2018年1月に上演される、少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』。
絶賛放送中の『宇宙戦隊キュウレンジャー』にてメインライターを務める毛利亘宏が主宰する劇団・少年社中の20周年記念作品の第一弾だ。
“ダークヒーロー”を描く物語の主人公は“マクベス”と“トクガワイエミツ”。
日ノ本を奪還するために召喚された極悪人たち=“ピカレスク◆セブン”の一員でもあり、過去のトラウマに縛られながらもこの世界の王の座を狙おうとする“マクベス”を演じるのは鈴木勝吾。
この時代の将軍でありながら、自らが蘇らせた祖父でもある“トクガワイエヤス”によって将軍の座と天下の泰平を奪われた男“トクガワイエミツ”を演じるのは宮崎秋人。
数々のドラマ・舞台で活躍し、ミュージカル『薄桜鬼』、舞台『東京喰種-トーキョーグール-』等では共演している盟友2人、鈴木勝吾が“マクベス”を、宮崎秋人が“トクガワイエミツ”を演じる。
鈴木、宮崎、そしてミュージカル『薄桜鬼』にて脚本・演出を務めた毛利の3人が、出会いから今、そして未来を語った。
―― 鈴木さんと宮崎さん、毛利さんの初めての出会いはミュージカル『薄桜鬼』?
宮崎「はい、僕はそのオーディションの時ですね。」
鈴木「僕はシンケンジャー(『侍戦隊シンケンジャー』にて谷千明 / シンケングリーンを演じた)に出演していた時、ヒーローショーの脚本を毛利さんが担当されていたというのはありますけど、がっつりご一緒というと、やっぱりミュージカル『薄桜鬼』になります。」
毛利「ミュージカル『薄桜鬼』は本当に毎日が戦いだったので、当時のメンバーとは演出家と役者の関係ではなく、一緒に戦い抜いた「戦友」という感覚がものすごくあります。ジャンルに括られないようにしよう、ひとつ違うものを作ろうとすごく戦い、振り絞っていた日々でした。だからこそかけがえのない絆があるので……みんな売れて良かった~!」
3人「(笑)」
宮崎「ミュージカル『薄桜鬼』がスタートしたのは池袋のサンシャイン劇場なので、こうして勝吾くんと一緒に真ん中に立つ舞台が毛利さんの作品で、しかもそれがサンシャイン劇場で上演されるというのは、想いがまたひとつ乗るな、というところがありますね。」
鈴木「『パラノイア★サーカス』もサンシャイン劇場だったんですけど、その時に劇団員さんが「サンシャイン劇場で少年社中がやるなんて……」と感動していたことがすごく印象的だったんです。僕らはなんとなしに色々な劇場に立たせていただいていますけど、何十年と演劇をやっていた人がそう思う場所に立つということを確かめながら、しっかり立ちたいと思います。」
―― ミュージカル『薄桜鬼』の時は、お2人に芝居の絡みは?
宮崎「ほぼ接点なかったんですよね。」
鈴木「ただ実を言うと、真ん中のキャラクター以外の中では殺陣で刀を交える瞬間はけっこうあった。」
毛利「2人が戦っていると、土方が入ってきちゃうから。」
宮崎「永倉新八は、大抵副長に助けられる(笑)。」
鈴木「舞台『東京喰種-トーキョーグール-』でも絡んだけど、僕が一方的にボコボコにするっていう。」
宮崎「またやられる側だった……。」
毛利「ついに仕返し出来るね。」
宮崎「ようやく一太刀浴びせる時が!」
鈴木「ヤメテー!でも本当に今まで一度もやられたことなかった(笑)。」
宮崎「そう、勝吾くんに傷ひとつ付けられなかった!」
鈴木「秋人が上手くリアクションしてくれるから、俺が強く見えていたんだよね。」
毛利「風間、よく新八を踏みつけて歌ったりしていたし。」
宮崎「勝吾くんを強く見せるのが俺の仕事でした(笑)。」
鈴木「2人で作った風間と言っても過言ではない(笑)。今回の作品では、途中までは仲間という立ち位置もあるし、後半につれてどんどん関係性が変わってくると思うので、また全く新しい役柄での絡みになると思います。」
宮崎「ドキドキです!」
―― 毛利さんもそんな2人を見たいと思っての、今回の配役。
毛利「もちろん!自分の劇団で自分の作ったキャラクターで2人をガチンコでお芝居させたいとずっと思っていたので。だから僕も楽しみです。ワクワクする!」
鈴木「でも正直に言えば、僕は怖いです。もちろん楽しみな気持ちも大きいけど、『パラノイア~』の松田凌しかり、下にいっぱいいるということは頼もしい反面、怖いなという気持ちも役者としてどうしても感じる。」
宮崎「いやコッチもね、勝吾くんの演技を観る度に「すげーな」と思わされる一方ですよ。」
鈴木「そう言ってくれるから自分もやれるっていうところもあるんだけどね。このコたちが見ているところでは、ちゃんとやらなきゃなっていう。年下の役者さんとやらせていただく機会も増えているけど、やっぱりミュージカル『薄桜鬼』は自分にとっても特別なので。あの作品で一緒にやってきた人たちと、こうしてまたやるというのは試されるようで怖いという気持ちがあるし、高め合えるという気持ちもある。」
宮崎「勝吾くんが他の先輩と違うなって思うのが、誰よりも悩んでいるのが明らかに伝わるんですよ。先輩のクセに!」
鈴木「(爆笑)」
毛利「そうなんだよね!何も隠さないし、カッコ付けない。」
宮崎「それが怖い!これほど怖いものはないんですよ。コッチもどれだけ突き詰めないといけないんだ……ってなりますから。それに演出家の方も、そこまでの姿を晒している勝吾くんに対してはバチって言おうということになるし……ズルイなーって思います。それは年下の役者がやるポジションでしょ!って。」
鈴木「悩みを見せないのは、もっとスマートに出来るようになってからやるよ(笑)。思うんだよ? カッコ付けたいなとは。でもカッコ付けようとして出来ないのが一番カッコ悪いと思うから。」
宮崎「確かに(笑)。それ間違いないし、そういう素直さが勝吾くんの武器だなと思います。」
―― 毛利さんが今のお2人を見て、改めて思われることは?
毛利「良いところは変わらず、役者の道を積み重ねていって真っ直ぐ歩いていると思います。2人の活躍や成長を見ると、僕も頑張ろうと思えるんです。今回の企画、2人とも試される場という風に思うところはあると思うんですけど、僕自身も同じように緊張していますし、外ですごい演出家といっぱい作品をやっている2人なので、負けたくないという思いも持っているんですよ。今回は、お互いにそれぞれの今を確かめ合う機会なのかなと思いますね。これがゴールではないし、まだ先に続いていくものなので。一生この仕事で刺激し合える関係でいたいと思います。
―― 気が早いですが、この『ピカレスク◆セブン』を経て、5年後10年後にまた皆様がご一緒される日も……?
毛利「もちろんです。絶対にあると思いますし、この業界に身を置く以上つながると思うので。」
宮崎「ミュージカル『薄桜鬼』のメンバー揃えて欲しいです!」
鈴木「大変なメンバーになるよ。松田凌、矢崎広、池田純矢、小野健斗、柏木佑介、それに廣瀬大介……。」
宮崎「すごいメンバーだなー。」
毛利「5万人動員とか(笑)?」
―― サンシャイン劇場30days公演とか、もっとロングランでも……。
宮崎「「楽屋からの階段がヒザにくるなァ」なんてグチを言い合いながら(笑)。」
鈴木「そんな歳になってからやる!?それで5万人動員したらそれはそれですごいけど(笑)。もうちょい手前でやりたいよ。」
毛利「でもなんだかんだで、ミュージカル『薄桜鬼』で出会ってから5年くらいしか経っていないんだよな。もっと時間が経っている気がする。」
鈴木「思います、思います。」
毛利「10年くらい前の感覚。」
―― それくらい皆様の5年間が濃かったということですね。では最後に、このページをご覧いただいている方々へメッセージをお願い致します。
宮崎「少年社中20周年記念の第一弾作品に関われるという喜びを持って、自分にとって新年1発目となる舞台をお祭り騒ぎに盛り上げていきたいなと思います!毛利さんや勝吾くんに対しての想いもたくさんありますけど、少年社中×東映 舞台プロジェクトの第一弾作品だった『パラノイア★サーカス』にすごく衝撃を受けたので、それ以上のものをしっかりとお客様にぶつけて、第三弾、第四弾と続けていけるように、そして続く作品の大きなハードルを作れたらと思っています!」
鈴木「今まで真ん中に向かって、もしくは背後からワッと出していく役が多かったのですが、今回は自分が好き勝手出していく役とは違うと思うので、しっかり物語を引っ張って魅せていかないとな、と思っています。“壊れた四次元ポケット”を保ちつつ(笑)、秋人と立つ真ん中としての意識も忘れず、どちらも諦めずにミックスしていけたらと思います。それと、20周年記念作品に出るんだという話を人にした時に「すごいね、継続は力なりだよね」と言われて、改めて偉大さを感じました。ずっと演劇の世界で20年続けてきて、今もやっている劇団の作品に出るという大きさに応えなくてはと思います。」
毛利「個人的に『キュウレンジャー』をメインライターとして1年書き続けての“悪役”作品、という思いがすごく大きくて。この1年間、なかなかに過酷な執筆の日々でございましたので(笑)。その中で色んなものを自分の中に見つけることが出来たり、鍛えられたなというところがあるので、それをホームグランドである「少年社中」という劇団に全力でぶつけてみたいなという気持ちがあります。『キュウレンジャー』好きな方は絶対に面白いと思いますし、そうじゃない方もぜひいらしていただきたいです。」
―― ありがとうございました!
取材・文/片桐ユウ
【公演概要】
©少年社中・東映
少年社中20周年記念第一弾
少年社中×東映 舞台プロジェクト 「ピカレスク◆セブン」
日程・会場:
2018/1/6(土)~15(月) 東京・サンシャイン劇場
2018/1/20(土)・21(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ
2018/1/27(土) 愛知・岡崎市民会館 あおいホール
脚本・演出:毛利亘宏
出演:
井俣太良 大竹えり 岩田有民 堀池直毅 加藤良子 廿浦裕介
長谷川太郎 杉山未央 山川ありそ 内山智絵 竹内尚文 川本裕之
鈴木勝吾 宮崎秋人/椎名鯛造 佃井皆美 相馬圭祐 丸山敦史
唐橋充 松本寛也 細貝圭/大高洋夫