「あたっくNo.1」(’09年)、「THE面接」(’10年)などの人気作を世に送り出してきた方南ぐみが送る、2017年の新春を彩る喜劇「伊賀の花嫁」。現代日本を席巻する“婚活ブーム”が、古いしきたりを重んじる伊賀忍者の末裔たちをも巻き込む!?
現代に生きる伊賀忍者の末裔・伊賀三四郎を演じるのは、役者としてだけでなく、ダンサーや振付師としての顔も持つ町田慎吾。そしてその幼馴染のくノ一・服部すみれを演じるのはAKB48を卒業後、時代劇やミュージカルなどで女優としてめきめきと頭角を表してきた片山陽加だ。
映像や舞台で幅広く活躍する水谷あつしやTHE CONVOYの瀬下尚人といったベテラン勢から、大国男児やTRITOPS*、ApeaceといったK-POPのアイドルグループの面々までが参戦する本作のキャストは実に個性豊か。10のシーンからなるオムニバススタイルで、それぞれのシーンの登場人物が少しづつ重なっており、一見共通点のない登場人物たちが意外な形で一堂に会することになるという。
町田 まだ稽古が始まったばかりなんですが、濃すぎるキャラクターばかりで(笑)。そういう人たちがいろんなシーンでいろんな出会い方をするんですが、シーンによっていろんな雰囲気を味わえる作品でもあるんですよ。
片山 韓国の方々とはまだちゃんとお話できていないんですけど、ドゥファン(Apeace)さんなんかは日本語ペラペラでびっくりしました。
町田 このメンバーがどうまとまるのかっていうのも、楽しみな部分ですよね。僕はTHE CONVOYのステージを観て来たので、瀬下さんとご一緒できるのもワクワクしますし。
片山 それを言うと、私は町田さんといつかご一緒できたらと思っていたので…。
町田 えっ、なんでですか?
片山 この夏に「HUNGRY~伝説との距離」を観に行かせてもらったときにご挨拶させていただいてフレンドリーな感じだったので、またご一緒できるんだ!って嬉しくて…実は人見知りらしいと他のキャストの方に聞いたんですけども(笑)。
町田 そうなんです、僕ね、人が怖いんですよ(笑)。
片山 でも忍者らしい動きだったり、いろいろ教えていただけたらと思っていて。いい先輩がいるので嬉しいです。
町田 いやいやそんな! 言ってるだけですよね?
片山 私的には早く仲良くなりたいなって思っているので、よろしくお願いします。
町田 僕的にはちょっと距離を保ちつつ、ピリピリしながらやっていきたいと思います(笑)。
片山 ええっ、悲しい…(笑)。
本作が初共演となる二人の探りあい(?)のようなやり取りもありつつ、取材がスタート。稽古が始まったばかりのタイミングだが、まず自身が演じる役をどのようにイメージしているのか聞いてみた。
町田 僕は本読みに参加した段階で、具体的なイメージはまだ出来上がっていないんですけども。ストーリー全体を通して見た三四郎は伊賀の里でのんびりと育った、ちょっとおバカで単純なところがあるやつなのかなと思っていますね。片山さん演じるすみれとは同じ里で育った幼馴染みたいな関係なんですけど、ある日すみれが「もうこんな生活いや!」って言って都会に出ていってしまって。のちに会社勤めをして結婚も決まったすみれと再びめぐり合うという流れですね。
片山 私もすみれの役作りに関しては試行錯誤しているところなんですけど…すみれは一本芯の通った強い女性だけれども、伊賀の里では忍者の修行ばかりしていたので、普通の女の子として暮らしたいと願っている子なんですね。彼女の女の子らしい部分と、忍者・服部すみれのギャップをきっちりつけていけたらいいなと。あと忍者の身のこなしってすごくかっこいいイメージがあるんですよ。でも私は歩き方からへなへなしていておかしいと言われているので(笑)、てきぱきした動きを目指していけたら。映画やドラマで忍者が出てくる作品を注意して見てみたりもするんですけど、いざ自分がやろうと思うとなかなか再現できないので、特に忍者すみれになったときの動きはもっと勉強しないとなって。
町田 そうなんですか? 僕は忍者役の経験はあるんですが、そのときにはクナイだとか武器を持ってすばしっこく戦っていたので、自分の頭の中の忍者のイメージってそういう感じなんですよ。でも三四郎がそうなるのかはまだわからなくて、もしかしたらのほほんとしていてダメ忍者な感じかもしれないし、スイッチが入ったときにはすごく強かったりするのかもしれないし、そこはこれからの稽古で変わってくると思います。
そして本作は年明けすぐに上演される新春らしいにぎやかさを持つ「喜劇」。それぞれの持つ喜劇のイメージをたずねてみると…。
片山 喜劇とコメディってまたちょっと違うのかなと思っているんですが、コメディは今までに何本かやらせていただいているんですよ。でも自分がボケるというよりも周りの方がボケる感じのものだったので。セリフを普通に言っているように見えるのに笑っちゃう、さりげない笑いみたいなものを出せたらというのが今回の課題ですね。これまでは恥ずかしさを捨てきれてない部分があったんですけど、今回は周りのキャストさんが濃いだけに、私も服部すみれになりきらないとおもしろくはならないんじゃないかという危機感みたいなものはあります。
町田 自分は喜劇もコメディもあまり意識はしていないんですが、そのキャラクターとして“セリフをまっすぐに伝えたい”というこだわりはありますね。面白いセリフでもそいつが役として本気でしゃべっているからこそ、ピントがズレてて面白いんじゃないかと思っているので。今回は三四郎というこの作品の芯になるキャラクターをやらせていただくというのもありますけど、本当に面白い方が周りにたくさんいらっしゃるので、自分はまっすぐ三四郎の役に向き合う感じになると思います。新年の初舞台がこういう喜劇というのは、すごくワクワクしますよね。
片山 お正月といえば、私はちっちゃい頃から岐阜のおばあちゃん家で吉本新喜劇をテレビで見るのが日課だったんです。新喜劇を観てると、笑うつもりじゃなくても自然に笑っちゃうっていう瞬間があるじゃないですか。「喜劇」と銘打った作品は初めてなんですけど、そういう瞬間が自分にも作れるのかな?って、そういう部分も楽しみです。
ストーリー中にダンスなどのパフォーマンスがどのくらい入ってくるのかは現時点では明かせないそうだが、振付がモーニング娘。やAKB48の仕事で知られる夏まゆみ、殺陣がアクションを得意とするTEAM 発砲・B・ZIN出身の森貞文則というのも気になるところ。
片山 私はデビューのときに劇場公演の振付を夏先生に教えていただいたんです。夏先生は厳しさの中にもすごく愛を感じる方だと思っていて…今でも忘れられないんですけど、自分たちの劇場デビュー初日に「『目からビーム、毛穴からオーラ』だからね」って声をかけていただいたんです。"アイドルは自分もステージを楽しみながら、今までの頑張りを全身で表してきらきら輝きなさい”ってことだと思ってるんですけど。2017年は自分のデビュー10周年の年になるので、デビューのときに教えていただいた恩師にまた教えていただけるということにも、すごく運命を感じてますね。
町田 僕も夏さんに振付していただいたことがあるんですけど、今回の作品が20年ぶりくらいになりますかね。森貞さんとも10年ぶりくらいにご一緒させていただくんですが、お二人と久々にまたお仕事できるということで、僕もすごくご縁を感じています。当時自分がわからなかったことも、今の自分ならわかるのかなあとか、いろいろ感慨深い部分もありますね。
年をまたいで本作の稽古に取り組む2人。互いに舞台漬けだった2016年を振り返りつつ、2017年の抱負を語ってもらった。
片山 2016年は漢字一文字に例えるなら「初」。初めての時代劇だったり、ミュージカル「ピーター・パン」では人生で初めて空も飛びましたし(笑)。プライベートでもダイビングのライセンスを取ったり、初めてのいろんなことにチャレンジできた年だったなって思います。2017年も年明けから、自分にとって初めてのチャレンジになる喜劇に出させていただけるので…初めてやることって辛かったり苦しかったり、悩んだりする部分もあると思うんですけど、来年もそういう自分に勝って、どんどん挑んでいきたいなって思います。
町田 2016年はひたすら走り続けた年でしたね。仕事をする環境が変わったこともあって、走り続けなければいけないという思いもあって自分でスケジュールを決めたんですけど、その中で新しい素敵な出会いがたくさんあったんです。そのご縁も活かしつつ、2017年もこのまま走り続けたいです。必要とされる人間になりたいという気持ちが強いので、そう思ってもらえるように、いろんなことをしっかりして頑張らなければいけないなと。
そして昼間は巫女&夜は呑み屋で働く謎の女や独身主義を貫く演歌歌手、宝塚を愛するヅカヲタの面々など、一体誰が演じるのか気になる役柄などもあり、仕上がりに期待感が膨らむばかりの本作。
片山 2017年一発目の初笑いに来ていただきたいです。今の段階で先輩方のキャラクターがかなり濃いので、私もどんどん服部すみれというキャラクターに色をつけつつ、自分自身も楽しんで演じている雰囲気がお客様に伝わったらいいなと思います。あと、個人的なおすすめポイントとしては、ある方の演じるアイドルおたくの役が、ものすごくリアルに自分がAKB時代に見てきたファンの方っぽいんですよ! アイドル好きな方には思わず共感できる瞬間があるんじゃないかと思うので、ぜひ観に来ていただきたくて。何しろ本物がいますから(笑)。
町田 この座組は年齢の幅が広めなんですけど、ストーリー自体も幅広い世代の方に楽しんでいただけるものになると思っていて。個性的なキャストばかりなので、絶対に面白い作品になるという確信もあります。2017年の仕事始めくらいの時期に開幕になるので、観に来た方には大いに笑っていただいて“今年も頑張ろう”って思っていただけたらいいなと思います。
【プロフィール】
町田慎吾
■マチダ シンゴ ’81年、東京都出身。’94年に芸能活動を開始、’97年に初舞台を踏む。以降は’15年の「AZUMI 幕末編」(新国立劇場中劇場)や’16年2~3月のつかこうへい七回忌特別公演「引退屋リリー」(紀伊國屋ホール)など、さまざまな舞台で活躍中。役者、ダンサー、振付師と多彩な顔を持つ。
片山陽加
■カタヤマ ハルカ ’90年、愛知県出身。’07年にAKB48の一員としてデビュー。’14年の卒業後は舞台を中心に活動。’16年5月に時代劇「御宿かわせみ」(明治座)、7~8月にはミュージカル「ピーター・パン」(東京国際フォーラムホールC)に出演するなど、活躍の場を広げている。
【公演情報】
「伊賀の花嫁」
2017年初春。
『新年の舞台は景気のいい物語』を合い言葉に『愛』と『家族』をテーマにお届けします。
日程:2017/1/13(金)~1/22(日)
会場:東京・銀座 博品館劇場
脚本・演出:樫田正剛
出演:
町田慎吾・永岡卓也・片山陽加・西川俊介・城戸愛莉
インジュン(大国男児)・イルグン(TRITOPS)・ドゥファン(Apeace)・ヒョンジュ
菊池均也・瀬下尚人(THE CONVOY)・辻沢綾香(箱庭円舞曲)・藤浦功一・水谷あつし
★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!