シアターコクーン・オンレパートリー2017「世界」
赤堀雅秋 インタビュー <2>

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Bunkamuraシアターコクーンにて絶賛上演中!
シアターコクーン・オンレパートリー2017「世界」
作・演出 赤堀雅秋 インタビュー

 

 描かれるのは、とある地方都市で町工場を営む家族と彼らを取り巻く人々のミニマムな物語。作・演出を手がけるのは、昨年、映画『葛城事件』でも注目を集めた赤堀雅秋だ。舞台『世界』では、赤堀独自のあの繊細で生々しい空気を、舞台空間に漂わせようと試みる。

赤堀 「おそらく、森ノ宮ピロティホールのサイズの劇場において、これほどどうでもいい台詞が羅列していることは、史上初めてじゃないかなと思うんですけど(笑)。それぐらい今回の作品は、市井の人々の卑近な描写の連続になっていて。そこから何か、今の“世界”の空気みたいなものが透けて見える作品になればいいなと目論んでいるんです。

 具体的に描くのは、町工場を営む家族とその町で暮らす老若男女の群像劇。大人も若者も男も女もどこか、あきらめだったり絶望だったり虚無だったり孤独をいだきながらそこで暮らしていて、その滑稽な様を喜劇的に描写したつもりです。でも、もちろん、それが大悲劇に見える人もいるかもしれません。自分で言うのも何ですが、いろんな見方ができる面白い作品になっていると思います。

 キャストの方々がまたすばらしいんです。家族の父親を演じる風間杜夫さん。終始最低な男を演じてもらうのですが、とても品のある方なので、どんな下劣な台詞を吐いても愛嬌がある。その息子を演じる大倉孝二さんに演じてもらうのは、生活に疲れた中年。僕の中では見たことのない大倉孝二になっています。町工場の従業員を演じる早乙女太一さんは、ゲスな若者役という僕が与えたつもりでいた高いハードルを軽々と越えてきて、感動を覚えるほどです。それから、これが初舞台の広瀬アリスさんも、その無垢な状態がいい効果をもたらしていて、あざとくなく彼女自身のリアリティで風俗嬢という役を体現してくれています。

 舞台でも映像でも、僕が役者さんに求めるのは、本当にその人物として佇んでもらいたいということだけです。そして、その登場人物各々には、観る人が感情移入できる部分が必ずありますから。理屈ではなく心がザワザワして、見たことがあるようで見たことのない世界が体感できるはずだと思っています」

 

取材・文:大内弓子

 

【公演情報】

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シアターコクーン・オンレパートリー2017「世界」

赤堀雅秋×シアターコクーン第3弾!
多彩なキャストと共に描き出す
“世界”のはじっこ。
人生は喜劇である。

日程・会場:
2017/1/11(水)~1/28(土) 東京・Bunkamuraシアターコクーン
2017/2/4(土)・2/5(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール

作・演出:赤堀雅秋

出演:風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、赤堀雅秋、梅沢昌代、鈴木砂羽

★詳しいチケット情報は下記ボタンにて!