舞台『ガチアクタ』│ゲネプロレポート

漫画『ガチアクタ』(原作・裏那 圭/graffiti design・晏童秀吉)を原作とした舞台『ガチアクタ』が、5月22日(金)より東京・品川プリンスホテル ステラボールにて開幕。

主演は今牧輝琉、共演には立花裕大や福澤 侑、星波、田中涼星といった顔ぶれが揃う。脚本と演出は、それぞれ私 オムと植木 豪が手がけた。“奈落”で繰り広げられる型破りなバトルアクションと、作品を象徴するグラフィティアート、そこに生身の人間による芝居と歌とダンスが融合。原作の唯一無二な世界観を、舞台ならではの表現で立ち上げた意欲作だ。

差別され、無実の罪を着せられ、大切な人を奪われた孤児の少年・ルド(今牧輝琉)の成長と復讐が物語の軸となる。軸自体はシンプルだが、物語の世界観はやや難解だ。演出の植木 豪は、舞台という限られた時間のなか、音楽や映像を駆使しながら、彼らが生きる世界がどんな場所かをテンポよく提示していく。物語冒頭、ルドの常識と観客の想定が一気にひっくり返るシーンが登場するが、これを高さのあるセットと映像を効果的に組み合わせて表現。天界から奈落へ、文字通り“落ちていく”感覚を生み出すとともに、観客を作品の世界へと引き入れていた。

主人公のルドを演じる今牧輝琉は、復讐心と怒りといった強い感情を爆発させながらも、それだけの少年では終わらせない芝居が印象的だ。悲劇的な生い立ちによる不安定さを抱えつつ、大切なものを守ろうとする強さと優しさを併せ持つ。持ち前のカラッと明るい快活さを封印し、湿度と重さのある芝居で挑む今牧。感情が大きく動きながらも、ふと周りの言葉に心揺れた瞬間の瞳の揺らぎが素晴らしく、少年漫画作品の主人公たる風格が見事に立ち上がっていた。

ルドを支える掃除屋チーム・アクタの面々も魅力的だ。おおらかな兄貴肌の立花裕大は、エンジンにぴったり。余裕ある笑みと一瞥に、仲間への言葉にしない信頼が見て取れた。福澤 侑は高い身体能力を武器に、「超凡人」を自称するザンカの地に足のついた強さを表現。刺股状の人器を俊敏かつ正確に扱う際のわずかな動きから、その裏にザンカのたゆまぬ研鑽を感じさせた。星波はアクロバティックな動きで、ハサミの人器での舞うような戦闘を表現。華奢な身体から溢れ出るパワーが印象的だった。一見バラバラなのに、いざというときは信頼でつながっている、チーム・アクタの結束が伝わってくる。

一方、掃除屋と敵対するのは荒らし屋と呼ばれる盗賊集団。田中涼星が残忍なジャバーを好演。整った顔立ちが歪み、ためらいなく他者を殺める姿に狂気的な色香が匂い立つ。小柄なルドとの戦闘では、リーチの長い手足を活かしたアクションもあいまって強者感が漂った。

冷静でひょうひょうとしているけれど掴みどころのないタムジー(里中将道)、その声の大きさで場の空気を和ませるデルモン(新井 將)、安定した仕事人な芝居が光るグリス(寺山武志)とコルバス(磯野 大)と、それぞれが確かな存在感を放つ。

ブロードウェイミュージカルでも活躍する青野紗穂がR&Bテイストで歌い上げるセミュのナンバーは耳に心地よく、ブレイクダンスやアクロバットを得意とする七瀬恋彩が演じるレムリンのペインティングシーンは圧巻。こういった役者の技能がキャラクターと融合する瞬間も見どころだ。

物語後半でルドたちが出会う少女・アモを演じるのは相馬結衣。可憐な少女としての顔と、狂気をはらんだ表情と、ガラスのような脆さが印象的。自由な振る舞いの中に見え隠れする、過去に囚われた彼女の心が、ルドたちと出会ってどう動くのか。ぜひ見届けてほしい。

こうした個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語を、私の脚本と植木の演出が力強く支える。ストリートカルチャーを色濃く反映した『ガチアクタ』の世界観に、植木の演出はぴったりとハマる。オープニングでの作品タイトルの表示一つとっても、スプレーでグラフィティアートを描くように文字が浮かび上がる。この表現は単に印象的なだけでなく、作中のあるシーンへとつながる伏線として機能している点も心憎い。

班獣の舞台ならではの演出や、キャラクターごとに異なる人器を使った戦闘描写も見どころだ。2.5次元舞台ではおなじみの林屋陽二が手がける特殊造形のクオリティを観察したり、アクションを楽しんだり。バトルシーンでは目が足りないと感じることだろう。

原作への深いリスペクトと、舞台でしか表現できない挑戦が詰まった舞台『ガチアクタ』。グラフィティアート、ダンス、アクション、そして役者たちの熱量が融合し、“奈落”という名のゴミ捨て場で繰り広げられる物語が、劇場に新たな息吹を吹き込む。唯一無二の世界観を、ぜひ劇場で体感してほしい。

取材・文/双海しお

原作・裏那 圭、graffiti design・晏童秀吉、舞台演出を手掛けた植木 豪、そして主要キャスト陣より初日公演を迎えてのコメントが到着!

■原作:裏那 圭
顔合わせの時から出演者の皆さんの熱量が本当に高く、「すごい作品になるんだろうな」と感じていました。実際に観た舞台は、その期待をさらに上回る120%のクオリティで、終始笑顔が止まらなかったです。また、キャラクターが登場した瞬間、シルエットだけで「あ、このキャラだ」と分かるくらい完成度が高く、さらに舞台のオープニングで、アニメ第1クールOP主題歌のPaledusk「HUGs」が使用されていて、すごくマッチしていて、舞台を生で観る感動に驚きました。今まで味わったことのない感覚を体験できたと思います。劇場で流れる音楽、舞台セット、衣装、演技、声――そのすべてがしっかり噛み合っていて、舞台『ガチアクタ』として120%の魅力が表現されていましたし、さらに、「ここからもっと良くなる」というお話もあったので、もし実現したらファンの皆さんも嬉しいと思います。本当に凄まじい完成度でしたし、『ガチアクタ』ファンはもちろん、まだ作品に触れたことのない方にもぜひ体感してほしいです。

■graffiti design:晏童秀吉
舞台だからこそ味わえる『ガチアクタ』をすごく楽しめました。音楽や、楽しく食事をするシーンなど、僕らと『ガチアクタ』が大事にしている部分を舞台でも表現してくれていて。あと、グラフィティの表現も本当にすごかったです。どう使われるのかあまり想像できていなかったのですが、立体的に、さらに動きまで加わっている演出に驚きました。舞台だからこそ体感できる表現になっていたので、これから観に来る皆さんにも、その魅力がしっかり伝わればいいなと思います。

■演出:植木 豪
役者の皆さんが不安や恐れを乗り越えていく姿が、とてもカッコよく、すごく感動しました。もう僕からは何も言うことがないです。
原作先生方も「これは最高だ。」とおっしゃっていたので、だからもう遠慮せず、やっていることに誇りを持って、自信を持って、挑んでもらえたらと思います。

■ルド役:今牧輝琉
やれる事はやりました!
この温かいカンパニーが大好きです!!!
かっこよくて尊敬できる先輩方と毎日の公演を戦い抜いて、且つ本番期間中もルドのように成長してみせます。
よろしくお願いします!

■エンジン役:立花裕大
稽古期間を通して、キャスト・スタッフ全員で直前まで試行錯誤を重ねながら、作品を作り上げてきました!本当に素晴らしいチームです。ここからさらに、僕自身もエンジンとして、もっともっと役を深めていきながら、この『ガチアクタ』という作品を、皆さんの心に残る舞台にしていきたいと思います。

■ザンカ役:福澤 侑
舞台「ガチアクタ」の初日の幕が上がりました!
カンパニー全員がそれぞれのキャラクターと使命を背負ってしっかりと演じられていると思いますので豪さんの圧倒的な演出の数々、オムさんの言葉たち、最高なスタッフさんたちのクリエイティブと共に千秋楽まで楽しんでいただければ嬉しいです。

■リヨウ役:星波
舞台版でもしっかり『ガチアクタ』の世界を作り上げることができたと確信しています。原作先生方にも「最高」と言っていただけたので、とても嬉しかったです。千穐楽まで、自分たちにできることを全力で、チーム一丸となって届けていきたいと思っています。見どころとしては、キャラクターそれぞれにしっかりとした見せ場があるので、一瞬たりとも目が離せない点。ぜひ開演前に目薬をさしておいてください(笑)。また、キャラクターだけではなく、人器や『ガチアクタ』の世界観を形作る街並みなども含めて、細かい部分にも沢山のこだわりがつまっています。キャンバスタウンの住人になった気持ちで、是非一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。

東京千穐楽公演のライブ配信が決定!

東京千穐楽となる5月31日(日)12:00公演・17:00東京千穐楽公演のライブ配信が決定しました。
2026年5月22日(金)20:30より配信チケットの販売を開始いたします。
さらに、配信チケット購入者特典として、出演キャストによる生コメント映像もお届けいたします。
本公演はアーカイブ配信でもご視聴いただけますので、会場へお越しいただけない方、海外在住の方は、舞台『ガチアクタ』の世界観と、ここでしか観ることのできない圧巻のステージを、ぜひ配信にてお楽しみください。
※詳しくは公式サイトをご確認ください。