動物の能力を開花させた少年たちがアニマルアイドル、通称アニドルを目指して成長していく姿を描いた育成ゲーム「アニドルカラーズ」。その舞台版第3弾がいよいよ上演される。今回のストーリーでは、7ColorsとClarityがチャリティライブに出ることに。しかし、とある事情でどちらのグループもメンバーが1人欠けてしまい、合同でシャッフルレビューを敢行することになる。ところが練習に励む彼らを、暗い視線で見つめる者が現れ……! 果たしてどんなステージになるのか、前作に引き続きキュアステの世界に挑んでいく、辻諒(朝日悠希役)と阿部快征(夏月斗羽役)の2人に話を聞いた。
――2020年に予定されていた公演が残念ながら延期となってしまい、やっとお届けできる運びになりました。今のお気持ちはいかがですか?
阿部「すごく緊張しますね。延期になったことで、みなさんの楽しみにしている気持ちも増幅していると思うんです。期待が高まっている中で、それに応えられるか……もちろん、応えていくんですけど、そこに緊張感もあります」
辻「僕はもう、待ってました!って感じです。早く出たくてウズウズしていますね。毎日の稽古も本当に楽しくて、自分でもビックリするくらい早入りしています(笑)。それくらい、楽しみな気持ちが強いし、自信をもってこのメンバーでやっていけると思っています」
――ステイホーム中はどのように過ごされていましたか?
阿部「毎日、キュアステのDVDを観ていました! ……嘘です(笑)。でも、自粛期間中もお互いに連絡を取り合ったりしてましたよ。それで、普通にゲームで交流したりしていました」
辻「僕もゲームしたり、映画を観たりしていました。あとは、愛犬と遊んだり(笑)。あ、資格の勉強もしたんですよ! ちょっとガッツリ勉強しないと取れない資格なので、時間ができたならやってみようと思って」
――思いがけずできた時間でしたが、ゲームなどでコミュニケーションを取りつつ、それぞれに有意義な時間を過ごせたんですね。さて、アニドルは動物の能力をそれぞれ持っていますが、もし自分が動物の能力を得られるならどんな能力がいいですか?
阿部「具体的にコレっていう動物はいないんですけど、鳥系ですね。空を飛べるものの力が欲しいですね。稽古が行き詰って、どうしようって思っているときの気晴らしに空を飛んだりできますし、買い物とかに出かけるにも、空を飛んだら気持ちいいだろうし。空って、見ているだけでも心が軽くなるじゃないですか。だから、空を飛んでみたいです」
辻「僕は、イルカかな。海が好きなのと、イルカって頭もいいじゃないですか。それに、愛されるじゃない? イルカってカワイイから。海も広いしね。この世界で海が占めている割合ってすごいんですよ」
阿部「空もそれ以上に広いけどね(笑)」
辻「まぁ確かに(笑)。でも、そういうことも含めて、イルカがカワイイなって」
阿部「多分、諒くんはイルカになってもショーとかをしたいんですよ。人の笛を聞いて飛んだりしたいんです、きっと」
辻「あー、そうかも。でもイルカは飼われているワケじゃない、飼われてあげているんだからね(笑)」
――空と海で対照的ではありますが、自由に飛んだり泳いだりしたいっていうところは似ているかも知れないですね。
辻「僕の役の朝日悠希は、特に性格は変わらない。常に一貫してピュアです。周りが変化していっても、根本の性格は変わらないんです。純粋で、ストレートに悩んで、それでも周りのおかげで進むことができて、それを素直に感謝して……。そうやって、周りを巻き込んで、立ち上がっていきます。そこが悠希のいいところですね」
阿部「僕の演じている夏月斗羽は、ツンデレな性格なんですけど、これまではツンが強めだったんです。でも今回は3回目の公演になるので、人としての温かさみたいなものを入れていきたい。これまでの物語を経て、そういうデレの部分も出していけたらいいなと思っています」
――悠希と斗羽はルームメイトで、クラスメイトで、メンバー同士という間柄です。最初はギクシャクしていた2人も、いいコンビになっていきますね。
辻「そこもすごくナチュラル。この作品で初めて共演して、1本目から3年くらい経った今、すごくお互いに分かっている部分や感じている部分がある。去年できなかった分、今回で会えることがすごく楽しみだったし、そういうことも含めて、斗羽との距離感も最初とは違うんですよ。ちゃんと時間を積み重ねているよ、っていうところが自然な感覚として入ってくる感じです」
阿部「そう、3年ほど経っているので、僕らがもう素の状態で仲良くなっているんです。それが良い意味で、役をやっているときに出ればいいな」
――今回のお話の中には、くじけた気持ちをどう再生させるか、というところも描かれています。お2人は、くじけた時や辛いときに支えになるものはなんでしょうか。
辻「周りの人たちや仲間ですね。本当に、悠希を演じていても、すごく自分の中でリンクしている部分があるんですよ。2020年はいろいろなことができなくて、2021年になってやっと上演できる。そういう状況の中で構築されてきた感覚と、悠希を通して出来上がっていく感情が、どこかつながっているんです。一緒とまでは言わないけれど、感じる部分がとても近い。それは今回演じていてすごく思いますね」
阿部「周りの声って本当に大切。自分ってこのままでいいのかな、もっと前を向いて上の道に進めるんじゃないのかな、って悩んだときも、周りの方がたくさん支えてくれて、いろんな言葉をくださった。そうやっていろんな声を聞いて自分でしっかり考えていると、やっぱり楽しいことって見えてくる。悩むことは悩むんですけどね。でも声を聞いて、自分の道をしっかり考えることも楽しいですから。悩む時間も大事だし、覚悟を決めて道を進んでいくことも大事だなって思います。あとは……ひたすら食べる! 最近は、毎日シーザーサラダ食べています(笑)」
辻「食べて切り替えるんだ。サラダなんだね(笑)」
阿部「一応、ちょっと気にしてサラダです(笑)」
――しっかり食べるのは大事ですね(笑)。周囲からもらった声で自分の力になったものって、どんな言葉がありますか。
阿部「『自分で自分を信じないと、何を考えても無理じゃない?』って言われたのは、心に残っていますね。何を言われても、自分じゃ無理だと思ってしまったら、どうすることもできない。ひとつ何かを決めたなら、自分で自分のことを信じてあげるのが大事、って言われたのは大きかったですね。事務所の先輩からもらった言葉です。すごく心にしみましたし、その時食べていた焼肉もしみました(笑)」
辻「僕は具体的なこの言葉、っていうワケじゃないんですけど、周りといろいろな話をしている中で、やっぱり楽しむことが大事なんだな、と。何事も。昨年いろいろなことがあって、自分がどういう状況になっても、今を楽しんでいく。楽しんだ先に、何かがついてくる。本当に自分が分からなくなって見失いそうになった時に、話の中でそれを示してくれた方がいました。それはすごく励みになりましたね。コロナ禍であっても、オンラインライブって楽しいな、ということに気付けた。それに気付くことができれば、楽しめるんです」
――今、まさに稽古が進められているところとうかがっています。稽古場の雰囲気はいかがでしょうか。
辻「今回で3回目だからなのか、みんなで作っている感がスゴイんですよ。脚本、演出のほさかようさんもずっとキュアステに携わっている方ですし、気心の知れている人ばかり。キュアステはライブステージという括りではありますが、芝居の部分もすごく面白くなっています。作り込んでいるので。そういう意味では、作品の作り方がひとつ深くなったように思います。みんなが見えていることが、深くなったんじゃないかな」
阿部「本当に、気心知れているので、役者同士で話し合ったり、今回はダンスもあって、歌もあって、お芝居もあるんです。そのそれぞれで話し合って、稽古場で提案して、みたいなことができているんですね。僕は、アドバイスを貰ってばっかりなんですけど……。先輩方の面倒見の良さに、後輩たちは助けられています。だから、すごくやりやすいんですよ。いろいろな稽古場を経験してきましたが、癒しもあって、すごく勉強になります。本当に、先輩方の発信力がすごいんですよ。ああしたい、こうしてみたいって言っている先輩方を見ていると、自分もちゃんと仕事に取り組まないと、と気が引き締まりますね」
辻「キュアステって、いい意味で自由度が高いんです。自由にやらせてもらえているから、本気で笑えるし、本気で楽しいし、本気で取り組める」
阿部「作品がいわば学園モノだと思うんですけど、稽古場の雰囲気もそういう感じがあるんですよね。学生に戻った気分です」
辻「あぁ、そうかも。高校生が休み時間に大人数でワチャワチャしているような感じがあります。いろんなキャストがいて、性格もそれぞれなんですけど、ひとつのクラスなんですよね。だから、稽古場が本当に楽しいです」
――今回のステージではSHUFFLE REVUEということで、意外な組み合わせのユニットや楽曲の披露があるそうですね。
阿部「僕たち7Colorsは明るい曲が多くて、Clarityの方はオシャレでクールな曲が多いんです。だから、もっと大人の雰囲気を漂わせて歌わなきゃな、とかは思いますね。たくさん色んなことを考えながらやっている感じがします」
辻「僕はずっと初演からClarityの曲をやってみたいと思っていて、やりたいって言ってたんです。だから、やれることが楽しみですし、自分以外のことでも、このキャラクターがこの曲やるの?っていうのが、すごくワクワクしますね」
阿部「実は、不知火颯役の岸本勇太くんにやってもらいたいなぁ、って思っていた曲があるんですけど、今回それが選ばれてて、岸本くんがやるんですよ! 本当にそれが楽しみです」
辻「あと、それぞれソロで見せる部分があるんですけど、キャラがまったく変わっちゃうんですよ。Clarityだと誰々がソロだったところを、7Colorsのメンバーの誰かがやる、みたいな感じで。曲調が違う中で、いかに自分のキャラクターを出しつつ、新しい面が見せられるかっていうのは考えていてすごく楽しいですね」
阿部「やっぱりシャッフルしたことによって別の人が歌うわけですけど、歌っていたら元々そのパートを歌っていた人が絶対に見にきますもん(笑)。「あ、こんな感じなんだ」ってね」
辻「確かに! それもあるね(笑)」
阿部「あとグループの人数が違っていて、僕ら7Colorsは7人で今回はストーリー上1人減って6人、Clarityも元々4人ですけど今回は3人なんですね。だからClarity が僕らの曲を歌う時は、3人で7人分のパートを歌っているんです。僕ら自身、けっこう歌いっぱなしなので、息とか大丈夫かな?とか思いますね。大変そうだな……って」
――見どころ聴き所がたくさんありそうです。では個人的に、ご自身の見どころやアピールポイントはありますか?
辻「全部! 本当に全部です。今回は、前よりもアクロバティックというか、犬の能力であることを見せるために、そういう動きが取り入れられているんです。もともと僕はダンスをやっていたこともあるんですけど、僕が朝日悠希をやる意味を見せたいなと思っています。ダンスって本当に楽しいんだよ、っていうことを朝日悠希というキャラクターをお借りして、悠希の良さも見せながら伝えていければいいな」
阿部「僕の見せ場は、「最初の10分はずっと僕だけを見ていてください」ってことですね。初めて観に来た人でも絶対に楽しくなるというのを、僕が皆さんに教えますので!」
辻「今回の始まりの部分は、阿部快征にかかっていると言っても、過言じゃないからね。スタートが20%からなのか、80%からになるのかっていうのは、彼にかかってます(笑)」
阿部「120%からスタートさせてやりますよ! キュアステがどういうものなのか、どうやれば最後まで楽しく観られるのか、最初にドカンと訴えかけますので!」
――しっかりエスコートしてくれるわけですね! 最後に、改めてキュアステの魅力がどんなところにあるのかお聞かせください。
辻「なんといっても、アニマルの力が備わったアイドルの卵たちが、アイドルとしてやっていくために、どういう悩みや葛藤があって、どうそれに立ち向かって解決して、戦っていくか。その成長ですよね。ほさかさんの演出が加わって、お芝居パートからもすごく見えてくるものがあるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」
阿部「本当に、休憩中も稽古中もずっと笑ってて……稽古中ずっと笑っているのはおかしいですね(笑)。でもそれくらい、ずっと笑顔でいられるんです。僕らもそうですし、スタッフさんも含めて、キュアステに関わるすべての人が楽しい、面白い、と思って挑んでいるので、笑いが出ちゃうんですよ。ダンスやっているときとかもね。そういうところを観ていただければ、お客さんもきっと笑顔になってもらえると思うんですよ。僕たちが楽しんでいるからこそ、楽しめると思うし、それはどの作品にも負けていないと思っているので、ぜひご覧いただいて、あったかい気持ちで帰っていただきたいです。2月はまだまだ寒いと思うので、心だけでもあったかくね!本当に、みんないつもありがとう!」
辻「本当に、僕らは観に来ていただける方がいて、ステージに立てています。チケット代以上のものをお見せする自信がありますし、それをお届けするために僕らはステージに立ちますから、安心して来ていただければと思います。僕ら自身が楽しんでいますから、みなさんにも楽しんでいただけるよう、着々と準備が進んでいます。シアター1010で会いましょう! 待ってるよ!」
インタビュー・文/宮崎新之