風間千景として完全燃焼する覚悟で臨みたい
中河内雅貴がミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)で注目を集めたのは今から10年以上前のこと。そこから着実に経験を積み、昨年、中河内はミュージカル『薄桜鬼 志譚』土方歳三 篇で久々に2.5次元舞台の世界に帰ってきた。
中河内「2.5次元は、世界に向けて誇れる日本発のミュージカル。去年、立て続けに2.5次元に関わらせていただいたのは、僕を引き上げてくれた人たちへの感謝と恩返しの気持ちから。『テニミュ』のころの僕を知る方々に、成長した姿を見てもらえたことがうれしかったです」
演じたのは、鬼の頭領・風間千景。純血の鬼の子孫を残すべく、ヒロイン・千鶴を狙う。
中河内「初演で鈴木勝吾くんが演じたのもDVDで拝見して。勝吾は“勝吾の風間”だなと感じたんです。けれど同じ風間を演じるので僕は“僕の風間”をやればいいのかな?と気持ちを切り替えたんです」
歌も自身のキーに敢えて合わせるものなど、中河内の風間千景像を打ち立てたが、その中でラストの曲だけは鈴木勝吾のキーのままで歌い切った。
中河内「どこかしらに勝吾の演じる風間に対するリスペクトを残したかったんです。最初は低いキーから入って、ラストで『お客さんが待っていた風間』を見せられたらいいなと」
前作では、和田雅成演じる土方歳三との対決が大きな見せ場だった。
中河内「風間ほどの実力なら土方は簡単に殺せるはず。でもそうしなかったのは、きっと風間も土方と戦うのが楽しかったからだと僕は思う。実は、土方歳三 篇では死ぬ間際にぼそっと『土方…』って呟いているんです。お客さんに見えなくてもいい。雅成にだけ見えればいいかなと思って。台本にもないんですけど、自分の意志でその一言を入れさせてもらいました」
和田とも厚い絆で結ばれている。
中河内「雅成は稽古後にも殺陣返しに付き合ってくれたり、めちゃくちゃいいやつ。お礼に京都で食事をご馳走したら、まあお会計が凄い金額で…。いい社会勉強になりました(笑)」
あれから1年。いよいよ風間千景 篇が始動する。
中河内「まだまだ燃焼しきれていないところがあるので、今度こそ風間として燃え尽きたい。あ、燃え尽きると言っても灰になるんじゃなく、備長炭ぐらいにはなりたいです(笑)」
インタビュー・文/横川良明
※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
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【プロフィール】
中河内雅貴
■ナカガウチ マサタカ ’85年生まれ。広島県出身。近作に『ジャージー・ボーイズ』、『ヘンリー五世』など。