2019年2~3月、東京芸術劇場 プレイハウスほかにて上演される舞台『世界は一人』(出演:松尾スズキ、松たか子、瑛太 ほか)の新ヴィジュアルと、岩井秀人・松尾スズキ・前野健太のコメントをお届け致します。
【コメント】
■岩井秀人(作・演出)
初めての音楽劇です。以前から、歌には個人的なことを拡大して届ける力があると感じていました。とすると、僕がいつもやっている身近なことを描く演劇も、音楽で広げられるのではないかと思ったわけです。音楽を担当するのは、昨年、『なむはむだはむ』で音楽の自由を一緒に感じたマエケン(前野健太)です。稽古場で俳優さんたちと一緒に曲を完成させていくような作り方をし、モノローグから、ダイヤローグから、スッと歌が生まれていけたら、と思っています。また、そんな大変な作業を共にしていただけるであろうキャストに集まっていただけました。松尾スズキさんと松たか子さんと瑛太さんが同級生役です。8歳くらいから皆さんにやってもらおうと思ってます。総勢7名の盤石の俳優陣も揃いましたし、見たことのないものができると思っています。本当に。
■松尾スズキ(出演)
共演が松たか子さん、瑛太くんと聞いて、「岩井くん、ちゃんとやるんだな。“なんちゃって音楽劇”じゃないんだな」と思いました(笑)。ミュージカルというと大きな世界観を描くイメージがありますが、日常会話からサッと歌に入っていくというのもオシャレでいいんじゃないでしょうか。僕もリズムや音程といったところから自由になって歌えたらと思います。松さんと瑛太くんと同級生というのはどう頑張っていいのかわかりませんが(笑)。でも、岩井くんの芝居は、おばあちゃんじゃない人が記号としてのおばあちゃんを演じる、といった仕掛けが面白かったりもします。ひどい人生を演じることになるようですが、この期間はこのお芝居のことだけを考えられるようにあけてあるので、じっくり楽しみたいと思います。
■前野健太(音楽)
岩井さんが取り組んで来られた作品は、まぎれもなく「歌」そのものなんだと思います。街の人の物語、気分、絶望、吐息。時に憎悪に近い感情も、作品のなかでは旨味に昇華させ「歌」に変えてしまう。それは演劇作品、舞台上ではセリフに聞こえるかもしれないけど、僕にとっては、岩井さんが俳優に語らせるセリフはもう「歌」のようでした。だから今回彼が音楽劇をやる、と言い出したとき、まったく違和感がありませんでした。ただ、どうして自分が誘われたのかは未だに不明です。罠にかけられた!
とさえ思っています。彼は曲も詞も書けてギターも歌もやれるからです。強烈な俳優の方々が持っている「歌」と岩井さんの「歌」がどうぶつかっていくのか、これからとても楽しみです。その人の「声」もまた「歌」そのものと思うからです。
左から 瑛太・松尾スズキ・松たか子