1月30日(土)より新宿・紀伊國屋サザンシアターにて開幕となった舞台『回転する夜』。
2.5次元系などで活躍をする若手俳優たちが挑む、骨太にして心にずしりとくるストレートプレイがついに本番を向かえた。
それぞれの役どころを分かった上で、本番前のゲネプロに臨んだのだが、あまりにも普段の彼らと雰囲気が違い、しばらくの間赤澤を判別できなかったことが一番驚いた。視力の悪さに起因するかもしれないが、あまりに役を作りこんで登場したが故のことだと心から思う。実にリアルな引きこもりの役柄を演じきっていた。
オープニングからいきなりのまがまがしさとドロっと感。いわゆる「リング」のような心理ホラー並みの空気感で始まる舞台に、「え?え?」と驚きながらも吸い込まれていく。主役のノボルを演じた赤澤をはじめとするメンバーたちは、普段のキラキラ感とは程遠いドロっと感や土臭さを前面に押し出し、心がひりひりするようなリアルな空間を作り出していた。
観ているこちらまでもが苦しくなるような葛藤、鬱々とした感情が心にズンズン響く。
「あのとき、ああしていたら・・・」「あのとき、こう伝えられていたら・・・」という後悔の念というものは誰しもが抱えているもの。その“あのとき”に戻れたらどうなるのか、が今回の舞台の肝となる。
まるでタイムリープやパラレルワールドの行き来のように、ぐるぐると同じ夜が繰り返し “回転”し続ける中で、少しずつ変化する環境と自分自身。しかしながら、一体どれだけの回数を経ないと人は変わることができないのだろう。人の想いや人が抱えた問題の大きさを思わずにはいられないが、そこで逃げずに前向きに進んでいくことで、必ず光が差す道があるという最後になっていることが、大きな救いとなる。
個人的にはそういう“あのとき”は、得てして負のオーラをまとった忌まわしき過去なので、二度と戻りたくないし、むしろ蓋をしてなかったことにしたいと思うタイプ(ざっくり言うと、逃げるタイプ)。それ故、今回のこの“回転”しまくるシチュエーションは観ていてつらくて仕方がなかったが、ノボルの体験を共有することで、自分自身もどこか癒されたような不思議な感覚に陥った。
リアルさを大事に演じたという、若手俳優たちの情熱が盛り込まれた迫力の舞台。
『回転する夜』は2月7日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演中。
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■初日を迎えてのコメント
赤澤 燈
リアルな人間模様を追求し、段取りなどの決まりごとやセリフ感なく、その場に生きているように演じる稽古を積んできました。それって実は当たり前のようで凄く難しいものなんですが、和田憲明さんご指導の元、どうにか、ここまで来ました!!リアルで生々しい人間模様を舞台上で表現できるよう、精一杯がんばりますので、皆さまには、是非、その目撃者になって頂ければと思います。
西島顕人
和田憲明さん演出の元、リアルなストレート芝居に挑戦しており、いい作品に仕上がってきております!今まで観たことのない、僕、赤澤燈、味方良介をお見せできるかと!また、ストーリーも非常に奥深いものとなっておりますので、1度といわず、2度3度と劇場に足をお運び頂ければと思います。お待ちしております!
味方良介
いよいよ初日を迎えますが、2年ぶりの第2弾公演をできることを非常に嬉しく思います。本作は男のやせ我慢と人間臭さの詰まった非常に魅力的な作品です。役者力が試される非常に難しい戯曲に挑戦していて、日々ハードな稽古を積んできました。スタッフさん・キャスト一丸となって、良いものを送り届け、必ず、第3弾公演につなげたく思っております。皆さん、劇場でお待ちしております!
【公演情報】
PONKOTSU-BARON project 第2弾『回転する夜』
日程・会場:
1/30[土]~2/7[日] 紀伊國屋サザンシアター
★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!