来日ミュージカル『天使にラブ・ソングを…』高橋真麻インタビュー

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2015年の初来日公演が連日ソールドアウトを記録したブロードウェイ・ミュージカル、『天使にラブ・ソングを…~シスター・アクト~』がこの10月、再び東急シアターオーブにやってくる。ウーピー・ゴールドバーグ主演の同名映画を原作に、ウーピー自身を筆頭とするプロデューサー陣と、『美女と野獣』『アラジン』で知られるアラン・メンケンの作曲により2006年に舞台化。ロンドンでのヒットを経て、2011年には『エニシング・ゴーズ』『ガイズ&ドールズ』のジェリー・ザックスを演出に迎えてブロードウェイに進出し、トニー賞にもノミネートされた傑作コメディだ。今回来日するツアーカンパニーによる公演を一足早く、シンガポールで観劇してきたオフィシャルサポーター、高橋真麻に作品の魅力を聞いた。

 

【INTRODUCTION】ミュージカルの魅力の権化!

殺人現場を目撃してしまったためにギャングに命を狙われ、修道院にかくまわれることになったクラブ歌手のデロリス。奔放で型破りな彼女は規律正しい修道院の生活に全くなじめずにいたが、ヘタすぎる聖歌隊の特訓を任されると本領を発揮! コーラスは瞬く間に上達し、デロリスとシスターたちとの間にも徐々に友情が芽生えていく。だがマスコミにも取り上げられるほどの人気者となり、法王パウロ6世の御前コンサートへの出演まで決まった聖歌隊の噂は、ついにギャングの耳にも届くところとなってしまい…?

という原作映画のストーリーはほぼそのままに、音楽がディスコサウンドを取り入れたものへと一新され、キャラクター設定に厚みが加わったミュージカル版『天使にラブ・ソングを…』。初めて観た時、ミュージカル毛嫌い層がこれを正しく体験した上で「やっぱりミュージカルは好きになれない」と言うなら、それはミュージカルファンとしてもはや本望だと思った。敬虔なシスターたちがデロリスにノセられて歌い出す様が爽快すぎて、テレビで映画版が放映されていると、観る気はなかったのに毎度つい釘付けになってしまうのは“ミュージカルファンあるある”だろう。歌によって感情を爆発させている人を観るのがミュージカル観劇の醍醐味の一つであるとするならば、この作品の場合は原作映画からしてもう“ミュージカル”。それが本物の、ナマのミュージカルになっている、ミュージカルの魅力の権化のような舞台なのだから、それを否定された以上は潔く諦めるしかないというわけだ。

ナマで届けられる分、感情を爆発させ始めるシスターたちを観て「キターーー!」とアガる度合いは映画以上。その高揚感を瓶詰にして持ち帰ることができたなら、いつでも気軽にアガれて非常に助かるのだが、残念ながらそうはいかない。「キターーー!」となったことを思い出すことはできても、「キターーー!」自体を自分で再現することは決して叶わないが故に何度も劇場に通ってしまうミュージカル、それが『天使にラブ・ソングを…』なのだ。

 

【INTERVIEW】好きな人や家族、部下を誘って劇場へ!

――まずは、オフィシャルサポーター就任のご感想からお聞かせください。
高橋「元々ミュージカルが大好きなので、こういった形で携わらせていただけることをとても嬉しく思いました。それと実は、中学3年生の時に“高校3年生を送る会”という学校のイベントで、当時大ヒットしていた映画『天使にラブ・ソングを…』をミュージカルにして上演したんです。その時の私はすごく太っていたので(笑)、ふくよかなシスターの役をやらせていただきました。私たちが元にした映画版とこのミュージカル版とでは、音楽が一新されていますしストーリーも少し異なりますが、ご縁を感じましたね。」

 

――そのミュージカル版を、シンガポールで初めて観劇された感想は?
高橋「とにかくパワフルでハッピーで、観終わったあと元気になれる作品でした! さすがディズニー作品を数多く手掛けられてきた方の音楽だけあって、非常に耳馴染みが良くて、思わず一緒に口ずさみたくなるんです。ストーリーも、映画版にラブロマンスの要素が加わっていますので、より幅広い年齢層の方に楽しんでいただけるのではないかと思いましたね。そしてミュージカル好きとしては、キャスト一人一人のパフォーマンス力が圧倒的に高い上に、すでに各国を回ってきているカンパニーとあって、チームワークが出来上がっていたことも印象的。脚本やセットの綿密さなど、楽しむポイントが本当にたくさんあって、ミュージカル初心者からミュージカル通まで、あらゆる方にご覧いただきたいと思いました。」

 

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――英語による上演だったかと思いますが、言葉の壁は感じたりは?
高橋「皆さんがご覧になる公演には字幕が付いているので安心していただければと思いますが、字幕のなかったシンガポール公演も、私は映画版でベースのストーリーを知っていたので観やすかったですね。それに私は、英語だからこそ楽しめる、という部分もあると思っていて。ミュージカルが苦手とおっしゃる方には、急に歌い出すことに違和感を抱く方が多いですよね。私自身は、何なら自分が家で急に歌い出したりするので抵抗は全くないのですが(笑)、抵抗がある方も、英語だったら不自然さをあまり感じないと思うんです。ですからミュージカルが苦手な方でも、来日公演ならご覧になりやすいんじゃないかな。」

 

――ミュージカル好きの方にぜひ、周りの初心者の方を誘っていただきたいですね。
高橋「本当にそうですね。人と思い出や感想を共有するって、とても大切なことだと思うんです。…って、いつも一人焼き肉をしている私が言っても何の説得力もないかもしれませんが(笑)、ミュージカルはいつも誰かと一緒に行くんですよ。『天使にラブ・ソングを…』は老若男女が楽しめる作品ですから、好きな人を誘ったり、ご家族にプレゼントしたりしても素敵だと思います。それと、上司と部下が一緒に行く、というのもアリかもしれないですね。私もフジテレビ時代、よく先輩から誘っていただいて嬉しかったですし、パワハラやセクハラが何かと問題になりがちな今こそ、文化や芸術を通したコミュニケーションが必要なのではないかと思います。この作品は、ストーリーがいい意味で単純明快ですし、濃厚なラブシーンがあるわけでもないので(笑)、誘いやすいと思いますよ。」

 

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――それでもまだ迷っているミュージカル初心者の方に、背中を押すようなひとことをお願いします!
高橋「何事も、知る前に好き嫌いをジャッジしてしまうのってもったいないことだと思うんです。私自身は、ミュージカルには幼少期から自然と親しんできたのですが、ほかの色々なものも知ることによって、“やっぱり素敵だな”という観方になっていきました。ですからぜひ怖がらず、面倒くさがらず(笑)、今回を機に劇場にお越しください!」

 

インタビュー・文/町田麻子

 

【公演概要】

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ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを・・・(シスター・アクト)』

オリジナルブロードウェイ演出:ジェリー・ザックス
音楽:アラン・メンケン
オリジナルプロデュース:ウーピー・ゴールドバーグ