さて「ゴジゲン目次の ボクには下校のチャイムが聞こえない!」略して「ボクチャイ!」なんですが、なかなか下校できない大人たちに贈る、甘酸っぱくない、むしろ饐(す)えたテイストのコラムです。
今回は「東迎の人生向かい風ッ!!!」ということで、この度ゴジゲンに新しく加入した東迎の昂史郎(ヒガシムカイコウシロウ 通称:トンコツ)の、世間の逆風に耐えながらも逞しく生きる男・東迎の生き様を皆様にご紹介します。
~前回の流れ~
石垣島に生まれ育ち、ジャッキー・チェンに憧れ上京した東迎は、老舗劇団「演劇集団円」の研修生となる。
上手くいっているかと思われた彼の人生だったが、ゴジゲンとの出会いによって大きく変わっていく。
研修所を去り、ゴジゲンにのめりこむ東迎。
遠ざかるジャッキー・チェン。
そんな中、ついにゴジゲンの劇団員まで登りつめる。
しかしその矢先のゴジゲンの活動休止。
そして脱退。
東京を去り、千葉で肉体労働をして暮らす東迎。
最愛のパートナーとも出会い、ささやかながら幸せを手に入れる。
しかし、何かが足りない!?!?
そんな彼に、一陣の追い風が吹きこむ。
ゴジゲンを脱退する際に、一つ条件があった。
それは、ゴジゲンのブログ、「ゴジブログ」を更新し続けること。
そして彼はメンバーでもないのに「ブログ担当」として、ゴジゲンという今にも千切れそうな糸を繋ぎ止めていた。
3年の月日が流れた。
主宰の松居はおろか、先輩劇団員の目次とも連絡は取っていなかった。
それでも彼はブログを更新し続けた。
いつ活動が再開するともしれない劇団のブログを。
下手したら、10年…。
いや20年、30年…いまわの際までだって彼は書き続けただろう。
病院のベッドの上の彼は、目はおろか、しゃべるのもやっとだ。
もちろんキーボードもスマホも打てない。
孫が代わりにブログの文を打つだろう。
「ト…トンコツです…。
きょうもびょういんのベッドのうえです。
ゴジブログをかきつづけて50ねん。
わたしのじんせいはこのブログそのものだったのかもしれません。
そんなわたしがいまでもしんじつづけてることがあります。
それはいつかゴジゲンが……ゴジゲンが……ふっかグフッ」
おれは泣いてしまうよ。
劇団復活を信じ、けなげにブログを更新し続けた男の生涯。
死んだ飼い主の帰りを渋谷駅前で10年も待ち続けた忠犬ハチ公そのままではないか。
そうなったら。渋谷のカフェ・ミヤマ前にお前の銅像を建ててやるからな!
しかし、そうはならなかった。
彼が知人の公演を観に行ったときのことである。
劇場の折り込みチラシの束の中に衝撃的な一枚を発見する。
そのチラシはクシャクシャじゃないのに、あえて紙屑のようなデザインがされている不思議なチラシだった。
内容は手書きで、申し訳程度の公演情報書かれているだけだった。
「ゴジゲン第12回公演「××××××」2014年11月下北沢駅前劇場 作・演出 松居大悟 出演 目次立樹 ……。
なんじゃこりゃあああああああああああ!!!!!!!」
東迎は震えた。
歓喜に震えた。
そしてその夜、更新が停滞していたゴジブログで彼の魂が吠えた!
「復活」
大変だ!大変だ!大変だぁぁぁぁー!!
何やら風の噂でゴジゲンが復活すると聞きましたよー!!
本当なのか…??本当なのか…??本当なのかぁぁぁぁー!?
しかし僕は見てしまったのだ!!ゴジゲンの次回公演のチラシを!!
どうやらこれは事実らしいではないか!!
夢ではない!!現実だ!!
チラシを何度も見て確認したぞ!!僕はこの目で何度も確認したぞ!!
間違いない!間違いない!ゴジゲンは復活するのだ!!
うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
ついに復活するのですねー!!
待てぇい!待てぇい!
ならばブログも復活しなくてはいけないなっ!!
ゴジゲンが復活するのならブログも復活しなくてはいけないなっ!!
誰がなんと言おうと復活しなくてはいけないなっ!!
お待ちの方がいなくとも!お呼びでなくとも参上する!
ゴジゲンブログも再開じゃぁぁぁ!!
長い間煮込み過ぎたぜトンコツをっ!!
出過ぎたアクを取り払って、トンコツ再開!!トンコツ参上!!
2014年も元気にいきますよトンコツのコツー!!!!
出演者の欄に自分の名前がなかったことはさておき、
元・劇団員なのに公演について一切聞かされなかったことはさておき、
その夜の東迎は故郷・石垣の泡盛をしこたまかっ食らって地鳴りのようないびきをかいて寝たという。
生温かい風が彼の脇を吹き抜けた。
つづく(この先の展開は全く考えていないがとりあえず)
【公演概要】
ゴジゲン『くれなずめ』
日程・会場:
10/19(木)~29(日) 東京・下北沢駅前劇場
11/4(土)・5(日) 京都・アートコミュニティスペースKAIKA
11/11(土)・12(日) 福岡・北九州芸術劇場 小劇場
作・演出:松居大悟
出演:奥村徹也 東迎昂史郎 松居大悟 目次立樹 本折最強さとし 善雄善雄