舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里|制作発表会見レポート

©︎吾峠呼世晴/集英社 ©︎舞台「鬼滅の刃」製作委員会

週刊少年ジャンプで2016年より連載された吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』。魅力的なストーリーとキャラクターが人気を呼び、世界中で愛されている作品だ。舞台シリーズは2020年に1作目が上演され、5作目となる2025年4月の公演では「刀鍛冶の里編」が上演される。『舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里』制作発表会見には、竈門炭治郎役・阪本奨悟、竈門禰豆子役・高橋かれん、猗窩座役・蒼木 陣、鬼舞辻無惨役・佐々木喜英、脚本・演出の元吉庸泰に加え、映像出演となる黒死牟、童磨のキャストが参加。上弦の鬼たちが集合したビジュアルも公開された。

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■前作に引き続き、原作を丁寧に立ち上げたい

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今回から脚本・演出を務める元吉は、キャスト陣としっかり話すのはこの日が初めてだという。「素晴らしいなと思ってシリーズを拝見していました。だからこそどう接していこうかドキドキしています」と緊張を滲ませつつ、「演出としてもですが、脚本としてどう言葉を紡いでいくか。もちろん素晴らしい原作の内容を上演しますが、舞台をどう作っていくか楽しみで仕方ありません」と語った。
『舞台「鬼滅の刃」其ノ参 無限夢列車』以来の出演となる蒼木は「前回は出番が約15分でした。その中で煉獄さんと出会って、惹かれ、死闘を繰り広げて、朝日が登って逃げて。本当にハードでしたが、そのぶん自分の指標になっています。今回は映像出演ですが、また戻ってこられたことがとても嬉しいです」と意気込む。

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楽しみなシーンを聞かれ、阪本が「今回も曲者の鬼たちが揃っているので、戦いをどう描くのか。舞台ならではの魅力があると思うので楽しみです」と答える。高橋は「阪本さんがおっしゃる戦いのシーンは、人力でやるからこそ人間の強さや儚さが繊細に・ダイレクトに伝わると思います。原作でも丁寧に描かれている部分を大事に励んでいきたいです」と話し、周囲から「本当に10代?」と驚きの声が上がった。
佐々木は「前回が無限城に上弦の鬼たちが集合する前のシーンで終わったので、その先に行くのが楽しみ」と期待を語り、元吉が「かれんちゃんに全部言われてしまいましたが、舞台ならではのものを作らないと負けだと思っています。お客様に唯一無二の体験をしていただけるよう丁寧に作っていきたいです」と意欲を語った。

■ミュージカル界のベテランが強敵として参加

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ここで、上弦の壱・黒死牟役を加藤和樹、上弦の弐・童磨役を浦井健治が務めることがキャラクタービジュアルと共に発表された。
加藤は「子供の頃からのジャンプっ子として、非常に嬉しく思っています。ファンの皆さんの期待を裏切らない黒死牟を演じたいです」と語り、浦井は「僕は『鬼滅の刃』の大ファンで、自分が演じることになるとは夢にも思っていませんでした。また、『デスノート』の夜神月やこの作品の童磨はまもちゃん(宮野真守)の役。リスペクトしながら演じたいと思っています。本人に連絡したら、「健ちゃんらしい童磨を演じてね!いえーい!」と返ってきました(笑)。それを胸に自分らしく演じたいです」と熱量たっぷりに語った。
上弦の鬼が集結する本作について、元吉は「第一に、人間サイドがどうやって勝とうかなと(笑)。あらゆる戦場を駆け抜けてきた皆さんと舞台上であいまみえるなんて、こんなに美しく楽しいことはない。どう作っていくか今から楽しみです」と期待を寄せる。
阪本と加藤はミュージカル『テニスの王子様』以来17年ぶりの共演。加藤は「越前リョーマという役として立ち向かってくる姿にヒリヒリするものを感じ、全力でやらないとと思っていました」、阪本は「覚えてくださっていて嬉しいです。僕の人生においてもすごく濃密な時間でした。先輩として和樹くんが引っ張ってくれて、それに呼応するようにがむしゃらにやっていた記憶があります」と振り返った。

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また、加藤は「前作の遊郭編は本当に感動して泣いてしまいました。奨悟くんの炭治郎も出演者の皆さんも素晴らしくて。僕がネルケさんの作品に出会ったのは20歳の頃で、そこから20年経ってまた参加することに運命的なものを感じます。あの世界に飛び込むプレッシャーもありますが、役割をちゃんと果たせたらと思います」と意気込む。
浦井は「『キングアーサー』で和樹と共演した時に、(炭治郎を演じていた)小林亮太くんもいたのでポージングや「〇〇の呼吸!」と真似して遊んでいました(笑)。だから今日すごく緊張していて」とはにかみ、「オファーをいただいた時は悶絶しました。ビジュアル撮影の時は衣装さんとメイクさんが本当にプロフェッショナルで。夢って叶うんだと思いましたし、すぐ和樹に連絡しました(笑)」と作品への愛を感じさせる笑顔で語った。
そんな二人を従える鬼舞辻無惨役の佐々木は「僕、2.5次元舞台などには歌唱力=キャラクターの強さ・戦闘能力みたいな方程式があると思っているんです。だから、ミュージカル界の大先輩が出てくださることにプレッシャーを感じています」と語り、元吉も「歌ひとつで納得させられるのは本当に素晴らしいこと。舞台における非常に大きなスキルだからこそ、どう配置するのがプレッシャーですよね」と頷く。
同じく上弦の鬼を演じる蒼木は「僕も浦井さんと同じで『鬼滅の刃』が大好きで、初演に衝撃を受け、猗窩座は僕が絶対にやるんだと気合を入れてオーディションに臨みました。それを経て上弦の仲間が集えるのは感慨深いですし、大先輩の胸をお借りして、上弦の鬼としての凄みや歴史を載せていきたいと思います」と熱意を語った。

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■目指すのは原作ファンの方も納得するクオリティ

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2.5次元舞台で大切にしていることを訊ねられた浦井は「原作ファンの方の期待を裏切らないことかなと思います。原作者の先生が命をかけて執筆した作品を演じるには覚悟と責任がいる。板の上でキャラクターが生きていると思っていただけたら成功だと思うので、そこからブレずに演じたいです」、加藤は「作品やキャラクターへの愛を大事にしています。愛を持って細かい仕草や表情を再現する。これは僕の初舞台である『テニスの王子様』で学んだことでもあります。いちファンとしても役者としても丁寧に作りたいです」と、それぞれ真摯に語る。阪本は「自分のポリシーとしては、世界中の誰よりもこの作品とキャラクターを愛すること」と話した。

続いてビジュアル撮影のエピソードを聞かれると、阪本と高橋が「衣装で一気にスイッチが入ります」と話し、蒼木は「僕の撮影前に和樹さんが撮影していたんです。入ったら黒死牟がいて、この人強い、勝てないなとなりました(笑)。でも猗窩座としては黒死牟すらいつか倒すという気持ちがあると思うので、その感情を大事にしたいです」と意気込み、佐々木は「無惨は登場のたびに衣装や髪型が変わるので、いろいろ用意していただいて申し訳ない気持ち(笑)。変化も探していただけたら嬉しいです」とアピールした。
加藤は「黒死牟は目が6つあるんですが、僕の目の型をとってリアリティを出しています。刀も原作通りでこだわりがすごいので早く振りたいです」とワクワクした表情を見せる。浦井は「スタッフさんの集中力がすごくて、本当に呼吸を使っているんじゃないかと思いました(笑)。完成したものを見たスタッフさんの喜びに愛情を感じました」と振り返った。

最後に、元吉が「非常に大きなたすきを持っていると思っています。一つはここまでシリーズを繋いできた皆さんのたすき。もう一つは吾峠呼世晴先生が魂を削って紡いできた物語のたすき。いい演劇を作れるよう一生懸命取り組みます」と意気込み、阪本が「僕も大好きですし、多くの方に愛されている作品ですからプレッシャーもありますが、舞台ならではの表現を見つけ、ファンの方にも愛していただけるよう責任を持って精一杯頑張りたいと思います。舞台だからこそ味わえる『鬼滅の刃』の魅力も必ずあると思いますので、まだ見たことがない方もぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです」と呼びかけた。

本作は4月11日(金)~4月20日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、4月25日(金)~4月27日(日)まで兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeにて上演される。さらに、舞台『鬼滅の刃』シリーズ全作の全編無料公開も明らかになった。詳細は後日公式HPで発表される。

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取材・文・写真/吉田 沙奈