(左から)成河、木村 了
撮影:宮川舞子
映画「スリー・ビルボード」「イニシェリン島の精霊」など、新作が公開されるたびにアカデミー賞を賑わせる、イギリス出身の鬼才、マーティン・マクドナー。劇作家としてキャリアをスタートさせ、演劇界・映画界の2つのジャンルで活躍する彼の代表作の一つ『ピローマン』。小川絵梨子の翻訳・演出で上演する本作が2度のプレビュー公演を経て、10月8日(火)に初日を迎えた。
凄惨な描写とユーモアが見事に融合されたこの『ピローマン』を、小川絵梨子が演出するのは11年ぶり2度目。今回の上演にあたって、小川は新たに翻訳し、今作に挑んだ。
暴力的な描写の後に続くユーモア…ジェットコースターのように目まぐるしく展開する本作。本日の初日公演では、時に笑い、時に息をのみ、小川と出演者らが立ち上げたマクドナーの緻密な世界に客席は翻弄された。
開幕にあたり、舞台写真と、翻訳・演出の小川絵梨子、カトゥリアン役の成河、ミハエル役の木村了のコメントが到着した。
コメント
小川絵梨子(翻訳・演出)コメント
プレビュー公演を経て、初日を無事開けることができました。プレビューにお越しくださった皆様、本当にありがとうございました!
『ピローマン』は物語についての物語になります。ぜひ、劇場にて、この物語を楽しんで頂けましたら幸いです。
成河(カトゥリアン役)コメント
マクドナーの紡ぐ言葉の森を彷徨い続けてきました。絵梨子さんと共に目指す俳優の真髄、といいますか真に俳優芸術と呼べるものは遥か高みにあります。それでも、荷物を捨てて、身を投げ出してその壁を登ることで、少しずつ森の全容が見えてくる。すると、言葉の森というのはこんなにも豊かで、優れた戯曲というのは本当に人類の宝なのだという事が分かります。このマクドナーの奇跡のように美しい森を、皆さまに安心して隅々まで散策して頂けるよう、チーム一丸となって、最後まで壁を登り続けたいと思います。
木村了(ミハエル役)コメント
初日の幕が開きました。無事に初日を迎えられた事にホッと胸を撫でおろすと同時に、この『ピローマン』という作品を「物語」として立ち上げ続けていくことへの緊張感で背筋が伸びる思いです。常に出会って発見し、手放して、許す。これが出来ることの喜びを噛み締めながらミハエルを務めさせていただきます。劇場でお待ちしています。
舞台写真
撮影:宮川舞子