舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち 蒼木 陣 インタビュー

自分たちにしかできない『刀剣乱舞』のステージをお客様に届けたい

 

舞台『刀剣乱舞』の新作公演が今冬に上演される。刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMMGAMES/Nitroplus)を原案に、末満健一が脚本・演出を手掛ける舞台シリーズ。2016年の初演以来、トップクラスの人気を誇り続けている2.5次元作品だ。


最新作で物語の中心を担う“刀剣男士”は、坂本龍馬の佩刀として知られた陸奥守吉行。前作の『慈伝 日日の葉よ散るらむ』に引き続き、注目の若手俳優・蒼木 陣が演じる。

蒼木「座長だと知った時は、シンプルにやるだけだと思いました。そこに向かえばいいんだと思えたので、たくさん楽しもう、楽しめるだけの準備をしようと決めました」


プレッシャーは無かったと心境を語る蒼木だが、『慈伝』の千秋楽で次回作が発表された際には、観客の大歓声と拍手を舞台袖で受け止めて「思わず泣いちゃいました……」と明かし、照れ笑い。

蒼木「『慈伝』で座長を務めていらしたマッキーさん(山姥切国広役:荒牧慶彦)がすぐ側に来てくださって。同じくW座長の雅成くん(へし切長谷部役・和田雅成)からは頑張れよと肩を叩いていただいて、他のみんなからも声をかけてもらいました。共演者の中で同い年のLINEグループがあるのですが、次回作の公演情報が解禁される度に応援メッセージをくれるんです。『慈伝』は刀剣男士たちの日常が描かれた明るい話でしたが、芝居に対して熱い志を持って現場に臨んでいる方ばかりだったので、すごく刺激を受けました。マッキーさんや雅成くん、シリーズに出演してきた先輩方の背中を近くで見られたことも大きいですし、今後の財産になるものをたくさんいただきました」


『慈伝』の公演終了後も、“刀ステ”に掛けたエンジンは切らないまま。

蒼木「本番を重ねて積み上がったものは、公演を終えら徐々に薄れていくものかもしれないのですが、そうなってしまうのが僕はすごく嫌で。千秋楽を終えた時のモチベーションをずっと持ち続けていたいと思って、その緊張感を保つ時間を常に持つようにしています」


基礎を培うための演劇ワークショップのみならず、山登りにまで向かったというから驚きだ。

蒼木「富士山を登頂しました。思ったより楽だったので、修行にはならなかったです(笑)」


その意気込みと行動力を以って、歴史散策の旅にも出掛けた。

蒼木「僕が演じる陸奥守吉行は坂本龍馬の愛刀だった刀剣男士なので、龍馬という人物に近づくことも大事だと思っていました。前作の時は京都霊山護国神社にお墓参りしてきたのですが、公演が終わってスケジュールの空きを見つけられたので、すぐに飛行機のチケットを取って高知県へ。行って良かったです!どこを歩いても坂本龍馬の銅像や資料館、龍馬にちなんだお土産がありました。今でも多くの方に愛されていて、影響を与えている人なのだと感じました。実は、学生の頃は歴史が大の苦手だったんです(笑)。でもこうやって作品を通して歴史を学ぶようになったら、すごく面白くて。自分が知らなかったことと触れ合える機会に恵まれるのは、役者の良いところだなと思います。龍馬関連の漫画やドラマも見て、周りとの関わりなども吸収している最中です」


陸奥守吉行というキャラクターを演じるにあたって、前作では末満から「ずっと“陽”で居てくれ」とリクエストされていたという。

蒼木「そう言われてから改めて台本を読み直して、ネガティブに捉えていたこともポジティブに解釈してみたら、全部が楽しくなってきました。そういう感覚って、今までの僕にはなかったことだったんです。陸奥守吉行を通して知らなかった自分とも出会えましたし、救われる瞬間がたくさんありました。疲れを感じた時も、ゲームのボイスやムービーを見ると自然と笑顔になれました。役の持つパワーってこんなにも大きいのだと、とても良い影響をもらったので、お客様にもそう思っていただけたらうれしいです」


名立たる刀剣が戦士の姿となったのが“刀剣男士”。彼らが歴史改変を目論む“歴史修正主義者”から歴史を守るために戦うのが『刀剣乱舞』の世界だ。最新作は、蒼木が得意とするアクロバットを生かした立ち回りが満載の予感。

蒼木「末満さんからはめちゃくちゃ動かすぞと言われているので、覚悟はしています(笑)。次回作は初共演となる方ばかりなのですが、また新しい環境の中で関係を築いていければと。これまで先輩方が積み上げてきた舞台『刀剣乱舞』というコンテンツを守りつつ、自分たちにしかできない『刀剣乱舞』のステージをお客様に届けたいと思います。めっちゃ頑張ります!みなさん、楽しみにしていてください」

 

インタビュー・文/片桐ユウ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載

掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
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【プロフィール】
蒼木 陣
■アオキ ジン ’92年、大阪府出身。俳優ユニット『SUNPLUS』のメンバー。舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』シリーズの藤原尊役で主演を務めるなど、舞台を中心に活躍している。