株式会社マーベラス 代表取締役会長兼社長CEO 中山晴喜 インタビュー

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2.5次元の可能性をこれからも追い続ける

2.5次元ブームの旗手として多彩なビッグタイトルを手がける株式会社マーベラス。中でも近年熱狂的な支持を得ているのが、舞台『刀剣乱舞』と『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』だ。両タイトルの共通点は「コアユーザーが多いこと」と代表取締役会長兼社長CEOの中山晴喜は分析する。ファンが熱心であればあるほど一歩間違えれば反発を招くリスクもある。その中で、原作ファンも納得の良質な舞台をつくり続けていることが、同社の強みだ。

中山「原作のイメージを損なわないことはもちろんです。そのうえで、さらに原作を知らないお客様が観ても『楽しかったな、おもしろかったな』と思っていただける作品にしていくことが我々の基本スタンスです。何の予備知識なく観ても100%楽しい、原作を知っていればさらにそれが200%になる。そういう作品づくりを目指しているところが、結果的に多くのお客様からご評価をいただいているポイントになっているのではと思います」

 

今後も舞台『モブサイコ100』など新作にも意欲的に取り組む。数あるヒット作品の中から同社が舞台化を検討する基準はどこにあるのか。

中山「担当者の意気込みをもっとも大切にしています。たとえば、『弱虫ペダル』を舞台化する際は、まだ当時TVアニメ化などのメディア展開は行われていませんでしたし、演劇として魅力的な演出を考えるにあたっても難易度が高い作品といえました。さまざまな不安要素がありましたが、担当の女性社員のどうしてもやりたいという思いをきっかけにして、素晴らしい演出家、キャスト、スタッフが集まって、今ではトップレベルのヒットコンテンツになりました。今回の新作舞台『モブサイコ100』についても現場が本当にやりたいと言うなら、思い切って任せたいと思いました。現場優先主義、これが当社の鉄則です」

 

そんなボトムアップの体質が、強力なキラーコンテンツをいくつも抱える土壌を生んだ。だが一方で、過熱する2.5次元人気の中心に立ちながら、冷静に課題も見据えている。

中山「いま2.5次元がブームということで、様々なタイトルが濫立気味になってしまう可能性があります。とりあえず原作を使って人気の役者を集めれば何とかなるんじゃないかという姿勢が透けて見える作品が散見されるのも事実です。これは、2.5次元がこれからも多くの人に愛される文化となる上で解決すべき問題のひとつといえます。そして、俳優も演出家も不足していて、人材が足りていない状況といえます。今後は次代を担う人材の発掘・育成もしっかり考えていかなければいけないと考えています」

 

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これまで多くの若手俳優がスターダムへと駆け上がるのを見てきた中山が掲げる、優れた俳優に必要な資質は、ひとつだ。

中山「やはり、ひたむきに演技に取り組む姿勢が大切ですよね。成功している俳優ほど、みんな絶えず努力しています。たとえば、若い頃は歌はまるでダメだった俳優が見えないところで努力を重ねて、今や立派なミュージカルスターになったケースを私は知っています。またほかの例では、長期公演作品として我々はミュージカル『テニスの王子様』を手掛けていますが、たとえどんなに数多くの公演を演じても、ただの一度もクオリティを落とさなかった俳優もいます。その彼は知ってるんですよ、自分にとっては数多くのなかの1公演でも、お客様にとっては1分の1なんだということを。今は2.5次元が人気で、経験の少ない俳優でも満員の舞台で主役を張れたりする。でも、それに慢心して自分の人気だと勘違いするようではいけません。高い意識を持って取り組んでいた俳優には、そうした舞い上がったところがまるでなかった。そういう俳優のひたむきな演技は、やっぱり胸を打ちますよね」

 

拡大し続ける2.5次元マーケット。今後は一層海外戦略にも力を入れていくつもりだ。

中山「海外公演でネックになるのは、やはりコスト。対策として、今後は現地の役者をどんどん入れていくなど新しい試みもしていければ。最終的には日本が海外からミュージカルを買いつけてくるように、我々が作品の権利を売って、それを買った外国の会社が現地の役者を集めて公演を打つような体制を築けるようになりたいな、と。今日も世界のどこかで舞台『刀剣乱舞』や舞台『弱虫ペダル』が上演されている。そういう世界ができると面白いですよね」

 

観劇人口の拡大にも余念がない。

中山「今中心となっている世代のお客様が年齢を重ねても変わらず楽しんでいただける作品を発掘していきたいし、できればもっと男性のお客様も増やしたい。随分前にネルケプランニングの松田(誠)さんとそのうちいつか『テニミュ』の常設劇場をつくって1年中公演を打ちたいね、なんて話をしたことがありました。これから未来の2.5次元マーケットの上限がどこかはまだ僕らにもみえてはいません。だからこそ試したいことはまだたくさんあるんです」

 

インタビュー・文/横川良明
Photo/山本倫子

 

※構成/月刊ローチケHMV編集部 12月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
表紙
掲載誌面:月刊ローチケHMVは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

 

【プロフィール】
中山晴喜
■ナカヤマ ハルキ ’97年、株式会社マーベラスエンターテイメント(現:マーベラス)設立。代表取締役会長兼社長CEOを務める。

 

【公演概要】
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© 舞台『刀剣乱舞』製作委員会

舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り

日程・会場:
12/15(金)~17(日) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
12/21(木)~24(日) 大阪メルパルクホール
12/28(木)・29(金) 福岡サンパレス ホテル&ホール

 

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©許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト
©許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学(せいがく)vs比嘉

日程・会場:
12/21(木)~24(日) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
12/28(木)~1/7(日) 大阪メルパルクホール
1/13(土)・14(日) 福岡サンパレス ホテル&ホール
1/19(金)~21(日) 愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
1/27(土)・28(日) 岩沼市民会館 大ホール
2/8(木)~18(日) 東京・TOKYO DOME CITY HALL

 


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© ONE・小学館/舞台『モブサイコ100』製作委員会

舞台『モブサイコ100』

日程・会場:
1/6(土)~14(日) 東京・天王洲 銀河劇場

 



© 2016 Happy Elements K.K/あんステ製作委員会

『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』~To the shining future~

日程・会場:
1/19(金)~21(日) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
1/25(木)~2/5(月) 東京・シアター1010