新国立劇場 開場20周年記念 2017/2018シーズン 「かがみのかなたはたなかのなかに」 長塚圭史 インタビュー

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4人の絶妙なハーモニーで映し出す“かがみ”の物語

“未来のおとなと、かつての子どもたちへ”向けて、2015年に初演された、不思議で可笑しくて、ちょっぴり怖い物語『かがみのかなたはたなかのなかに』が再演される。作・演出で出演も兼ねる長塚圭史によると、鏡の向こうがこちらとズレていくという発想は、子どもの頃によくしていた想像から出たアイデアだったようだ。

長塚「鏡の向こうに友達ができて女の子を取り合うとか、そういったアイデアを出すところからのスタートでした。『音のいない世界で』(2012年)で共演したのが最初でしたが、本当ならこのチームでは松(たか子)さんがヒロインになるはずなんですよ。でもこの時は松さんが出産直後だったこともあって首藤(康之)さんと(近藤)良平さんを前に出して“たなか”と“かなた”を演じてもらい、そのあとで松さんと僕が“けいこ”と“こいけ”として出る形にしたんです。松さんの鏡の反対側が俺だったら、気持ち悪くて面白いですし(笑)」

 

確かに長塚が女装をして演じた“こいけ”はインパクト大のビジュアルで、子どもに大ウケだった。

長塚「久しぶりに役を演じて卑怯だと言われましたよ。だけど“こいけ”が大好きだという子に出待ちをされた時にはちょっとうれしかったな(笑)」

 

立ち位置や得意分野も違うこの4人は絶妙なハーモニーを生み出し、まさしく『かがみの~』は彼らだからこそ生まれた作品だったといえる。

長塚「プレイヤーとしての松さん、演劇とダンスをつなぐ媒介としての首藤さん、遊び心満載で振付と音楽を考えてくれる良平さん、そして僕はそこに理屈をつけて言葉を添える。そういう分業がうまい具合にできるチームなんです。良平さんが長男で、次男が首藤さん、三男が僕で、長女が松さんという感じの関係ですね」

 

今回の再演でも、この絶品のチームワークで新たな発見がありそうだ。

長塚「その発見が面白く転がりそうなら、どんどんディテールも変えながら使っていきたいと思っています。ぜひ、お子さんと一緒にいらしてください。子どもがどれだけ視野が広くて、面白いことを見つける達人であるかがよくわかる劇になっているので。もちろん大人たちも、童心に返って楽しんでいただけると思いますよ」

 

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インタビュー・文/田中里津子
Photo/篠塚ようこ

 

※構成/月刊ローチケHMV編集部 11月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります

表紙
掲載誌面:月刊ローチケHMVは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
長塚圭史
■ナガツカ ケイシ ’75年、東京都出身。’96年に“阿佐ヶ谷スパイダース”を結成し、作、演出、出演の三役を担うほか、映像への出演など多方面で活躍。

 

【公演概要】
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新国立劇場 開場20周年記念 2017/2018シーズン
「かがみのかなたはたなかのなかに」

日程・会場:12/5(火)~24(日) 東京・新国立劇場 小劇場

作・演出:長塚圭史
振付・音楽:近藤良平
出演: 近藤良平 首藤康之 長塚圭史 松たか子