ミュージカル『刀剣乱舞』 ~静かの海のパライソ~ 岡宮来夢&笹森裕貴 インタビュー

左:岡宮来夢 右:笹森裕貴

挑戦を続けるミュージカル『刀剣乱舞』の新作公演


顕現――「刀剣乱舞-ONLINE-」において、名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”が出現することをそう呼ぶ。

ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱2019の“顕現”シーンでサプライズ登場となった刀剣男士・松井江役の笹森裕貴が、その時の興奮と緊張を語った。

笹森「ずっと出たかった作品だったので夢が叶った瞬間でしたが、人生で一番緊張しました。出演者とお客様の目線全てが集まっている先に立つことなんて、もう無いと思います。歓声も途切れなくて……その時に目の前に居たのが鶴丸国永。彼の表情を見た時に、刀剣男士として舞台に立っている実感が湧きました」


その鶴丸国永役・岡宮来夢は、笹森の緊張ぶりを
「舞台稽古の時に第一声でむせていた(笑)」と明かす。笹森は「本番じゃなくて良かった。度胸だけは付きました!」と照れ笑いを見せ、アリーナクラスの会場を巡った同公演で堂々たる姿を見せていた岡宮を「本当にすごい」と尊敬。

笹森「彼が初登場した『葵咲本紀』の時から、すごく上手な人がいる!と驚いていて。一緒にご飯へ行った時は、話を聞いてひたすらメモを取っていました。共演できると知って、めちゃくちゃ吸収できるぞと思って嬉しかったです。本人は謙遜するんですけど」

岡宮「いや本当に!僕も昨年からの出演なので、まだ全然です。シリーズのイチファンだったので、『歌合』の時は刀ミュシリーズの刀剣男士がずらりと並ぶ中心に立つプレッシャーがありました。本番より稽古初めの方が緊張したかもしれない(笑)。でもみなさん本当に優しくて、先輩方のおかげで立たせてもらっているのだと感じました」


PCブラウザ・スマホアプリゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案にしたミュージカルシリーズ。この夏には舞台シリーズと初の合同イベント「刀剣乱舞 大演練」が東京ドームにて開催予定と、飛躍を続ける大人気作品だ。大きな期待と注目を集める新作公演は3月21日[土]の東京公演から幕開けとなる。

笹森「すごく良い経験をさせていただいた上で新作公演に出られるので、ゼロではなく0.2くらいからのスタートだと思っています。これまでのシリーズに出ていた鶴丸国永(岡宮来夢)と大倶利伽羅(牧島輝)は、お客様に安心感を与えられる存在だと思うので、初登場の僕らがどこまで粘ってやれるのかが大事になると思います。次の公演で評価に傷が付いてしまったら先輩方に顔向けできない。でも義務感ではなく、責任を感じつつも自分から積極的に挑んでいく稽古をしていきたいです!」

岡宮「僕が初めて出演した時は、千子村正役の太田基裕さんと蜻蛉切役のspiさんが絶対にぶれない柱として居てくださいました。今度は僕が経験者のポジション。作品の柱になれるのは嬉しいですし有り難いことなので、脚本の御笠ノ忠次さん、演出の茅野イサムさん始め、皆さんの期待に応えたいです。先輩方からも楽しみにしていると声を掛けていただきました」


歴史上の戦場を舞台にしたミュージカルと華やかなライブの二部構成で届ける刀ミュの公演。1部のミュージカルでは史実を取り入れた新たな歴史ドラマを生み出している。笹森が演じる松井江は細川氏の家老・松井興長が所持した刀。

笹森「松井江は洋風の衣裳で一見クールな刀剣男士。余裕を感じさせる物腰ですが、それはものすごく苛烈なものを乗り越えてきて得たものだと思っているんです。戦いの最中に見せる表情とのギャップも激しいですし、作中でどのような描かれ方になるのか楽しみにしています」


岡宮が演じる鶴丸国永は平安時代の刀工、五条国永の在銘太刀だ。前出の大倶利伽羅に加え、浦島虎徹(糸川耀士郎)、日向正宗(石橋弘毅)、豊前江(立花裕大)が初登場。どのような歴史が紡がれるのか、驚きを期待したい。

岡宮「これまでの作品を何度も見返しているのですが、三日月宗近役の黒羽麻璃央くんのような存在感を出せたらと思っています。芝居はもちろん、殺陣やダンスなど僕自身の実力が上がればもっと鶴丸国永の魅力を伝えることができると思うので、それが今一番の課題です。稽古中はやらなければいけないことも多くて、初めて参加した時は毎日必死に食らいついていくことしかできませんでした。でも無我夢中でやった先に必ず結果は付いてきて、やってきて良かったと思えた。とはいえ、舞台は“頑張ってきました”を見せる場ではなく、最高の作品を見せるもの。努力の過程を悟られない見せ方をしていきたいです」

 

インタビュー・文/片桐ユウ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載

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【プロフィール】
岡宮来夢
■オカミヤ クルム ’15年、『第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』で準グランプリを受賞。

笹森裕貴
■ササモリ ヒロキ ’15年、『第3回関東ハイスクール ミスターコン2015』グランプリ受賞。’18年、ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』で舞台デビュー。