中川晃教&木下晴香 インタビュー「舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠」

松本零士の名作「銀河鉄道999」を舞台化し、昨年公演した「舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~」の続編となる「舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠」が4月より上演される。前作に引き続き中川晃教が主演の星野鉄郎役を務め、メーテルには木下晴香、伊波杏樹が新たにキャスティング。今回は、中川と木下の2人に本作にかける想いをたっぷりと聞いた。


――前回に引き続き、続編という形で今回の舞台は上演されます。現在の心境をお聞かせください。

中川「実は前作が始まった時に、今回限りではなくて何らかの形でまた999をやることは聞いていたんです。それが再演なのか、続編なのか、どのような形になるかまでは決まっていませんでしたが、前作のストーリーが劇場版の途中まででしたので、続編という形になるのかな?と思っていました。劇場版には劇場版の良さがありますが、いろいろなキャラクターがどんなバックボーンを持っていて、鉄郎に出会ったことでどんな変化が起こるのか。それを丁寧に描けるのが舞台ならではの良さだと思いますね。続編を作るにあたり、前作よりもさらに舞台ならではのオリジナリティを加味して新しい999を作って欲しいと、原作者の松本零士さんをはじめ東映の方々などにもおっしゃっていただいて、非常にありがたく思っています。役者として、鉄郎を演じられることに使命を感じますし、大きな意義を感じて前作から演じさせていただいています。役者冥利に尽きますね。今、ミュージカルシーンが盛り上がっている中で、海外の素晴らしい作品を演じられることももちろん嬉しいことなんですが、日本発の作品でオリジナルのものを演じられることも大きな喜び。だからこそ、この経験を次の作品にも活かしたいと思いますし、今回の舞台をそういう豊かな実りあるものにしたいですね」

木下「私は今20歳なのですが、999が40年続く作品で、始まったころには当然生まれていなかったような私でさえ、作品名はもちろん、メーテルや鉄郎といったキャラクターのことまで知っていたんです。初めてお話を頂いたときは、そういうたくさんのファンがいる作品に挑戦できる、何よりメーテルという役に挑戦できることが、はじめは嬉しかったです。でも、だんだんと…周りの方々に「メーテルをやるんだね」「メーテルはみんなが好きな永遠のヒロインだから」といろいろな言葉を頂いて。役の重みをすごく感じました。プレッシャーもありますが、今は闘志を燃やしています。今の中川さんのお話を聞いて、なんだか安心して飛び込んでいけそうな気がしました」

中川「カモン、カモ~ン。愛は十分にありますよ(笑)」

木下「でも、劇中では私が愛で包まないといけない立場ですね」


――20歳になったばかりの木下さんには、少し背伸びしないといけないかもしれないですね。どんなふうに役作りをしていきますか?

木下「バックボーンとして、すごく長い時間…私では想像できないくらい長い時を過ごしている女性なので、その部分は自分なりにしっかり考えていきたいですね。それでも、すごく壮大な世界観だから、自分じゃ考えつかないところは演出家の先生や周りの皆さんに助けていただきながら、しっかりと埋めて役を作っていきたいです。メーテルの母性や魅力的なところは、過去があってこそのものだから、しっかりコミュニケーションを取って、熱を大事にしながら演じたいです。メーテルは静かで冷静な印象もあるけれど、その中にはものすごく強い思いや大きな葛藤があったりすると思うんです。そこをしっかり作り上げて、挑戦したいと思います」

中川「僕は今日、木下さんに会ってみてとても大人っぽいと思ったし、それは20歳だからとか、20歳にしては、とかそういうのは関係なくて、メーテルに求められる大人っぽさにリンクしている感じがするな」

木下「メーテルというキャラクターを学んでいく中で、最初は原作にどこまで寄せるか、みたいな考えがどこかにあって。でも結局は、私が演じさせていただくわけで、それはマネじゃいけない。自分ができるメーテルを、とは思っています。私、割と周囲の方から「母性がすごいね」って言っていただけるとが多くて。舞台で共演した俳優さんとか、いろいろな方から言っていただいて、正直あんまり自覚はなかったんです。どういう部分が母性があると感じて頂けたのか、自分のことをもっとよく知って、メーテルとすり合わせて、メーテルの包み込むような優しさに生かしていきたいな、とはすごく思っています」


――中川さんは前作に引き続き鉄郎を演じられます。前回演じてみて、鉄郎のイメージは変わりました?

中川「実際のところ、僕自身もリアルタイムの999は通っていなくて、演じるまでは懐かしの名シーンや再放送で知っている程度だったんです。昭和生まれとはいえ世代は違っていて、でもどこか懐かしさもある。前作の時はまだ35歳だったんですが、35歳が16歳を演じるって、この試練は何なのか、と(笑)。プロデューサーは「鉄郎は中川さんにピッタリなんですよ!」と熱を帯びて言ってくださっていたんですが、僕自身は“どういうこと?”って半信半疑で。そういう状態で鉄郎と向き合い始めました」


――フラットなところから役に入れたんですね。中川さんがとらえている鉄郎はどんなキャラクターでしょうか。

中川「鉄郎って、旅を通して一貫してブレていないところがあるんです。純粋という言葉で表現できるのかもしれないけども…もっと力強い、違う何かがあるんです。一筋の光というか。その光は宇宙の闇の中に羽ばたいていくんだけれど、その光はどこまで行っても跳ね返ってくることは無いんです。進み続けるしかない。そういう強さを鉄郎から感じるんです。何かを選ぶということは、同時に何かを手放すことかもしれない。永遠の命を手にしたら本当に幸せなのか、ずっと悩み続けて、苦しんでいるけれど、答えはもう心の中にあって。一筋の強い光が自分さえも突き動かす。そこにいろいろなキャラクターたちがサイクロンのように巻き込まれていく。その中で生まれ変わって、また強くなっていく。僕の中では鉄郎ってそういうキャラクターだと思っています。新たなメーテルを目の前にして、また新しい何かが生まれたらいいな、と思いますね」


――木下さんは、今回の出演が決まって周りの反応などはありましたか?

木下「私、生まれが佐賀県の鳥栖なんですが、今回、私がこの作品に出ることが決まって、父が北九州・小倉にある999の銅像やマンホールをわざわざ観に行ってくれて、写真を送ってくれました。あと、少し前に親戚の結婚式があって、お祝いに歌わせていただいたんです。その時、司会の方が私を紹介するときにメーテル役を演じることを言ってくださったら、会場がとてもざわついて…(笑)。他の作品のこともお話くださっていたんですが、やっぱり999のメーテルというのは、広い世代の方が知っているんだな、と実感しました」

中川「いいお父さんだ! でもお父さんとかの世代はやっぱり999という作品を身近に感じているんだろうね。本当にすごい作品なんだな、と思います」


――今回の作品は歌などの音楽も大きな要素のひとつです。歌について、楽しみにしていることや見どころはありますか?

木下「中川さんと一緒に歌わせていただけることがとても嬉しいですね。『ジャージー・ボーイズ』とか、客席から見ていた方なので…。『モーツァルト!』のCDも聴いていましたし。これまで共演した方からも、中川さんのお話をお聞きしていたので…」

中川「ほんとに? 嬉しいなぁ。それ、いい話?(笑)」

木下「もちろん、いい話です(笑)。それに、歌とダンスが加わると、華やかになりますよね。それって999の壮大な世界観とマッチすると思うんです。歌う身としても、世界を広く感じながら届けられたらいいなと思います」

中川「鉄郎が歌う、メーテルが歌う…。原作を知っている人たちは、それだけで興味を持ってもらえると思うんです。それに、999といったらゴダイゴさんの『銀河鉄道999』という楽曲や劇場版の楽曲があって、その上に僕たちがレベルアップしていく舞台版の999の楽曲があるんです。だから、皆さんに想像してもらえる部分があるんですよね。ご存知の楽曲をきっかけにして、舞台版に興味を持ってもらえる。それは前作の時から伝わればいいな、と思っていることですね。今回は、前作に比べても楽曲数が増えていて、音楽劇としての要素が強くなっていると思います」


――お芝居の力強さが、歌や動きなどによってより際立っていくことになりそうですね。

中川「鉄郎という青年は、どんな壁にぶつかっても自分というものが変わらず、まるでスーパースターのように、天才のように、まっすぐに進むんです。そこに360度、四方八方から、いろいろな運命を背負ったキャラクターがサイクロンのように巻き込まれていくんですが、鉄郎にカリスマ性があればあるほど、面白くなっていく。そういう部分を芝居だけではなく、音楽と動きが加わることでより面白くなるし、キャラクターが生き生きし始めるんです。それは劇場でなければ、ライブでなければ味わえないものになっていくと思います。音楽劇として楽曲が増えたことで、そういうものを目指したいですし、そのうえでお芝居の力をより強めたいですね」


――お2人は今日はじっくりお話するのが初めてとお聞きしました。最後に、お互いの印象をお聞かせください。

木下「ものすごく柔らかく、優しい方なんだなと…。目を見て話してくださって、すごく安心できました。作品のことをものすごく考えてくださっているからこそ、私もそこに飛び込んでいく勇気が出ましたし、鉄郎が周りに影響を与えていくように、私自身も中川さんからいろいろ学ばせていただいて、自分の中で改革が起こりそうなドキドキワクワクが生まれました。どうぞよろしくお願いします!」

中川「僕は『モーツァルト!』のコンスタンツェの歌を記者会見で歌っているところを動画で拝見していたんです。『モーツァルト!』は僕は19歳で初めて出演したミュージカルなので、やっぱり応援したい気持ちがあって動画も拝見したんですけど。その時は木下さんのことを存じ上げなかったんですが、歌声を聴いて「おやっ?」と思いました。歌声の力強さ、その力強さがどこから来るんだろう、と。これから経験を伴うことでどんどん実力が上がっていくんだろうけど、やっぱりそれだけではない“選ばれし者”だと思うんですよね。もちろん、自分で選ばれし者だ、なんて思う必要はないんだけど、木下さんが鉄郎に大きな決断を迫るメーテルという役を演じることは、すごく必然的なんじゃないかな、と感じています。色々な意味で、これから頑張ろうね」


――公演を楽しみにしています。本日はありがとうございました!

 

インタビュー・文=宮崎新之

中川晃教ヘアメイク=松本ミキ、木下晴香ヘアメイク=Yuu.(エイトセンシズ)
中川晃教スタイリスト=AKIRA