2024年冬、兵庫県立芸術文化センターでは京都を拠点として活動する劇作家・演出家、土田英生の書き下ろしによる、神戸港を舞台にした物語の製作・上演が決まった。
劇団MONO代表として活動しながら、劇作とともにドラマ・映画の執筆を手がけ、笑いとペーソス溢れる作風で人気の土田英生。その土田と、兵庫県立芸術文化センターがプロデュース企画としてタッグを組むのは今回が2回目となる。前回は2022年、神戸出身の詩人・竹中郁の作品を織り込んだ朗読劇「アネト」を上演し、神戸の風景が目に浮かぶような詩情溢れる作品で好評を博した。その舞台成果をもとに、土田英生作・演出による“神戸シリーズ”第2弾をお届け。
神戸は港とともに発展し、人々の暮らしや記憶の中に港があった。その歴史は古く、奈良時代に築かれた大輪田泊(おおわだのとまり・現在の兵庫区)から始まる。
土田英生は、その港神戸はじまりの地に着目。日宋貿易の玄関口となった時代から、兵庫津、神戸港と変化していく中で、それぞれの時代を舞台にした話をオムニバス形式で描く。時代を超えて変わったこと、変わらないもの。何気ない日常の会話から時代と人間を鋭く描く土田英生ならではの、神戸港千年の物語の誕生に乞うご期待。
物語の軸となる夫婦役には、兵庫県出身の南野陽子と大谷亮介を迎える。歌手として活躍する一方、数々のドラマや映画、舞台に出演し、女優として高く評価されている南野陽子。朗読劇「アネト」にも出演し、優しさ溢れる演技で観客を魅了した。夫役の大谷亮介は、西宮市出身で、映像・舞台に欠かせない俳優として活躍を続ける大ベテラン。関西出身の二人による味わいのある夫婦役に注目。
二人に加えて関西を拠点に活動する実力派・8名の俳優を起用。一般公募のオーディションにより選ばれたエキストラキャスト10名も加わり、神戸の湊に集った人々の千年の悲喜交々が描かれる。
作・演出の土田英生よりコメントが届いた。
作・演出 土田英生 コメント
二年前、神戸出身の詩人・竹中郁さんの作品を入れ込んだ朗読劇をやらせていただいた。南野陽子さんと文学座の林田一高さんによる手紙のやり取り、そして関西で活躍する俳優さんたちによる詩の朗読。そこでの好感触を起点にして、舞台作品を創ろうと盛り上がり、それが今回の企画実現につながりました。
完全な新作です。神戸が持つ様々な歴史やイメージを背景にしながら、人々の様々な断片を見てもらう。千年という時間の中でも変わらない人間の姿。引き続き南野さんにも出演してもらい、兵庫県出身のベテラン俳優・大谷亮介さんにも参加いただくことになりました!総勢20人ほどの出演者。どんな作品に仕上がるか、今から緊張しています。
あらすじ
現代の神戸。兵庫運河沿いのイオンモール神戸南に買い物に来た一組の夫婦。「ここはすごい場所なんやで」。歴史好きの夫が語るうんちくにつきあっていた妻が、突然夫の話を遮って…。夫婦の来し方を巡る会話から、やがて神戸の千年が立ち上がる。