舞台「サイボーグ009 -13番目の追跡者-」|七海ひろき&高橋駿一&後藤大 インタビュー

さらにクオリティを増したサイボーグ戦士たちの新たな戦いに期待大

半世紀以上にわたり、多くのファンに愛され続けている石ノ森章太郎によるSF漫画作品「サイボーグ009」。誕生60周年となる2024年には初の舞台化がされ、再現度の高さで原作やアニメファンからも高い評価を得た。
そして、2025年11月、第二弾となる舞台サイボーグ009 -13番目の追跡者-」が上演される。009/島村ジョー役の七海ひろき、002/ジェット・リンク役の高橋駿一、今回の敵となる0013役の後藤 大にインタビューを行った。

――ビジュアルが公開されていますがみなさん素敵です。格好良いPVも公開されましたね


高橋 PVすごかったですよね。佐々木(章介)さんが作ってくださって。

七海 ハリウッド映画みたいな感じになってた(笑)。

高橋 舞台っていうより映画みたいだった。食われないようにしないと。

七海 映像の方がすごかったって言われたら悲しいからね。

――撮影エピソードなどはありますか?

後藤 原作とは違って、舞台版ならではの装いにしていただいています。メイクチームの皆さんともお話しして、原作の要素を引き継ぎつつ、スタイリッシュでおしゃれに仕上げていただいてテンションが上がりました。ただ、目の部分のラインは汗をかくので本番では何かしら違うアイディアが出てくるかもしれません。

七海 もちろん素晴らしい原作がありますが、ビジュアルにおいては「漫画やアニメの登場人物たちが現実にいたら」ということを意識しています。サイボーグ戦士たちも敵側も、リアルな人間に落とし込むとこうなるというビジュアルを目指しているので、0012と0013もすごくかっこよく仕上がっていると思います。あと、私たちは1年ぶりにこの衣裳を着ましたが、実は新しくなって動きやすくなっているんです。もう動けないとは言えないという(笑)。

後藤 前は窮屈だったんですか?

高橋 ちょっとだけ腕が上げづらいなとかがあったけど、改良されてましたね。

七海 だから今回はさらに速度を上げてやろうと思っています。あと、映像でみんながシュッと出てくる部分は、台が回る状態で撮影してすごく楽しかったです!

――各キャラクターにたくさんの魅力がありますが、ご自身が演じるキャラクターの一番の魅力を挙げるとしたらなんでしょう?

七海 ジョーの一番の魅力はやっぱり優しさでしょうか。優しいが故に、最初は戦う理由を見出せていませんでしたが、「人を守るためなら僕は戦える」というのが魅力だと思います。

高橋 僕自身、ジェット・リンクが大好きです。空を飛べる能力も好きだし、ジョーとは違った優しさがあるところも好き。ちょっとやんちゃなイメージがあるけど芯の部分に仲間を思う気持ちがある熱さも魅力だと思うので、それをちゃんと引き出せるように演じたいと思っています。

後藤 アニメや漫画を見て感じたのは、すごく優しくて心が柔らかい、繊細な少年だということです。本当は戦いたくないけど、戦わないといけない。漫画のラストもすごく感動的です。彼が抱えている苦しみや心を丁寧に表現したいです。

――台本はまだ完成していないということですが、今回の公演で楽しみなシーン、ワクワクされている部分はありますか?

高橋 そもそも0012と0013をどう描くのか。0012、屋敷ですもんね。

一同 (笑)。

高橋 それを擬人化しているというか、舞台ならではの表現になるんだろうなと。前作では0010/プラス、シキとマイナス、リクが人間だった時のお話もオリジナルストーリーとして盛り込まれていたので、今回は0012と0013にどんなバックボーンが描かれるのか、豪さんも「いいことを思いついた」と言っていたので楽しみです。

七海 (脚本の)亀田さんが先行体験製作発表を見に来てくださって、「インスピレーションが湧いた」と言っていました。どんな脚本が完成するのか楽しみです。

後藤 テクノロジーを駆使した演出と壮大なアクションシーン、繊細に描かれたキャラクターの心情のギャップが楽しみ。大きなロボットの手がリアルに出てきたら面白いよねって聞きました。映像も使うけど、自分たちでセットや装置を動かす、舞台ならではの作り方になるのではないかと期待してます。見応えも抜群だと思います。

高橋 歴史ある作品だけど、この時代に見ると逆に新しい。そこに照明や映像、僕らのお芝居とパフォーマンスが加わって、どこまでできるのか楽しみです。

七海 そうですね。衣裳もセットも、スタッフさんが総力を上げて作ってくれています。ありがたいなと思いますし、その想いに応えられるよう全力で挑みたいです。

――改めて、お互いの印象を教えてください

高橋 かいさん(七海)は前作で初めましてで、怖い人だったらどうしようと緊張していました。でも、本当に優しいし誰に対しても気さく。かいさんがいると現場の空気がいいです。大は変な人です(笑)。

後藤 褒め言葉です、ありがとうございます!

高橋 公私共に付き合いがありますが、絵も描いたりしていてアーティストとしてもリスペクトしていますし、お芝居もすごく素敵。今回は敵ですが、面白い絡みができたら良いなと思います。

七海 日本にはたくさんの俳優がいますが、ジェット・リンクは彼にしかできないと思っています。

高橋 光栄です!

七海 身体能力的なものもあるけど、心意気がすごく似ている。私は前回、カンパニーのほとんどの皆さんと初めましてでしたが、(高橋は)すごく周りを見て、引っ張る時は引っ張ってくれるし、ふざけるときはふざけてくれる(笑)。バランサーな部分もあってすごく頼りにしていました。そこはジョーとジェットの関係性と似ている部分があったと思います。ジョーは突っ走ってしまうところがあるし、私はわりと自分の世界に入ってしまう時があるので(笑)、うまくバランスを取ってくれるのがかっこいいなと思います。大ちゃんは、自分の世界を持っているところが魅力で、アーティストとしての創造力も素敵だなあと思いますし、それを表現する力もある。二人に対して尊敬があるので、今回の舞台でどういう面が見えるのかワクワクしてます。

後藤 駿くんとはイベントなども一緒にやらせていただいていています。僕は駿くんがいると自分らしくいられるというか、いい意味で気を遣わずにいられる先輩です。スキルも高くてジェット・リンクという役もピッタリなので選ばれた理由もわかるし、どの現場でも駿くんがいるとみんな遊び出すんですよね。

一同 (笑)。

高橋 率先して遊ぶからね(笑)。

後藤 一番年上が遊んでくれるから僕らは気が楽になるし、自分のやりたいことに集中できる。本当に頼れる・任せられるという一言に尽きます。

高橋 逆に、僕もそんな大が好きだから自由にやってほしい。そのバランスがいいよね。

後藤 七海さんは本当にジョーにぴったり。すごく周りに気を遣えるし、「どうしてそんなに人のことを見られるんだろう」と思うくらい優しいです。

高橋 しかも、それをアピールするんじゃなく、ふわっと優しさをくれるよね。こっちとしてはそれが嬉しい。

後藤 穏やかに現場を包み込んでくれているから、真ん中に七海さんが立っているとすごく落ち着きますし、お芝居と役に集中できます。あと、七海さんの歌の技術がほしい!肩肘張らずに一緒にいたいと思える、大尊敬している先輩です。

七海 いやいや、皆さんがそういう空気を作ってくれるから、私もありのままでいられる。皆さんのおかげです。

高橋 僕、かいさんがマイペースモードに入る時も結構好きです(笑)。

後藤 わかります(笑)。

高橋 こっちの声届いてないのかなって瞬間も好き(笑)。前回はアクションも芝居も歌もあって本当に大変でしたが、そんな時でもずっと穏やかだった。人間力がすごいと思いました。

――カンパニーの皆さんについても、役に似ている・ぴったりだなというエピソードがあったら教えてください

高橋 全員似てますよね。マサ(里中将道)も004/アルベルト・ハインリヒだし。前回は結構ぶつかる役だったけど、やりやすかったです。ハインリヒは熱い男だけど品があって、マサもそうなので。もう一人あげるならラバ(桜庭大翔)。体系的に005/ジェロニモ・ジュニアは彼にしかできないと思います。

後藤 前回も相当大きかったよね。

高橋 せっかく衣裳を大きくしてもらったのに、「大きくなったから僕が追いつきます!」って言ってた。衣裳さん泣かせですよね。

七海 前回でも十分だったのにさらに大きくなってたからね。衣裳を着ていてもわかるのがすごい。

高橋 一番脱ぎたがってたもん(笑)。

七海 本当にみんなぴったりですが、音波みのりさんが演じる003/フランソワーズ・アルヌール。色々な役を演じる彼女を見てきましたが、一緒に舞台に立っていて、本当にぴったりだと思います。見た目もそうですが、内面的にもちょっとクールだけど可愛さがあるところとか、踊りが上手なところとか。酒井さんの006/張々湖は立っているだけで説得力があるし、川原さんの007/グレート・ブリテンのエンターテイナーなところもぴったりだし、映像なしで008/ピュンマを表現できるのはToyotakaさんしかいないと思うし。こんなメンバーが揃うのは奇跡だし、第二弾でまた全員揃うのも本当に嬉しいです。

後藤 僕、大高(洋夫)さんとよくご一緒するんですが、すっごく楽しそうですよね。

高橋 ギルモア博士もそっくりですよね。

七海 本人は「鼻の形で選ばれた」って言ってた(笑)。

後藤 本当にみんな再現度が高い。

七海 スカール役の中塚(皓平)さんも、最終的に声を似せてきましたからね(笑)。あんなにかっこよくマントを翻せるスカールもすごい。そして、BG SOLDIERSの皆さんも素晴らしいです。一人何役も演じてくれるので、今回もきっと大変だと思います。

――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします

後藤 僕は第二弾からの登場になりますが、第一弾を見てすごく感動したので、その熱量を超えられるように自分なりの0013を作り上げたいです。きっと009とのシーンがすごく多いと思うので、楽しみながら七海さんと一緒に作り上げたいと思っています。色々なテクノロジーを使った見た目も印象に残ると思いますが、心に残るお芝居をお届けできるように頑張りますので、ぜひとも劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

高橋 ファンの皆様方の応援のおかげで、この舞台を上演することができていますが、前回は「サイボーグ009」の原作ファンの方も評価してくださったと聞いて、頑張ってよかったなと思いました。僕は002/ジェット・リンクが本当に好きなので、また演じられるのが本当に光栄ですし、ジェットに恥じないよう、パフォーマンスもお芝居も全てスキルアップしたいと思っています。何より、島村ジョーを演じるかいさん筆頭に、世界を救うために舞台上で表現しますので、ぜひ楽しみにしていてください。もし悩んでいる方がいたら、絶対後悔させないので観に来てください!

七海 キャストも第一弾から続投することができましたし、001/イワン・ウイスキー役の天華えまさんもまた声の出演をしてくださいます。さらに新キャストである大ちゃんと(野々花)ひまりちゃんと舞台に立てるのもすごく楽しみです。ひまりちゃんとは、同じ劇団にいたけど組が違ったので共演は初めて。どんなお芝居をされるのかワクワクしています。このメンバーでできるのが幸せですし、演出の豪さんや脚本の亀田さんをはじめ、最高のスタッフとキャストが揃っています。私たちをいつも応援してくださっているファンの方はもちろん、「サイボーグ009」を初めて見る方も後悔させません。第二弾から見てもわかる内容なので、安心して見に来てくれたら嬉しいです。

本作は2025年11月14日(金)~11月24日(月・祝)まで東京・品川プリンスホテル ステラボールで上演される。

インタビュー&文/吉田沙奈
Photo/村上宗一郎
ヘアメイク/瀬戸口清香、木村美和子

※構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

【プロフィール】

七海ひろき
■ナナミ ヒロキ
宝塚歌劇団では男役スターとして活躍。’19年に退団後は俳優、声優、歌手と幅広く活動する。

高橋駿一
■タカハシ シュンイチ
「Double Dutch Contest World」優勝経験を持つ。高い身体能力を活かし、演劇、CM、モデルと多方面で活動する。

後藤 大
■ゴトウ ダイ
舞台、テレビドラマに数多く出演するほか、NHK Eテレ「ビットワールド」にもレギュラー出演中。