月刊「根本宗子」 第13号『夢と希望の先』 根本宗子 インタビュー

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演劇の聖地・本多劇場に
月刊「根本宗子」、初登場!

 

 月刊「根本宗子」がついに演劇の聖地・本多劇場へ初進出を果たす。主宰の根本宗子は「ずっと本多でやりたいと思っていた」と憧れを語る。

根本「単純に面白い芝居が多いというか、劇場のセンスが好きなんです。しかもお願いをしたからと言って簡単に借りられる劇場じゃない。その信頼度も大きいので、今回、本多でやらせていただけることが決まったときはうれしかったですね」

 

 主演を飾るのは、女優の橋本 愛。彼女にとっては本作が初舞台となる。

根本「橋本さんって、あの世代の中でも異質の存在感を持った女優さん。若い女優さんって、どうしてもピュアさや清純さが求められちゃうと思うんですけど、橋本さんにはそうじゃないところで戦ってきた感がある。その芯の強さがお芝居の中でも見える瞬間があって大好きなんです」

 

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 橋本の対をなす役どころを演じるのが、LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN のボーカル・プールイだ。

根本「プールイさんのお芝居は、まだ荒削りなところもありますが、一生懸命さが伝わるところが好きです。今回は、夢に向かって頑張っている女の子のお芝居。なので、純粋に頑張っていることが伝わるプールイさんにぴったりだと思ってお願いしました」

 

 さらに、男優陣には玉置玲央、鬼頭真也が名を連ねる。

根本「玲央さんには、小劇場の世界には珍しいスター性がある。あんまり私が書くような芝居に出ているイメージがなくって。動けるところが魅力の玲央さんに、あえて動かない役を書いてみたかったんです。鬼頭さんは前にもオファーをしたんですけど、ずっと断られてて……。それで本多なら出るだろうと思ってお願いしてみたらオッケーをもらったんで、『あ、やっぱり鬼頭さんは私のことキャパで見てたんだな』って思いました(笑)。大好きな人なので、やっとご一緒きるのが今から楽しみです」

 

 注目の公演タイトルは『夢と希望の先』。14年に上演した『夢も希望もなく。』をベースにした新作だ。

根本「『夢も希望もなく。』で一気にお客さんが増えて。それからずっともう一度この作品で何かやってみたかったんですけど、再演はもう違うなっていう感じで。でも、またイチから書き直して、前回とまったく違う役者さんとやるのはアリだなと。それで、本多が決まったときに、わりとすんなりこの作品をやろうって思い浮かんだんです」

 

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 現在に至る飛躍の礎となった思い入れ深い作品に、2年の時を経て、26歳の根本宗子が再び向き合う。

根本「すごくどう終わるか悩むお芝居だったんですよ。初演では、その先は語らないっていう感じでバッサリ終わったんですけど、今回はその先を描いてみたいなって。年齢を重ねることで、そんなふうに気持ちに変化が生まれたのかもしれません」

 

 この2年で、取り巻く環境は激変した。今や根本宗子と言えば、若手最注目株だ。だが、どれだけ環境が変わっても変わらないものが、休むことを知らない彼女の動力源になっている。

根本「お芝居をつくるにあたっての気持ちは何も変わっていないです。やっぱりお芝居が好きだから。私は自分が見たいと思うお芝居をつくっているだけなんです」

 

 そんな根本宗子の大きな分岐点となる本作。夢を追い地方から上京してきた2人の少女の人生が、伝統ある本多劇場で色濃く描き出されていく。

根本「私より上の世代の人が見たら、自分の過去を思い返してノスタルジックに浸ってもらえると思うし、私より若い人が見たら夢を持ってもらえるお芝居になると思う。あと、ダメな男が出てくるので、男の人は自分より遥かにダメなものを見て安心して笑ってもらえれば(笑)。性別・年齢によって感じ方が全然違う作品。ぜひそのあたりを楽しんでください」

 

インタビュー・文/横川良明
Photo/長谷川 唯
構成/月刊ローソンチケット編集部 7月15日号より転載
写真は本誌とは別バージョンです。

 

【プロフィール】

根本宗子
■ネモト シュウコ ’89年、東京都出身。’09年、19歳で月刊「根本宗子」を旗揚げ。’15年に上演した「夏果て幸せの果て」にて、第60回岸田國士戯曲賞最終候補作品にノミネート。

 

【公演情報】

月刊「根本宗子」 第13号『夢と希望の先』

脚本・演出:根本宗子
出演:橋本 愛、玉置玲央、プールイ 、鬼頭真也、小野川 晶、大竹沙絵子、長井 短、墨井鯨子、鈴木智久、尾崎桃子、根本宗子

日程:2016/9/28[水]~10/2[日]
会場:東京・本多劇場

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!