムチケット(パンフレット付き)とは…
オフィシャル先行予約販売のみでご購入頂けるチケットです。(プレリクエスト先行・一般販売・当日券での取り扱いはございません。)
前方エリア席でご観劇頂けます。劇場にて、公演パンフレット(販売品)とプレミアムチケット限定グッズ(非売品)をセットにしてプレゼント致します。詳しくは公式HPにてご確認ください。
※未就学児入場不可
【先行情報】
★オフィシャル先行(抽選受付):2016年 1月9日(土)12:00~15日(金)23:59
★プレリクエスト先行(抽選受付):2016年1月16日(土)12:00~24日(日)23:59
http://l-tike.com/m-sorcier/(パソコン・携帯共通)
★一般発売(先着):2016年2月6日(土)10:00~