
葦原大介による漫画『ワールドトリガー』(集英社「ジャンプSQ.」連載/ジャンプ コミックス刊)を原作とした舞台第5弾『ワールドトリガー the Stage』B級ランク戦最終決戦編(以下、『ワーステ』)が、2025年4月から5月にかけて東京・大阪で上演される。シリーズ初演からW主演を務める空閑遊真 役の植田圭輔、三雲 修 役の溝口琢矢を筆頭に総勢12隊、26名のキャストが出演する本作。今回は、その活気あふれる稽古場の模様をたっぷりとお届けする。
原作は、異世界からの侵略者「近界民(ネイバー)」と戦う界堺防衛機関「ボーダー」隊員たちの活躍を描く大人気SFアクション漫画。舞台第5弾となる本作では、第3弾から描かれてきたB級ランク戦の最終決戦が描かれる。
取材に訪れたこの日は、細かくアクションの立ち回りを確認していくアクション稽古が行われた。取材を開始したタイミングで行われていたのは、B級ランク戦ROUND6で描かれる生駒隊vs玉狛第2vs王子隊戦の終盤のシーン。

シリーズ初登場となる王子隊隊長・王子一彰(滝澤 諒)が、玉狛第2の三雲 修(溝口琢矢)と雨取千佳(其原有沙)に奇襲をかける一連の動きから始まり、生駒隊隊長・生駒達人(蒼木 陣)vs空閑遊真(植田圭輔)、空閑vs王子と、目まぐるしく戦況が動く三つ巴の戦いが繰り広げられる。一連の立ち回りを確認した後は、殺陣指導の新田健太を中心に、さらに細かな調整へと移っていく。

新田が具体的なシーンを挙げて、「ここはどう動いてる?」「こっちの方が動きとしては自然じゃない?」と投げかけると、それに応えてキャスト陣が実際に動きながらそのシーンのベストなアクションを追求していく。おおまかな流れはすでに出来上がっているため、修正といっても、もう1段上の階段まで上がろう、攻撃を受けた後の武器はこちらに流そう、といった微調整レベルでの修正が繰り返されていった。一つ一つは細かな調整だが、こうした細部へのこだわりこそが、『ワーステ』人気の礎となっているのだろう。

休憩を挟んで、ROUND7のアクション稽古へ。ROUND7では、影浦隊vs玉狛第2vs東隊vs鈴鳴第一の四つ巴の戦いが描かれる。この戦いは、新メンバー・ヒュース(山本一慶)が加わり、空閑とヒュースのWエース体制となった玉狛第2の初陣だが、お互いに気心を知れた仲ということもあってか、植田と山本の息はピッタリ。二人はシーンが止まるタイミングで二言三言交わし、再度そのシーンを演じる際には、グンと完成度の上がったアクションを見せてくれた。

そんな二人と対峙する鈴鳴第一は、来馬辰也(塩田康平)が村上 鋼(元木聖也)をサポートするチーム体制とあって、より二人の連携が求められる。シールドを構えるタイミングや角度、そこから攻撃に転じる際の自然な流れを、新田や殺陣助手を務める影浦雅人 役の川隅美慎らを交えて入念に確認。「もっとコンビネーション良くしていかないとな」と話し合う、元木と塩田の姿が印象的だった。

演出・中屋敷法仁は全体を見渡しながら、時折、そのキャラクターらしい動きや捌け方について指示を出す。ちょっとした変更なのだが、それがグッとキャラクターの輪郭を際立たせる。変更したシーンを見たキャスト陣からも「おお~!」と歓声が上がり、カンパニー全体に漂う原作愛がひしひしと感じられた。

本作では、トリガーと呼ばれる武器が使われる。攻撃手(アタッカー)用のブレード型トリガーや銃手(ガンナー)/射手(シューター)用の弾型トリガー、狙撃手(スナイパー)用の銃型トリガーなど、武器も多岐に渡れば、その運用方法も隊員によって千差万別。同じトリガーであっても、隊の戦術によってその役割が変わってくる上に、照明や映像が入らない稽古場では、弾道などを想像しながら演じなくてはならない。そんな高い壁に挑み続け、公演の度に好評を博してきた『ワーステ』が培ってきた経験値が存分に感じられる取材となった。
この日はアクション稽古のみだったが、ここに芝居や『ワーステ』独自の表現方法「フィジカライブ(Physical×Live performance)」──身体表現とダンサブルなパフォーマンスと音楽を融合させた演出スタイル──が加わったら、どれだけワクワクする作品になるのだろうかと、期待が高まるのには十分だった。ついにB級ランク戦に決着がつく『ワールドトリガー the Stage』B級ランク戦最終決戦編。その初日の幕が上がる瞬間が、今から待ちきれない。
取材・撮影/双海しお