舞台「博多豚骨ラーメンズ」近藤頌利・竹中凌平インタビュー

7/13(土)~7/21(日)まで東京・シアターサンモールで上演される舞台「博多豚骨ラーメンズ」。
原作は木崎ちあきの小説で、2018年にはTVアニメ化も果たした人気作。
人口の3%が殺し屋の街・博多を舞台に裏稼業の男たちを描いた物語で、舞台版の脚本・演出は米山和仁(劇団ホチキス)が手掛ける。

ローチケは、主人公で「馬場探偵事務所」を営む探偵・馬場善治(ばんばぜんじ)役の近藤頌利(劇団Patch)と、殺し屋・林憲明(りんしぇんみん)役の竹中凌平(ドリーヴス)のビジュアル撮影に潜入。ツーショット撮影後に話を聞いた。

馬場と林のツーショット撮影は、原作小説のイラストを手掛ける一色箱が舞台のために描きおろしたイラストを見本に行われていた。衣裳から髪の一束まで丁寧に手を入れながら、丁寧にイラストを再現していくスタッフ陣。近藤も竹中も撮った写真をスタッフと一緒にチェックし、腕を上げたときのジャケットのカタチや膝の角度まで、細かくチェックし自ら調整していき、その場にいる全員で「博多豚骨ラーメンズ」の世界をつくりあげていく。

2ポーズ目では、馬場は博多仁和加(はかたにわか)のお面を手に持つという博多度100%のポーズも。漫才のような郷土芸能“博多仁和加”に使われるコミカルなお面だが、この撮影ではなにか怖さも感じさせるのはさすが。近藤と竹中が立ち姿だけで空気をつくりあげていく。ふたりは初対面ということで、ワイワイ喋るという感じではなかったが、協力し合って作品をいいものにしようという姿勢が十分に伝わる撮影だった。


――撮影はいかがでしたか?

近藤「原作者の木崎ちあき先生が来てくださっていて。原作者の方がビジュアル撮影にいらっしゃったのは、僕は初めてのことで緊張しましたし、感動しました」
竹中「本番を観に来てくださることはあっても、ビジュアル撮影に福岡からわざわざ来てくださるってすごいことですよね」
近藤「本当に。でも『ちがう!』と言われたらどうしようかと思ってましたけど(笑)。『いい!』ってすごく言ってくださってホッとしました」


――おふたりは今日が初対面だそうですね。

竹中「そうなんです。でもふたりで撮ったときに背中合わせのポーズがあって、そのときになんか伝わるものがありました。ありませんでした?」
近藤「あった。言葉ではないコンタクト。体重のかけ方というかね」
竹中「そうそう」
近藤「ただ僕はまだ(竹中の)女装姿しか見てないので(笑)」※竹中演じる林憲明は女装が趣味という役柄
竹中「そうだよね。これが第一印象か…(笑)」

――『博多豚骨ラーメンズ』の原作小説は読まれてどうでしたか?

近藤「まず意外でした。正直、タイトルを見たときは『ラーメンの話かな』『ギャグ系かな』と思ったんですよ。でも全然ギャグとかなかった(笑)。舞台でやるとおもしろくなりそうな内容だなと思いました」


――と言うと?

近藤「人間ドラマだから。舞台だからこそリアルを追求できるんじゃないかと思って。すごく楽しみです」
竹中「僕も“人が演じる”のにすごく適した話だと思いました。イメージしやすい。だから稽古が始まるのを楽しみにしています。女装も初めてですし」


――女装、すごく似合ってます。

竹中「ありがとうございます。なんかソワソワしてます(笑)」※インタビューも役衣装(女装姿)のまま受けてくださいました。


――女装はソワソワするものですか?

竹中「そうですね。多分、千秋楽までソワソワしてると思います。でも嫌な感じはしないです(笑)」


――女装の役は初めてですよね。

竹中「そうですね。独特の緊張がありますよ。『似合う』と言われても、ほんとかな?って思うし(笑)。でも撮影中に先生やスタッフの皆さんがいい言葉をかけてくださったので。ほぐれました。ありがたかったです」
近藤「女優さんの気持ちがわかるかもしれないね。アクションのときのパンツ問題とか」
竹中「たしかに!でも女装は“趣味”で中身は男だから、パンツは例え見えても大丈夫だと思う(笑)。見た目と仕草にギャップがあるんだよね。今日のソロ撮影でもあぐらかいたりしたし」
近藤「あ、そっか!おもしろい」


――近藤さんは馬場の恰好をしてみていかがですか?

近藤「キャラクターになるってやっぱり緊張するなと思いました」


――どういうところに緊張するのでしょう。

近藤「既に答えがある、というところかな。ファンの方の期待もありますし、そういうプレッシャーがありますよね。原作を研究してキャラクターを把握してから撮影に来るというのも久しぶりでした」


――脚本はこれからですが、原作やアニメを観た今の段階でご自身の役柄はどんなイメージですか?

近藤「馬場ってまったりしてるし、ぐうたら感もあって、自分とはだいぶ違うんですよ。だから『なにを考えているんだろう』と思ったりもします。ただ頭ではいろいろ考えている人ですから、裏番長みたいな感じなのかな。実は頼り甲斐があるので………そういうところではもしかしたら僕、似てるかな!」


――裏では頼り甲斐があるということですか。

近藤「って言ったらポイント上がるかなって(笑)」


――(笑)。近藤さんから見てどんな人だと思いますか?

近藤「いい男だなと思います。仲間思いだし、面倒見もいいし。素敵だなって」
竹中「野球のときだけやたら熱くなるよね(笑)」
近藤「そうそう(笑)。僕も野球好きですよ。関西出身なのでタイガースファンですけど」


――博多弁も濃いですよね。

近藤「博多弁はマジで勉強せんといかん」


――「せんといかん」、既に博多弁です!

近藤「周りにけっこう博多弁の人がいるので、頼りにしようと思っています。ただ関西弁から博多弁にするのが難しいんだという噂を聞いて心配なんですよ」


――私は博多弁なのですが、関西弁と博多弁って文字化すると似てるんですよ。だけどイントネーションが全然違う。だから台本を読むときに無意識に自分の言葉(関西弁)で読むことはありそうだなと思います。

竹中「それ、難しそ~」
近藤「本腰入れないと。関西弁以外の役は初めてですし、挑戦になりそうです」


――キャラクターの核になりそうなのはどこですか?

近藤「周りを見ている、ということかな。馬場は自分が突っ走るようなタイプじゃないぶん周りを見ている。だからこそ些細なことにも気付いていると思います。馬場としては、そういうふうに中心に立てたらいいなと思っています」


――竹中さんは林という役をどう捉えていますか?

竹中「僕の役作りは役との共通点を探すところから始まるので、がんばって探しました。そしたら頑固……良く言えば芯が強い、という部分は似てる気がしましたね。でも林ちゃんって外見はインパクトがあるけど、普通の人なんじゃないかなと思うんです。そういう人の変化、最初は孤独だけど馬場と出会って、感化されて、仲間も増えていってというような変化は見せていきたいなと思っています。そしてその大元である馬場との関係性は大切にしたいですね」


――その馬場と林の関係性はどう思っていますか?

竹中「ふたりって離れたりくっついたりするんですけど、結局は相思相愛なんだと思っています。林ちゃんはツンデレですよね。心の中ではすごく馬場のことは好きなんだろうけど」


――そういう関係ってどう思いますか?

竹中「ちゃんと思いを伝えればいいのになと思います(笑)。でもそこが林ちゃんのかわいいところですからね」
近藤「馬場はそれをいつも受け止めてる感じだよね。(唐突に)役作りとして一緒にご飯を食べにいくところから始めたいです」


――(笑)。そうですね。

近藤「博多ラーメンを食べんといかんですね。明太子と」
竹中「明太子、大好き」
近藤「俺も!いや~福岡公演もやりたかったね」
竹中「ほんと、やりたかった~!」


――近藤さんは初主演ですね。

近藤「そうなんです。ソワソワしてます。僕、人をひっぱるのが苦手なんですよ」


――そうなんですか。意外です。

近藤「昔から部活とかでもそういう役割を任されそうになるんです、僕。でも『絶対に嫌だ!』って断り続けてきた。それが今になって回ってきました」


――(笑)。でも役者として主演はやりたかったですか?

近藤「死ぬまでに一回は経験したいという気持ちはありました。でもこんなに早くやらせていただけるとは思っていなかったというのが正直なところです。緊張してます」


――おふたりは今、どんな意気込みでいますか?

竹中「まだ脚本ができていないのですが、多分、原作に忠実になると思うんですよ。その時点で、ストーリーは間違いなくおもしろい。だからこそ、原作ファンの方にも観に来てほしいですし、舞台で初めてこの作品を知る方にも観に来てほしいです。そうやって来てくださった方みんなに楽しんでもらえる作品にしたいです」
近藤「この作品ってキャラクターは個性豊かですが、それぞれが持っている葛藤だったりはリアル。だから人間臭いドラマになるんじゃないかと思います。原作が緻密でおもしろいので、2.5次元が好きな人も、ストレートプレイが好きな人も楽しめるはず!ぜひ観に来てください」

 

 

インタビュー・文/中川實穂
Photo/中田智章