現在、TOKYO DOME CITY HALLで絶賛公演中となっている、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage –track.4-。“ヒプステ”史上初めてイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの4ディビジョンが揃う今回、何かが起こらない訳がない!公演を重ねるごとにボルテージを上げていくステージの模様をレポートする。
本ステージは、声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』の舞台化シリーズ、通称“ヒプステ”の第4弾。世界の争いは武力ではなく人の精神に干渉する「ヒプノシスマイク」を通したリリックによる戦いになっており、ディビジョンと呼ばれる区画の代表が領土を賭けてMCバトルを繰り広げていた。そして、翌日に最終決戦トーナメントを控え、会場となる中王区に4つのディビジョンの代表が集結する――。
オープニングでは、ボイス・パーカッションなどを交えながら、観客に中王区での“ルール”などをレクチャー。ディビジョンのハンドサインなどを知っていくうちに、どんどんヒプステの世界に引き込まれていった。そして、中王区の中へと誘われた途端、4つのディビジョンによる圧倒的かつ怒涛のパフォーマンスが代わる代わる繰り広げられ、一気にこちらのボルテージも上昇。ダンサー陣“ディビジョン・ダンス・バトル”によるヘッドスピンなどのド派手でアクロバットなブレイク・ダンスが、そのボルテージにさらに勢いをつける。
体中に響いてくるビート、頭を駆け巡るリリック、そしてプロジェクションマッピングや煌びやかなライトなどの演出が渾然一体となって押し寄せてくる。最新技術による演出に合わせて、可動するスクリーンなどアナログな装置も活用されており、投影される映像に魅了されたり、キャストやダンサーが予想外の登場をしたりと、まさに“目が足りない”状態だ。シリアスな場面での鮮やかな演出だけでなく、ゲーム画面に入り込んでしまったような場面などコミカルなシーンも多数。楽曲の素晴らしさはもちろん、ステージとしての見ごたえも実に素晴らしかった。
中王区への最終トーナメントへと駒を進めたのは、山田一郎(高野洸)が率いるイケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”、碧棺左馬刻(阿部顕嵐)率いるヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”、飴村乱数(世古口凌)率いるシブヤ・ディビジョン“Fling Posse”、神宮寺寂雷(鮎川太陽)率いるシンジュク・ディビジョン“麻天狼”。かつて伝説のチーム“The Dirty Dawg”を組んでいたという因縁の4人が、とうとう同じステージに立った。決戦を翌日に控え、それぞれに過ごす彼らだが、因縁は彼らを放ってはおかず、導かれるように夜の街で出会い、その胸中を吐露する。彼らの過去が少しずつ明かされていくにつれ、キャラクターの印影がくっきりと浮かび上がり、繰り出されるリリックに深みが増していく。
過去に囚われ、激情に駆られて突っ走り、“今”を見失いそうな各リーダーを支えるのは、ディビジョンの仲間たちだった。イケブクロの山田二郎(松田昇太)・三郎(秋嶋隆斗)は、もう助けられるだけじゃない、頼れる存在だと兄弟の絆を一郎に見せつける。ヨコハマの入間銃兎(水江建太)と毒島メイソン理鶯(バーンズ勇気)は、クールさの中に潜む熱い思いを語り、左馬刻と肩を並べる。シブヤの夢野幻太郎(前山剛久)と有栖川帝統(滝澤涼)は、まとまっていないように見えて乱数の些細な変化にも気付き、確かな繋がりを誓い合う。シンジュクの伊弉冉一二三(荒木宏文)と観音坂独歩(宮城紘大)は、ともに最後まで歩む覚悟を見せ、強固な友情を確かめ合う――。背中を預けられる仲間たちの存在に気付いていく過程に、胸が熱くなるはずだ。
そして、何といってもヒプステと言えばその楽曲の良さだろう。–track.4-では、しっかりとしたストーリーもありつつ、楽曲の占める割合もかなり多く、ライブ・パフォーマンスとしての楽しみも十二分にある。4つのディビジョンが勢ぞろいする「Fight 4 Your Pride -Rule the Stage track.4-」は、まさに総力戦といった印象で、魂を削るような白熱のマイク・パフォーマンスを体感できた。繰り出される各キャラクターの個性的なフロウ&ライムを堪能し、飛び込んでくるパンチラインに打ちのめされる――。コロナ禍の影響でコール&レスポンスは出来ないものの、観客らはハンドサインを掲げ、惜しみない拍手でキャストらを支え、会場は響き合うような熱気にあふれていた。ぜひ、ヒプステならではのリリックに身を委ね、ほかでは味わえないバイブスをその身で体感してみてはいかがだろうか。
『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage –track.4-は、2月19日(金)までTOKYO DOME CITY HALLにて上演中。2月25日(火)から2月28日(日)までメルパルクホール大阪にて、3月5日(金)から3月7日(日)まで福岡サンパレス ホテル&ホールにて上演される。また、千秋楽ライブビューイングや全公演ライブ配信なども行われているのでぜひチェックしてほしい。
取材・文/宮崎新之