LION PRESENTS ミュージカル
「SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~」 アダム・クーパー インタビュー

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本当に魔法のようなミュージカル
あの雨に打たれると、自然と気持ちが変わる

英国が生んだ世界的バレエダンサー、アダム・クーパー。マシュー・ボーンの『白鳥の湖』で全世界を魅了した後に、ミュージカルへと華麗に転進を遂げ、本作「SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~」でミュージカル俳優として再び世界の心をわしづかみにした。2年半前に日本公演が行われた際には、上演された東急シアターオーブの海外招聘ミュージカルの中で過去最高の動員を記録するほどの人気となっている。「日本は第2の故郷」と語るアダムに、本作への思いと久々の日本公演への期待を聞いた。

 

――日本では前回公演のときも大きな盛り上がりとなりましたが、世界的にも『SINGIN’ IN THE RAIN~雨に唄えば~』は多くの人を魅了している作品です。その魅力はどのようなところにあるのでしょうか。

アダム クラシックな雰囲気の作品で、ジーン・ケリー主演のとても有名な映画があって、映画業界がサイレントからトーキーに移行していく時代のお話です。映画をごらんになった方も多いと思いますが、一番有名なハイライトシーンはジーン・ケリーが雨の中で歌って踊るところですよね。それが舞台では一幕の終わりになるんですが、そこも私たちなりの作り方になっていて、映画とも一味違います。演劇に向けて作っているので、お客様が一体となって、一緒に濡れて楽しめるようになっています。特に前列の方はね(笑)。だからある意味、イベントとして楽しめるんじゃないかな。

 

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――アダムさんといえば、ダンスの魅力のお話は欠かせません。今回のステージにおいて、ダンス面の特徴や見どころを教えてください

アダム すごくダイナミックで、素敵なタップナンバーも多いし、バレエシークエンスやアメリカジャズなどもあります。こちらもいろんなスタイルがあって、いいミックスになっているんですね。実力のあるダンサーも揃っています。フィナーレは舞台上で全員が一緒に踊るので、とっても迫力があると思いますよ。

 

――映画版のジーン・ケリーは伝説的な人気となりました。それと同じ役をやることにプレッシャーはなかったのですか?

アダム 最初はプレッシャーを感じました。でも今は、このプロダクション独自のものになりました。私たちなりのアプローチをしていますので、今はあんまりジーン・ケリーのことは考えていないですね。このバージョンは、私のものなので。振付けのやり方、演出の仕方も私を中心としていますし、私のものだという意識があります。

 

――それを実感できるようになったのはいつ頃でしたか?

アダム 初日の公演からですね。お客様のリアクションが本当に素晴らしくて。やはりお客様も驚いたんだと思います。私たちが映画を尊重しながらも、コピーを作らなかった。現代に向けて作っているので、映画版と同じではないんです。私だけでなくキャストのみんなが、この役が私たちの役なんだと実感できたと思います。お客様が、ジーン・ケリーが、デビー・レイノルズが、というのを意識せずに私たちを観てくれたからですね。

 

――やはりダンスの部分では、雨に濡れて踊るシーンのことをもう少しうかがいたいのですが、あのシーンをやっているときはどのようなお気持ちなんですか?

アダム 濡れてるなって(笑)。衣裳はとても重くなりますね。最初に稽古しているときは、この振付けはすごく楽だな、なんて思っていますが(笑)。いざ舞台に立つとなると、やっぱり難しいんですよ。でも慣れてくると、楽しめるようになってくる。自分自身の喜びと、水しぶきをあげる姿を観てくれるお客様とのつながりを感じられる一体感があって、まるで魔法のような瞬間です。作品にとってもですが、私自身にとってもあの瞬間はとても気分がいい。お客様も物語の一部のような感じで、数ある演劇の中でもとても特別です。例えば、私自身がちょっと疲れが溜まってきたかな?と思っていても、あの雨が降り始めると自然と気持ちが切り替わるんですよ。

 

――アダムさんにとって、ダンスとはどういうものですか?

アダム 私にとっては究極の自由。好きなことを、何でもできる。私に言葉では表現できない感情を吐露する可能性を与えてくれるものでもあります。自分自身を表現するにあたって、何も制限することなく表現できるのがダンス。まぁ、ただただ楽しいということもあるけど(笑)。もともとは小さい頃にタップに興味を持ったことがダンスを始めるきっかけでした。それが一番楽しかった。タップの身体性も好きですが、何よりリズムで遊ぶのが大好きなんです。

 

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――幼少期はタップだけでなく、いろいろなダンスに挑戦されていたと伺います。その後、バレエに専念して、今またミュージカルの場でいろいろなダンスを披露されていますが、幼少の頃の経験が今も生きていると実感されていますか?

アダム 感じていますね。私のキャリアを豊かにしてくれました。スタートがひとつのジャンルに偏らずに、いろんな分野でやっていたことで、バレエを十分にやったなと実感できたあとは、楽にいろんな方向に自分を持っていくことができました。小さい頃からバレエしかやっていなかったら、また違ったかも知れません。私はトレーニング中のダンサーに必ず言うことがあるんですけど、必ず広いスタイルをやっておくことです。全部どこかで使えるのだから、と。

 

――他の作品からインスピレーションを得ることもありますか?

アダム 私が始めて観に行った舞台が「くるみ割り人形」で、兄が出演していたものでした。プロの世界を見て、自分もこの一部になりたいと思ったことを憶えています。大きなスペクタクル、生オーケストラ、あの劇場にいるワクワクが大好きなんです。その後は劇場に行くたびに、どんどんインスピレーションを受けていました。

 

――バレエの世界で大活躍されて、ミュージカルに転進されましたが、歌うことについて最初はどのようなお気持ちでしたか?

アダム そうだな…意外と、大丈夫だったんだよ(笑)。というのも、昔から歌ってはいたんです。子どもの頃は聖歌隊や合唱団に入っていましたし、18歳くらいまで歌は続けていました。ただ舞台で歌うことはしたことがなかったので、最初は緊張しましたね。初めてのミュージカルは、とても名高い方々と一緒だったので、新人の気持ちでした。でも歌い手として、役者として、自分はできる!ということを証明したい思いはありましたね。今は、歌もやることのひとつとして受け止められています。もう、バレエと同じくらい長くやっているので。

 

――ダンスと歌では表現のアプローチも違うように思いますが、アダムさんはどのように感じていますか?

アダム 私にとっては、どちらも物語や感情を伝えるためのもので、大きくは変わらないです。歌であっても、対話であっても、ダンスであっても、感情の表現あるいはストーリーを伝えるためのものであるので、その手法は関係ない。いつも同じところから来ているように感じます。

 

――表現できる方法が増えた感じなんですね。

アダム その通りです! ミュージカルの面白さはそこにあると思います。ストーリーの一部が言葉で伝えられ、言葉にできない想いが曲に移り、曲だけでも伝えきれないことがダンスになる。一番いいミュージカルはこのように構成されていると思います。ミュージカルがうまく構成されていると、そのシーンでは、もうそうせざるを得ない!っていう感じになるんですよ。それがキャシーに向かってバラードを歌うときには、彼女がライトに美しく照らされていて、この想いを伝えるには歌うしかない、という気持ちにさせられます。恋を見つけた喜び、雨が降っていて、あぁもう歌わなきゃという気持ちになるんです。

 

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――使われている楽曲も素晴らしいですからね。

アダム すべてがヒット曲に聴こえてきますよね。リズムも素晴らしいし、パフォーマーにとっても大きな支えになるんです。アップテンポもバラードもあって、物語にぴったりとハマる。このミュージカル用に書かれたものじゃない曲が、あたかもこのミュージカルのための曲かのように感じることもあります。

 

――日本のオーディエンスの印象はいかがですか?

アダム とってもファンタスティック。日本にはかれこれ二十数年にわたって来ていますが、日本のお客様は私が持ってきたものを受け入れてくれるんです。初めて来日したときは、バレエダンサーとしてでした。コンテンポラリーダンスもやりましたし、今はミュージカルで来日していますが、来るたびに日本のファンの方は温かく迎え入れてくれて、サポートしてくれる。すごく特別なことをさせてもらっていると実感できるので、日本に来るのは大好きです。

 

――日本での滞在で楽しみにしていることは?

アダム 日本食は大好きなので、必ずしゃぶしゃぶは食べに行きますね(笑)。散策するのも好きなので、正直なところそんなに時間があるわけではないんですが、エネルギーさえあればどこかの街に散策しに行こうと思います。東京の外に出て、郊外に行くとか…都内でも見るところはたくさんありますよね。前回に来たときには富士山に行きました。本当にすごかったです。その前には京都にも旅行させてもらったし、たくさん思い出があって数え切れないくらい。あとは、桜を楽しみにしています。

 

――ちょうど公演の頃は桜のシーズンですから、ぜひ楽しんでください。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

アダム 本当に魔法のようなミュージカルです。歌あり、ダンスあり、ラブストーリーあり、コメディあり、あと…雨も降ります(笑)。人生が楽しくて、素敵なものだと思えるようになります。前回、ご覧になっている人も、ぜひまた観に来てください! なぜなら、前回以上に楽しいはずです。私たちは前回以上に経験を積んでいますので、より良いパフォーマンスをお見せできると思います。劇場を出るときに、元気に明るくなれる。そういう体験をご用意してお待ちしています。

 

取材・文/宮崎新之

衣装/スーツ23万円、シャツ2万2000円、タイ1万5000円/すべてハケット ロンドン(ハケット ロンドン 銀座▲03−6264-5362)、チーフ1万2000円/ターンブル&アッサー(ヴァルカナイズ・ロンドン▲03−5464-5255)

 

【プロフィール】
アダム・クーパー
1971年7月生まれ、イギリス出身。5歳のときに地元のダンス・スクールにてダンスを始める。11歳のときにアーツ・エデュケイショナル・スクールに入学。16歳でロイヤル・バレエ・スクールに進学し、本格的にバレエの勉強を開始。1989年、ローザンヌ国際バレエコンクールでプロフェッショナル・レベル賞を受賞し、注目の的に。同年ロイヤル・バレエ団に入団し、1994年にプリンシパルに昇格。1995年、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』の主役に大抜擢され、全世界に一大旋風を巻き起こす。2012年から『雨に唄えば』のロングラン公演に挑み、バレエダンサーからミュージカルスターへと見事な転身を果たす。

 

【公演情報】
LION PRESENTS
ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN 〜雨に唄えば〜 』

脚本:ベティ・コムデン アドルフ・グリーン
音楽:ナシオ・ハーブ・ブラウン アーサー・フリード
演出:ジョナサン・チャーチ
振付:アンドリュー・ライト

出演:
アダム・クーパー
ステファン・アネリ
エイミー・エレン・リチャードソン
オリヴィア・ファインズ ほか

日程・会場:
2017/4/3 (月) ~4/30 (日)   東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11F・東京)

 

<番組情報>

「雨に唄えば」メイキング番組放送!
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大ヒットミュージカル!「雨に唄えば」の魅力や舞台裏を徹底レポート。
2月19日(日)午後2時30分より BS-TBSにて放送予定。
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「雨に唄えば」特別番組放送決定!
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天海祐希が嫉妬した
12トンの雨が降る!?ミュージカル「雨に唄えば」
公開直前SP
3月4日(土)午後3時30分から TBSにて放送予定
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