コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」
岩井秀人&森山未來&前野健太 インタビュー

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© 平岩享

本気モードの大人たち。怪作が誕生する!?

 

 どんな企画を出せばこの顔ぶれが集まるのかと、世のプロデューサーは羨ましがりながら首をひねるはずだ。
岩井秀人と森山未來と前野健太。個として強く、接着面は柔らかい3人が集まったのは、子どもが自由に書いた物語を大人が演劇にする「コドモ発射プロジェクト」の第一弾、『なむはむだはむ』をつくるためだ。

岩井「最初のアイデアは野田秀樹さんなんです。『子どものひらめきを大人が必死に形にするって、おもしろそうだよね』と。僕はそれを観たくて待っていたんですが、やる気配が一向にない。『いつですか?』と聞いたら『岩井くん、やってくれる?』と」

森山「岩井さんに誘われた時、僕はイスラエル(留学)から帰ってきたところで、向こうのカンパニーがみんな子ども向けのレパートリーを持っていたり、稽古場に団員が子どもを連れてくるのが普通という状況に関心を持っていたんです。だからすぐに『やりたい』と返事をしました」

 

 当初は岩井と森山のふたりだったが、どちらからともなく「もうひとりいたらいいね」という話に。

森山「一応、僕が体担当、岩井さんが言葉担当みたいな形で始まったんですが、そういうジャンルにとらわれず、自由に話ができる人がいいなと」

 

 前野に声をかけたのは森山。

前野「『ちょっと見学に来てほしい』と電話があって、はっきりしたことを知らされないまま出かけました」

 

 それが、子どもたちが物語を書くワークショップの会場で、そこで出合った言葉に前野は衝撃を受ける。

前野「ポエジーがトップギアで入っている。僕がどんなに頭をこねくり回しても出てこない表現がバンバンあって興奮しました。普段は自分も子どもたちに近いところで歌詞を書いている気持ちでいましたが、俺は何をやっているのかと悔しかったですね」

 

 その反応に、岩井が救われた。

岩井「僕は劇作家だから無意識に文章全体で言葉をとらえる。でも前野さんは歌詞の感覚で短いフレーズでとらえおもしろがってくれた。僕が『どうしたら形になるだろう』と悩んでいたところに発見をくれたんです」

 

 早くも大人たちは本気モード。自分たちだけでは決して生むことのできない怪作が誕生しそうだ。

 

インタビュー・文/徳永京子
構成/月刊ローチケHMV編集部 12月15日号より転載

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掲載誌面:月刊ローチケHMVは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】

岩井秀人
■イワイ ヒデト ’03年にハイバイを結成。’12年、テレビドラマ脚本で向田邦子賞を、’13年には『ある女』で岸田國士戯曲賞を受賞した。

森山未來
■モリヤマ ミライ ’99年、舞台『BOYS TIME』でデビュー。文化庁文化交流使として’13年秋より1年間イスラエルやヨーロッパで活動。近作として映画「怒り」、舞台「メトロポリス」など。

前野健太
■マエノ ケンタ ’07年、「ロマンスカー」でデビュー。’16年、主演映画「変態だ」(安斎肇監督)の公開を控える。今回が初舞台となる。

 

【公演情報】

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© 平岩享

コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」

日程・会場:
2017/2/18(土)~3/12(日) 東京・シアターウエスト

詳しいチケット情報は下記ボタンにて!