ミュージカル『アメリ』公開稽古&囲み取材レポート

写真向かって左より
(前列)池田有希子、叶英奈、渡辺麻友、太田基裕、藤巻杏慈、藤木孝
(後列)山岸門人、野口かおる、伊藤明賢、明星真由美、勝矢、植本純米、石井一彰、皆本麻帆

 

2001年に公開され大ヒットした映画『アメリ』を元に、昨年4月に米ブロードウェイで上演されたミュージカル『アメリ』が、早くも今年5月から6月にかけて日本で上演される。4月24日(火)、東京都内で公開稽古が行われた。

 

空想好きの女の子、アメリの日常と不思議な青年ニノとの恋を描いた本作。ヒロイン・アメリ役には昨年12月にAKB48を卒業した渡辺麻友、ニノ役は様々な舞台で多岐に渡り活躍する太田基裕が務める。その他、植本純米、勝矢、伊藤明賢、石井一彰、山岸門人、皆本麻帆、野口かおる、叶英奈(Wキャスト)、藤巻杏慈(Wキャスト)、明星真由美、池田有希子、藤木孝らが名を連ねる。

公開稽古では、渡辺演じるアメリが家を離れ、パリに向かう際の不安と希望を歌う『夢見る人は生きづらい』と、アメリとニノ(太田基裕)が地下鉄の駅で初めて出会うシーン『運命の手腕 パート1』が披露された。のちの会見では、「すごく緊張して、声も震えてしまって、あまり良いものはお見せ出来なかった」と心境を語った渡辺だったが、演出の児玉は「すごく透明感がある」と評しており、本番ではその透き通るような歌声で観客を魅了することだろう。

太田は「完成したものはお見せできなかったですが、ミュージカル『アメリ』の世界観はお見せすることができたと思います」と語ったが、思わず口ずさみたくなるようなメロディー、軽快なリズムの数々はまさに『アメリ』の世界。目の前で繰り広げられる次々と移り変わる光景に期待が膨らんだ。稽古後には会見が行われ、キャスト陣よりコメントが寄せられた。

まず、渡辺が「大きなプレッシャーもありますが、精一杯、全身全霊でこの作品にぶつかっていきたいと思っております」と意気込みを語り、太田は「ニノはアメリが恋におちる男性なので、アメリの魅力をしっかりと引き出しながら、素敵なニノになるように頑張っていきます」と語った。

盲目の物乞いと庭のノーム像役を演じる植本純米は「お2人にはセンターにドーンといていただくとして、周りには僕たちが揃っておりますので、物語同様、奇跡のようなミュージカルになればいいなと思っております」とコメント。

クジラと主にパリの風景を演じる勝矢は「今回は、どう考えても“べーなべさん(渡辺)”と太田さんが大変なので、2人を支えるためにもできる限りパリの風景に溶け込んで、パリがどういうものなのかを皆様に感じていただけるように頑張ります。これが終わったらパリに行きたいと思います(笑)」と会場を笑いで包んだ。 続いて、「アメリがすごく輝けるように頑張れたらいいなと思います」とコメントしたのは、アメリの父親役を演じる伊藤。石井は、「今回、日本人でつくる初の『アメリ』ということで、“べーなべさん”を中心に周りも盛り上げていきたいと思います」と意気込みを見せた。

「観に来た人みんながアメリのことを好きになっちゃうような作品になっていると思います」と、アメリが働くカフェ店員・ジーナを演じる皆本が語ると、エルトン・ジョン役などを演じる山岸も「エルトン・ジョンから訴えられるくらい思いっきりやります」とコメントし、それぞれ自信に満ちた表情を見せていた。

カフェ店員のジョルジェット役を演じる野口は「今はまだ100点満点の5点くらいなのですが、一生懸命やって世界観からはみ出たいです。そして、“べーなべさん”のアメリの恋をとにかく応援して、素敵なアメリになるようにみんなで素敵な船をこぎ出したいと思っております」と笑顔を見せた。
幼いアメリ(ヤングアメリ)をWキャストで演じるのは、叶と藤巻の2人。「みなさんの足を引っ張らないように精一杯頑張ります」という叶に対し、藤巻は「英奈ちゃんよりも1歳年上なのでしっかりしなきゃ!という気持ちもありながら、小さく見えるように頑張ります」と周りの大人たちを和ませた。

次いで、カフェのオーナー・シュザンヌ役の明星は「ほとんど初めてのキャストですが、初日から嘘のように仲が良く、毎日が楽しいです。本番ではお客様を巻き込んでいきたいと思っています」と述べ、アメリの母親役やキャビンアテンダントの役を演じる池田は「映画では映像美で見せている、アメリの脳内で起こっていたり、アメリに見えている世界を、演劇では私たちの身体でしっかりと表現していきたいと思います」と意気込みを語った。

最後に藤木が「この『アメリ』はすごくチャーミング作品です。演出の児玉さんをはじめ、スタッフ・共演者の皆さんもチャーミングなので、僕もなんとかチャーミングなジジイになろうと思います!」と会見を締めくくった。その後行われた囲み会見では、演出の児玉が「この作品はアンサンブルがいないので、役者が舞台の転換や小道具の出し入れをしながら、何役も演じます。キャスト、スタッフが一丸となってアメリというパリに住む23歳の女の子の妄想の世界をつくるというのが、この作品の特徴だと思います」と語った。

さらに渡辺は、初主演ミュージカルというAKB48卒業後の大きな挑戦への心境を訊かれると「最初にこの話をお聞きしたのは1年半前ほど前で、すごく驚きましたし、私なんかでいいのだろうかとも思いました。今は相当なプレッシャーと不安と心配と…そういうものしかないです」と不安をのぞかせた。その一方で、「楽しむことも大事ですので、楽しむ余裕も出てきたらいいなと思います。そして私なりのアメリを演じられるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。

そんな渡辺に対し、児玉は大いに期待を寄せており、「私は『初めての方だから』とか、『まだ子供だから』といった接し方はせず、普通に役者さんとしてやってほしいってことを要求してしまうので、本当に大変だと思います。でも言ったことは次やる時には必ずクリアしてくれます。楽曲が33曲あって、覚えることも多く、出たらほぼ出ずっぱりで大変ですが、楽しんでほしいなって思います」とエールを送っていた。また、会見中度々話題に上がっていた“べーなべ”という呼び名に関しては、渡辺から「お稽古終わりにご飯食べに行った時、みんなの呼び名を決めようという話になり、特に希望がないと言ったら、“べーなべ”に即決されました」と明かされた。食事会に参加できなかった太田は今日の会見で初めて知ったのだとか。「今日から僕も“べーなべ”って呼ぶんでよろしくお願いします」とカンパニーに溶け込んでいる様子を見せた。
呼び名に加え、公開稽古や会見の合間にはキャスト同士で談笑する様子が垣間見え、終始笑顔が絶えないその姿からカンパニーの仲の良さが伺えた。最後に太田から「キラキラしてみずみずしい楽曲ばかりなので、子どもから大人まで楽しむことができると思います。そして、改めて恋っていいな、人間関係って素敵だなと思っていただける作品だと思いますので、ぜひ劇場に遊びに来てください」、渡辺からは「映画『アメリ』ファンの皆様にも、今までミュージカルを観たことないという方にもおすすめの作品です。全身全霊でキャストの皆さまとスタッフの皆さまと一丸となって、頑張って参りますので、皆さまぜひ!ぜひ劇場に足をお運びください!」と力強くメッセージが贈られ、笑顔で会見を締めた。

 

ミュージカル『アメリ』は5月18日(金)から6月3日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて、6月7日(木)から6月10日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。

 

取材・文/ローソンチケット