ハナコ第8回単独公演2024『そのうち』│ハナコ(岡部大、秋山寛貴、菊田竜大) インタビュー

写真左から)菊田竜大、秋山寛貴、岡部大

結成4年目という速さで『キングオブコント2018』優勝後、メディアを問わず活躍を続けるトリオ、ハナコ。そんな彼らのコントを思う存分味わえるのが単独公演。昨年、その単独公演のリニューアルを行った。その意図や、新たにスタートする今年の単独公演『そのうち』に込められた意味、ハナコにとっての単独公演がどんなものかについて聞いた。

──ハナコさんの単独公演は、一昨年まで一貫して『タロウ』というタイトルでした。昨年、『はじめての感情』とタイトルを変えて、今年の単独公演は『そのうち』。どんな心境の変化があったのでしょう?

秋山 単独公演はとにかくいろんな種類のコントをやるのが楽しくて。だからあえて無機質な『タロウ』というタイトルで6回重ねてきたんです。でも、みんな30代になったし、もう少し温度が伝わるといいのかなと思って、公演ごとにタイトルをつけてみよう、ポスターも実写にしてみようと変化をつけました。まだ探り探りですが、狙いどおりの方向には向かっているのかなと。

岡部 僕は単独公演って、その時やりたいコントを見せられればよくて、コンセプトなんていらないのかなと思ってたんです。だけど去年タイトルに沿ったものをやってみて、ひとつ軸があると見やすいのかな、今年もいろいろ挑戦できたらなと思えました。

菊田 僕としては、言われたことをやるという心構えはずっと変わらないです(笑)。ただ、昨年タイトルが変わったことで、お客さんと同じ気持ちですごくワクワクしました。

──お三方が手放した『タロウ』というタイトルを、トム・ブラウンさんが受け継いだんですよね?

秋山 驚きました、律儀に確認の連絡までいただいて(笑)。

岡部 僕らが『タロウ6』までやったから、トム・ブラウンさんは『たろう7』というタイトルで。また僕らが『タロウ』をやりたくなったら、トム・ブラウンさんがカウントした次の数字で再開しなきゃいけない(笑)。

菊田 数字の順番が複雑になる、スター・ウォーズみたいな。

──今年の単独公演のタイトルを『そのうち』とした意図は?

秋山 昨年の『はじめての感情』のように、いろんなものが詰まった広い言葉にしようと。時間を感じさせるもの、とくに未来のコントをやってみたいなと思って、それを感じさせるようなタイトルにしました。100年後も、1年後も、明日も、カップラーメンができる3分後だって未来じゃないですか。同じ未来でも、そんな幅広さが出るといいなと思っています。

──お三方は舞台でのライブはもちろんのこと、テレビでのスタジオコントにもたくさん挑戦しています。スタジオコントの面白さはどこにありますか?

秋山 舞台上だと笑いどころで声を出したりツッコミを入れたりしたくなるんですけど、スタジオコントは息を呑むとか、瞬きするとか、表情だけでも伝わる。それは楽しいし、やってみないとわからないことでした。でもそんな細かいところって別に打ち合わせはしないので、リアクションして「カメラさんに気づいてほしい!」と願うしかないんです。モニターの方から笑い声が聞こえると「よっしゃ!」と思ったりして。

岡部 スタジオコントにもいろいろ種類があって、僕らが得意なのはキャラコントのようなキャッチーなものより、シチュエーションとか設定がしっかりあるものなんですよね。だからこそ、テレビではキャラの方にも挑戦していかなきゃいけないな、と思います。

菊田 僕は声量ですかね。この声の小ささを活かせるんだという喜びがあります。舞台上だと「ここで声を張りたくないけど聞こえないと困る」という理由で大きくしてしまうときがありますけど、テレビは小さい声でも届くのはうれしいです。

──スタジオコントをはじめ、テレビなどのメディアでの仕事は、ライブに還元されるものですか?

秋山 僕は映像の脚本もたまにやらせていただくんですが、今は必死に映像のノウハウを学んでいる段階で、直接的にそれによって舞台のネタがパワーアップする!というところまでは行けていないなと思います。でも確実に力になっていくんだろうなという予感はします。

菊田 僕、去年の単独公演でテレビカメラを持つネタをやったんです。ネタ時間は10分弱なんですが、空調の効いているライブハウスでも汗だくになるくらいしんどくて。そんなカメラを1日中かついでくれているカメラマンさんへの感謝が強まりました。

秋山 じゃあディレクターさんとかマネージャーさんとか、いろんな役柄をやらせたほうがいいな(笑)。

岡部 僕はドラマに参加させていただいて、セリフを言っている相手側が雰囲気を作るのもすごく大事なんだなと思いました。ただ、テレビはやっぱり誰かが作ってくれたパッケージでやっているんですよね。単独は本当に全部自分たちで考えてそれを自分たちでやる、一番観てほしいところはそこだな、というのはテレビに出るようになってより感じるようになりました。

──最後に、その一番観てほしい単独公演である『そのうち』がどんな公演になりそうか、教えてください

秋山 まさに今、何も決まっていない状態でお話していますけど、まさにこの記事を読んでいただいたときの感覚の単独公演になると思うんですよ。何が起きるんだろう?どんなライブになるんだろう?ってワクワクするじゃないですか。その気持ちを公演に込めて作りますので、ぜひ皆さんにはそこに首を突っ込んでいただきたいと思います。

岡部 10分尺のコントって、本当に単独公演でしか観ていただくことができないんですよね。でも、その尺がいちばんいろんな人の感情やシチュエーションを盛り込んで見ていただける、満足度高いコントになると思うので、ぜひそんなコントを観に来ていただきたいです。秋山の地元である岡山と、僕の地元である秋田でも公演があるので、ぜひ。

菊田 僕、毎回来てくださったお客さんに紙のクジで抽選して、プレゼントを渡しているんですよ。去年はもらって『はじめての感情』になるように、缶ミラーをあげたんです。今年は未来にあやかったプレゼントをしたいと思うので、楽しみにしていてください。

インタビュー&文/釣木文恵
撮影/中田智章