舞台『刀剣乱舞』十口伝 あまねく刻の遥かへ│梅津瑞樹 インタビュー

©NITRO PLUS・EXNOA LLC/舞台『刀剣乱舞』製作委員会

違ったベクトルの『刀ステ』が生まれる予感がしている

舞台『刀剣乱舞』十口伝 あまねく刻の遥かへは、シリーズ初の試みとなるオムニバス形式での上演。座長を務める山姥切長義役の梅津瑞樹は、本公演には「綺伝」以来の出演となる。

「オムニバスだから各話ごとに数振りずつ刀剣男士が出てくるのか、あるいは全振りが出てくるのか。なおかつ、元来の『刀ステ』であれば最終的には全員が集まって戦うような流れになるかと思うのですが、今回は一体どうなるんでしょうね。点と点がどう線となって繋がっていくのか、今はまだ想像できていませんが、逆に言うとそこがすごく楽しみです」

今回は初めて座長という立場での“出陣”となる。

「初参加のときは、まっきーさん(荒牧慶彦)やマーシーさん(和田雅成)にすごく助けられて、「綺伝」や「科白劇」ではわだっくまさん(和田琢磨)が周りを気に掛けていた姿が印象的でした。果たして自分にそれができるだろうかという不安はあります。気に掛けるといってもいろんなやり方がありますし。初共演の方もいるので、まずは人となりを知るところからですね。先日、撮影でご一緒した日光一文字役の田鶴翔吾くんとは同い年で、『ご』という呼び名も決まって仲が深まったので(笑)、稽古が始まるのが楽しみです」 

演出・脚本を手掛ける元吉庸泰とは「虚構の劇団」の劇団員仲間だった。「フランクな空気感を醸造するのがうまい」とその印象を語る。

「つねさんの脚本は思考のパターンが瞬時には分からなくて、考えることを求められるという印象です。演出に関しては、役者目線に寄り添ってくれて、個人のひらめきも拾ってくださる。今作が決まってからまだ連絡を取っていないので、顔合わせ初日に『つねさん、お久しぶりです!』と再会するのが密かに楽しみなんです」 

初出演から約6年が経つが、役の捉え方に関して「変化はあまりない」そう。

「大好きなイッセー尾形さんが、人間を近似値で捉えたらいいといった話をされていて。役そのものを演じようという意識から一歩引いてみる。もちろん演じる中で自分の感情が昂って役と近しいところにもいくんですが、同時に、冷静に感情をコントロールする自分も横に置いておく。それは5年前から変わらず大事にしています。近似値を拾って作り上げるだけでは、もしかしたら100%ではないかもしれないけれど、そこからさらに自分の演技によって120%のものを届けられたらと思っています」

新たな挑戦を前に「違ったベクトルの『刀ステ』が生まれる予感がしている」と期待を覗かせた。

「初の取り組みをする公演での座長という立場は、光栄でもあり責任重大だなと。これが成功すれば今後もオムニバス公演をやる余地が生まれて、刀剣男士たちの新たな関わりを観ることもできるかもしれない。そうなったらすごく素敵だなと思うので、気を引き締めて作品に向き合っていきたいと思います」

インタビュー&文/双海しお

【プチ質問】Q:手土産を選ぶポイントは?
A:手土産を持っていくときは、地方での仕事の際にお土産として買ってきたときですね。手土産というと大抵は食べ物じゃないですか。でも食べ物に疎くて(苦笑)。だから、現地のスタッフさんや地元のタクシー運転手さんに「ここで有名なものなんですか?」とか「何が好きですか?」と聞いて、そこから選ぶことが多いですね。舞台の現場にお弁当の差し入れをするときは、基本的には自分が好きなお弁当をお願いすることが多いかもしれない。でも、同じお弁当を他の方がすでに差し入れていたり、別の現場でお気に入りのお弁当を差し入れた直後だったり、そういう別の案が必要なときは他力本願です(笑)。マネージャーさんに候補を送ってもらって「これいいじゃないですか!」と決めていますね。

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載

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【プロフィール】

梅津瑞樹
■ウメツ ミズキ
代表作に舞台『刀剣乱舞』シリーズ、ミュージカル『薄桜鬼』など。演劇ユニット「言式」プロデューサー。