舞台「それいゆ」主演・中山優馬 取材会 in 福岡 レポート

ドラマ界のヒットメーカー古家和尚の舞台初書き下ろし作品

「それいゆ」の再演が決定!

初演に続き主演に挑む中山優馬と演出を務める木村淳を直撃!

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1940年、太平洋戦争の混乱期の日本において、色鮮やかなイラストで女性たちに光と希望を与え続けた天才クリエイター・中原淳一の半生を描いた舞台「それいゆ」。昨年、東京・大阪での上演で賞賛を集めて話題を呼んだ本作が、新キャストも迎え、初演から一年も経たずに再演が決定した!

主演は初演時と同じく、歌にお芝居にと活躍の幅を広げている中山優馬が再挑戦。再演では前回の上演がなかった神戸・北九州での公演も決定。2月下旬、そのキャンペーンで福岡を訪れた主演の中山優馬と、本作の演出を務めた木村淳が再演への思いを語ってくれた。

 

数々の舞台・ミュージカルなどで主役を務めてきた中山優馬にとって、本作は自身初の再演となる

 

中山「“再演”は、僕の人生において初めてのことなんです。他の役者さんに話を聞いたりしていると、再演は要望がなければ出来ないものだから、それが出来るということは珍しいことなんだと分かり、有り難く思うし、すごく嬉しいです。東京や大阪に足を運べない方々にも、中原先生のファンの方にも、福岡公演に来て頂けたら嬉しく思います」

 

難しいとされる“再演”が決まった要因と本作の見どころ

 

中山「ドラマや舞台をやれば、良い意見も悪い意見も両方いただくものですが、今回の舞台では良い意見をたくさん頂いていたんです。自分でもやりがいのあるお芝居だなと思えていたし、お芝居に対する考え方などが変わった作品でしたから、ファンの方に観てもらえるといいなという思いと共に、今の時代だからこそ“美しく生きる”というテーマについて多くの方に観て・考えてもらいたい作品だという思いがあったので、稽古の時から再演が出来たらいいなという話はしていました。本作の時代背景としては、戦中・戦後の暗く色のない時代ではあるんですが、戦争描写はなく、そんな時代の中なのに“幸せな部分=光のある部分”に焦点を当てているというのがこの作品の特徴だと思いますし、登場人物全ての人生がしっかりと描かれているところも物語の見どころの1つですね」

 

主人公・中原淳一氏のイメージは?

 

中山「もともと先生の絵は知っていたんです。すごく偉大な方で、混乱期の日本で華美なイラストで夢や希望を与え続けたということ、そして現代でもファンがいて通用しているというのは、本当に天才だなと思いますね。僕自身は天才じゃないので(笑)、違う世界に生きる人だなぁと思います。社交的で人間味溢れるキャラクターで、自分のやりたいことや信念を妥協することなく、その思いに対して真っ直ぐに向き合い続けられるということは、他人から見ればそんな時代だからこそ余計に天才に見えたんだと思います。自分とは全く違う性格の人ではありますが、台本を読んで演じていく中で、今まで自分で思ったことのないような感情が初演で見つけられたので、そういう感情の部分を掘り下げて、より高みを目指したいですね」

 

木村「確か、一番最初に脚本を読んだ時に優馬が一番感情移入出来なかったのが“中原淳一”だったみたいですよ?」

 

中山「そうです。さっきも話したように、読めば読むほど自分とは違う人だなぁと思って、最初は客観的な目線で台本を読んでしまっていました。自分は気をつかう方なので、妥協なく信念を貫き通すということは難しいことだなと思うんです。普通の人は時代に抗えず『これくらいで・・・仕方ない』と諦めるところを、中原先生は『まだまだ満足していない』という思いを常に持って生きて来られた方なので、演じているうちに自分もそんな錯覚に陥ったような感じになって・・・。自我が芽生えるというのかな?私生活でそうなった訳ではないですが、自分も作品を作る・演じる側として、『分かるなぁ、この感情』と次第に思えてきて、『こんな芝居じゃダメだ』と思ったり、中原先生の気持ちが分かってくるようになりました。お客様にはお金を払って時間を割いて来て頂くので、『もっとより良いものを!』と思えた感覚は、中原先生から得た部分が今回は大きいです」

 

― 実は癒し系?中原淳一とはどこが具体的に違うのか?

 

中山「例えば皆で御飯を食べようとなった時に、中原先生だと『今日はこれを食べよう!おいしいよ!これが食べたい』と言う方だろうなって思うんですが、僕の場合『なんでもいいよ』って言うタイプなんです(笑)」

 

木村「皆さんが受ける(中山への)第一印象とは・・・意外とギャップがあるかもね。中身はホワっとしていて可愛らしい子なんですけど、ルックスがどうしても強いからねぇ(笑)」

 

中山「オラオラ系かと?(笑)。クールに見られたりもするんですけど、まぁそれはそれでいいかな・・・と(笑)」

 

木村「たぶん、人間誰しもが持っている“感情”というのは、社会生活をするうえで全てをさらけ出せず理性が止めている部分が多いと思うんです。そんな“理性”と“感情”のせめぎ合いを、脚本家の古家和尚が中原淳一以外のそれぞれの役まで丁寧に書いてくれている脚本となっています。本作は、“美しく生きる”とは?という中原氏のメッセージが根底にありますが、中原淳一の生き様だけが美しいんだ!と投げかける舞台ではないんです。彼を取り巻く敵役や他の役の方に共感できる人も多いはずですから、ただ“美しくこう生きなさい”というのではなく、中原淳一を取り巻く人たちをも含めて、観ている皆さんの中でそれぞれの美しさを見つけて頂ければいいなと。そういう思いが稽古の時からキャストも私たちも話していたところです。初見で読んだ時に、彼(中山)が・・・誰の役に一番感情移入が出来たんだっけ?」

 

中山「桜木ですね」

 

木村「辰巳雄大が演じる役ね。憧れ抜いた中原淳一を裏切る役なんですが、人それぞれバックグラウンドも違いますし、登場人物たちの弱さ・嫉妬心といった部分も本当に丁寧に描いた脚本なので、お芝居を観に来てもらうというよりも、“人の人生を覗きに来てもらう”・・・そういう芝居をカンパニーは目指しています。登場人物の人生を覗き見て、何かを感じ取って帰って頂けたらいいなと思います」

 

↑ 本作の演出を務めた関西テレビの木村淳氏。撮影時には「美しい者(中山)を撮った後で撮られるのは辛い(笑)」と照れる場面も
↑ 本作の演出を務めた関西テレビの木村淳氏。撮影時には「美しい者(中山)を撮った後で撮られるのは辛い(笑)」と照れる場面も

 

再演と初演ではどこか演じ方を変えてみようと思ったりするものなのか?

 

中山「あまり変化をつけようという感覚はないです。前回がこうだったからと引き合いに出すことはせず、中原淳一という人をまた一から掘り下げていこう!という気持の方が大きいですからね。前回の演技をなぞってしまうのは怖いことだなと思っています」

 

同じ事務所の辰巳雄大をはじめ、ベテランの佐戸井けん太など、キャストもほぼ同じ顔ぶれとなるが・・・

 

中山「カンパニーとしてのコミュニケーション能力だとかチームワークという意味では、初演で関係性が出来上がっているので、いい関係で一から稽古が出来るということで、カンパニーとしてはレベルアップしてやれると思っています」

 

木村「“舞台”というものはドラマや映画とは違って、劇場も土地柄も変わりますから、演者はお客さんの息づかい・空気感を感じながら演じていくので、舞台には“生モノ”のおもしろさがあります。だから、初演で来れていない福岡に来るということで、演者たちは新しい気持を感じながら演じられるんだろうと思いますよ」

 

中山「劇場の空気やお客さんのコンディションなんかも肌で感じ取れるものなので、そういった変化はとても楽しみですね」

 

― 福岡での公演は、『ドリアン・グレイの肖像』で経験があるという中山。そんな福岡の印象とは?

中山「福岡で公演出来る楽しみは大きいですが、どう観てもらえるだろうか?とか、その分もちろん怖さもあります。でも、2日間も福岡に来れて表現・芝居が出来るということは有り難いことですね。福岡のお客さんの雰囲気・空気感も含め、福岡ならではの化学反応もきっと起こると思うんで、楽しみの方が大きいです。(関西出身の)僕からすると、福岡はほんとに”品”のあるイメージですね」

 

木村「大阪に”品”がないみたいな言い方やめてくれるかぁ?(笑)」

 

中山「いやいや(笑)、大阪もそれなりにありますけども(笑)」

 

木村「でも、関西人からすると、福岡や九州ってめっちゃ好きよなぁ?」

 

中山「ほんと、ブランド力がスゴイな~というか、憧れみたいなのがすごくありますよ」

 

暦の上では立春を迎えたとはいえ余寒なお厳しい中、純白のセーターに身を包んで会見場に現れた中山優馬は、室内に差し込む陽の光と同じくらいに目を輝かせ、真っ直ぐに、時には笑顔を見せつつも取材陣の質問に丁寧に答えてくれた。まだ20代前半とはいえ、10代の頃からソロとして活躍を続けて培った自信とその成長が、この舞台上でも見られるに違いない。

本作は、4/6(木)東京のサンシャイン劇場で初日を迎え、4/14(金)・15(土)福岡・北九州芸術劇場、4/19(水)~23(日)の新神戸オリエンタル劇場まで続く。チケットはローソンチケットにて好評発売中!詳細は下記をご覧ください。

 

取材・文/ローチケ演劇部(シ)

 

【プロフィール】

中山優馬

ナカヤマ・ユウマ 1994年生まれ。大阪出身。

2006年、ジャニーズ事務所に入所。2008年にはテレビドラマ『バッテリー』(NHK)でドラマ初出演にして初主演を務める。2009年には中山優馬 w/B.IShadow『悪魔な恋』/NYC boys『NYC』でCDデビューを果たす。2012年にはソロシングルも発売、単独コンサートや外部舞台となる『ドリアン・グレイの肖像』で初主演を務めた。今年6月には、市川海老蔵の舞台『ABKAI 2017「石川五右衛門 外伝~」』に、8月9月には大竹しのぶ主演のミュージカル『にんじん』にも出演が決まっている。2018年には出演映画『曇天に笑う』も控えており、テレビ・舞台・映画と幅広い活躍を続けている。

 

木村淳( 関西テレビ放送)

キムラ・ジュン1997年関西テレビ入社。2007年、SPドラマ『僕と彼女の間の北緯38度線』で初監督。以降は数々のプロデュース作品・監督作品を手掛ける。舞台は2015年『本日、家を買います。』で初演出・脚本を務め、昨年上演した『それいゆ』が2作目の舞台演出となった。現在は本社制作部、東京支社制作部を経て事業部に籍を置く。

 

 

【公演情報】

「それいゆ」

 

【あらすじ】

1940年、淳一(中山優馬)は若くして挿絵画家・人形作家としての確固たる地位と人気を得ていた。戦争が暗い影を落とす時代に、淳一が挿絵を描く雑誌『少女の友』は、多くの少女たちに夢と希望を与えるバイブルだった。 そんなある日、『少女の友』編集長の山嵜(佐戸井けん太)は、淳一に〝挿絵の少女画をモンペ姿で描いてくれないか?・・・と持ちかける。 『中原淳一の描く少女画は敵性文化。かつ華美にして優雅、これは時局に合わない』 軍部からの圧力を受けた山嵜は、淳一の画風の変更か、雑誌からの追放かの苦渋の決断を迫られていたのだ。懇願する山嵜に対し、淳一はあっさりと〝ならば辞めます〟と言い放つ。それは、創作の場を自ら切り開いていく淳一の『挑戦』の始まりであった…。 戦中戦後の激動の時代、『美しく生きる』という信念を抱きながら活動を続ける淳一の、生涯をかけた一つの夢。そして、その果てに辿り着いた結末とは…?

 

【脚本】古家和尚 【演出】木村淳

【出演】中山優馬、桜井日奈子、施鐘泰(JONTE)、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)

愛原実花 / 金井勇太 / 佐戸井けん太   他

 

【日程・会場】

・4/6(木)~11(火)  [東京] サンシャイン劇場 Lコード33322

・4/14(金)・15(土) [福岡] 北九州芸術劇場 中劇場 Lコード81576

・4/19(水)~23(日) [兵庫] 新神戸オリエンタル劇場 Lコード51660

 

★チケットは好評発売中

料金その他、詳しいチケット情報は下記ボタン【チケット情報はこちら】からチェック!

 

■関連情報■

【HMV&BOOKS×中原淳一コラボグッズ】数量限定で発売中!

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終戦からちょうど一年後の1946年8月15日に中原淳一が創刊した雑誌「それいゆ」。その創刊70周年を記念して、昨年11月から今年の1月にかけてHMV&BOOKS TOKYOとHAKATA店にて展開されていた、期間限定の「中原淳一スペシャルショップ」。

ショップでは、“美しく生きる”をテーマにした雑誌『それいゆ』や『ジュニアそれいゆ』『ひまわり』などの数々の代表作の復刻版、表紙絵や挿絵を使用した複製画、ポスターなどを販売。なかでも、HMV&BOOKS限定として、読書をする女性をモチーフにしたオリジナルデザインのブックカバー、トートバッグ、ステンレス製タンブラー(3種)が発売された。この限定ショップは好評のうちに終了しているが、一部のグッズは下記店舗でまだ購入できるものもあるという。買いそびれていた人はこの機会に是非!

 

【店舗情報】

HMV&BOOKS HAKATA  

●福岡市博多区博多駅中央街 博多マルイ6F 

[TEL]092-433-6580 ★営業時間10:00~21:00

 

HMV&BOOKS TOKYO 

●東京都渋谷区神南1-21-3 渋谷modi 5F・6F・7F

[TEL]03-5784-3270  ★営業時間11:00~23:00