「ニンジャバットマン ザ・ショー」が10月に東京・池袋のTheater Mixaにて上演される。「ニンジャバットマン ザ・ショー」は、2018年6月に公開されたアニメ映画「ニンジャバットマン」をもとに製作されるエンターテインメントショー。もともとは昨年公演予定だったが、コロナ禍によって残念ながら延期となっていたもので、アクションやアクロバットをふんだんに取り入れ、まるでテーマパークなどで観るようなアトラクション感覚のショーを展開していくという。
コロナ禍によって、告知などもミニマムな状態でこれまでやってきたが、来たる10月に向けて、今後さまざまな告知展開が予定されている。これからの3カ月ほどをさらに盛り上げるために、宣伝告知のさらなる企画のブラッシュアップを狙って、プロデュースを手掛ける下浦貴敬ら制作陣が、異例の“ファン参加”リモート会議を実施。バットマンファンからの真摯な意見をヒアリングした。
###6月25日から積極的な告知を展開!
現状では、東京・六本木の東京シティビュースカイデッキにて「DC展 スーパーヒーローの誕生」が開催にあわせ、6月25日から新たなキービジュアルなど順次新しい情報が順次解禁する予定だ。キャストについては、ジョーカー役としてなだぎ武がすでに発表されているが、そのほかのメインキャストについてもこのタイミングで発表していくという。約3カ月にわたる膨大なステージ数のため、役にはそれぞれ複数の俳優がキャスティングされおり、3~4チームの体制で上演していくので、果たしてどのような名前が並ぶのか楽しみにしたいところ。キャットウーマンやハーレイ・クインのビジュアル解禁も順次行われていくそうなので、そちらにも期待したい。
###ファンの鋭い分析に下浦氏も驚き
前述のような展開予定を受けて、ファンからは忌憚のない意見が寄せられた。主な議題と、寄せられたファンの声を抜粋してお届けする。
■DC展はどんな展示になる?
――6月25日からの展開について、気になるところやご意見はありますか?
「チケットを買う立場として、衣装の雰囲気はなんとなくイメージできるけど、アクションの部分がどういう形になるのかまだ情報が無い。だから、DC展の展示で映像があるとうれしい。マスクと小手、クナイなんかがあると喜んで写真を撮るので、衣装全部は無理でも何か展示があるといいと思う」
「やっぱり、カッコいいかどうかは気になる。こういう形の多くの展示でもマスクと武器が多い。(大きくみんながうなずく)。やっぱりカッコよさは大事」
――衣装といえば全体、という思い込みがあったので参考にしたいですね。
「私は、ティーザーを早く観たい! 現時点では、バットマン以外がどうなるんだろう?という状態。小出しじゃなくてどんどん観たいです」
――DC展でお披露目できるかはわからないが、映像の第2弾は準備している。今のはバットマンだけのものだったが、そのほかの中身の部分がわかるものになるはず。昨今のコロナ禍で、出せずにいたネタはたくさんあるので、短期集中で盛り上げていきたいですね。
「今年のDCファンドームには参加する?」
――公演中の10月なので、テコ入れという意味でも検討したいと思います。昨年も参加させていただいているので、相談します。たくさんの人に見ていただけるイベントですからね。ショーという形の特性上、映画などに比べて中身について伝わりにくい部分はある。開幕後に与えられる情報もたくさんあるので、伝えていきたいと思います。
■情報発信はSNS?
「映画館での宣伝は大きく伝わりやすいはず。SNSが苦手な人もいるし、映画を観に行く人でも『ニンジャバットマン ザ・ショー』をやることを知らない人も多い。8月には『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』が公開されるので、そこで認知される可能性も高いはず。特に、地方の人にはまだ認知されていないのでそこにリーチできるようにしては?」
「コロナ禍の状況もあって、SNSを見ていても情報発信がこちらまで届いていないことも多い。好きなアーティストがライブをやっていたことも見落としたこともありました。SNSだけじゃなく、テレビや映画館など、いわゆるベタなところにも手を広げて欲しい」
――映画館はなかなかハードルが高いのですが、何かできないか検討したいですね。SNS主流だと思っていましたが、リアルの部分にも、もっとアプローチしたいと思います。
「SNSの情報発信は、こまめにした方がいいと思いますね。1カ月でも更新が途絶えると、今の情勢もあって「無くなったらしいよ」という噂が立つ。嘘かホントかは確かめにくい。2~3日に1回でも、上演に向けてやっていることを発信しつづけてほしいです」
――SNSの内容についてなんですが、ファンタジーの部分があるので、誰が演じるか、というのは発表しても、その人がどう頑張っているのかはあまり見せないもの、という認識があるんです。生身の人が頑張っているところを見せた方がいいと思いますか?
「確かに、役者については、私は個人的に観たいと思うけど、人による。「バットマンなんだからもっと頑張ってくれよ」のような声も上がるかも知れない。難しいラインですね。役者ではなく、感染対策を頑張っている人など、公演を支えている裏方の方の情報発信は、応援する気持ちになる。そこはどんどん出した方がいいのではないか。他の舞台などでも中止で買ったチケットが無駄になって、悲しい思いもたくさんしているので、だからこそ頑張っているスタッフさんのことは応援したいです」
――演劇業界は今、かなり感染症対策に敏感で、定期的なPCR検査や除菌などを徹底することが当たり前になっている。当たり前になりすぎていて、あらためてその部分の情報発信について考えていませんでした。言わなければ伝わらないですよね。
■夢の対談!? こんな企画、実現してほしい!
「メイキングなどが好きなので、稽古の情報や舞台装置など、舞台裏とかの情報が見れるのは嬉しい。あと、映画『ニンジャバットマン』のCVの方に稽古やゲネプロを見てもらって、声優さんに感想などを発信してもらうといいと思います」
――いいですね! ぜひ感想をいただきたい!
「キャスト発表の日は6月25日のDC展合わせでいいけれど、その前から可能な範囲で情報を出してもいいのでは? 例えばキャスト情報も名前は出さなくても、その人のプロフィール情報や、首から下の写真などを出すとか。誰なんだろう?とそこで盛り上がれますよね」
「例えば、なだぎ武さんはジョーカー役で公開されているので、ジョーカーのCVだった高木渉さんと対談してジョーカーに対する価値観などを語ってもらえたら、読みたいと思います。やっぱり、舞台と声優とではアプローチも違うと思うので」
――それもいいですね。そこでなだぎさんが役を掴んでいくかもしれない。
「今回の舞台である意味で実写化されたものを観て、いろいろな漫画家さんがイラストやコミックにするのはどうでしょうか。映画の途中でちょっと絵のタッチが変わるところが個人的に好きなので、いろいろな方のタッチで「ニンジャバットマン」が見られたら楽しいと思います。」
――これまで手掛けた公演でも、知り合いの漫画家さんやイラストレーターさんが見に来てくれて、それをツイッターなどで「観てきました」とイラストなどで上げてくれることがあったんです。“私たちにできる表現方法は絵を描くことだから”って。それって役者やファンもすごく嬉しいし、大きな盛り上がりになりますよね。
「僕も表現の仕事をしているんですが、好きなものに、自分の好きな表現で関われるって、とてもうれしいこと。この上ない喜びなんですよ」
■ファンが絶対買うグッズとは?
――ファンのみなさんはどんなグッズが欲しいですか?
「私はおもちゃオタクでもあるので、レプリカやプロップならば価格がいくらでも買ってしまいます。レプリカなどは単価が高くなるので、限定数を数百くらいにして制作すればすぐに売り切れると思いますよ。あとから受注生産にしてもいいし。プロップも、劇中で使われていたのと同じものだったり、スタッフTシャツや、キャストが使っていたのだったりは、かなり需要があるもの。映画のニンジャバットマンでも、劇場ですぐ売り切れたのはクナイ。だから、プレミアウィークのチケット特典で「クナイ(ペーパーナイフ)」があったのには驚きました」
――グッズで売り出したらみんな買うのに、って思われていたんですね(笑)。その他には何かありますか?
「個人的にはアクリルスタンドは好きじゃないけど、他のジャンルのファンに話を聞いてみると、公式のイラストをそのまま使えるので、解釈の違いが起きない。立体化すると、この原型は好みじゃない、とかが出てしまうんです。だから、アクリルスタンドには、かなり需要があるみたいですよ」
「パンフレットはファンは必ず買うもの。観に行った証拠を残したがるから(笑)。また、例えば2.5次元の俳優さんでアクリルスタンドなどのブラインド商品を作ると、推しが出るまで買いますね。アクリルスタンドだとたくさん買うにはやや高価になるので、缶バッジやカードなどの手ごろな価格のものも用意しておくといいかも。パンフレットと一緒に安いから買っておこう、と思っちゃいます。あと、ファンはトートバッグもセットで買うので、必ず用意した方がいいと思います」
「あとは、ペーパークラフトやお面、ハロウィン用のグッズなど、子供向けのグッズも展開したほうがいい。自分が子どもだったら絶対に観に行きたいと駄々をこねたはず。バットマンを見て育った親なら、子どもが欲しいと言ったら甘やかしてしまう。お面などを子どもがつけて劇場から出てきたら、あれなんだろう?と興味を持つ人もいるはず」
――子どもへのアプローチはそこまで考えてなかったので、ありがたい意見です。
「アメコミファンにとってはヴァリアントカバーって馴染みがある。パンフレットを作るのであれば、カバーをヴァリアントにしていろいろな方に書いてもらうのもいいかも」
「表紙に載っている演者さんが違う、というのもアリだと思います」
――2週か3週ごとに変えるのもいいかも知れないですね。みなさんが意外と商売人でびっくりしました(笑)
###ファンが選ぶポスタービジュアルデザインは?
今後の告知展開に向け、会議ではポスターのデザイン案をリモート会議の参加者限定で公開。どのデザインがファンに刺さったのか、意見を尋ねた。デザイン案の概要は下記の3つだ。
1)刀で鍔迫り合いをしているビジュアル。日本刀で戦うことを分かりやすく表現
2)大写しのジョーカー×バットマンの背中のビジュアル。ジョーカーを強く押し出して、それに立ち向かっていくバットマンをシルエットでもカッコよく表現
3)ジョーカーとバットマンの全身を見せつつ、アクションの面白さを見せたビジュアル。布やマントの質感を大事に、より映画の中のビジュアルを想起させるようなもので、アクションの面白さを伝える
これらのビジュアルを見たファンの声では、2を挙げる人が大多数だった。ただ、ジョーカーのキャストが大写しになる分、観劇したときに同じ役者さんがジョーカーを演じていない可能性があり、違和感を持たれる可能性など、鋭い視点での指摘もあった。主な寄せられた意見は下記の通り。
「2がお気に入り。演者さんの顔がはっきりわかることで、舞台であることがわかりやすい。顔がはっきりしてないと、アニメの新作なのかな?と思ってしまう」
「2が好き。生きている人間がやることが、アップのほうがわかりやすい。お城が映り込んでいるのもポイントで、ニンジャや侍がいる時代なんだというのが伝わってくる。でも、3のマントの躍動感もファンは絶対に好きだと思う。それを足せれば」
「2が好きだけど、安っぽくならないか心配。映画のメイクと舞台のメイクの精度はまた違うので…。あと、キャストが何人かいるので、舞台に出てきたのがポスターと違う役者さんだと、違和感がありそう。たぶん、今発表されているなだぎさんになると思うんだけど、それならバットマンは入っていない、なだぎさん版のジョーカーのポスターとして、別でほしい(笑)そういう意味では3がいいのでは。お城の存在感はもっと出してもいい。マントのサイズもポスター用に大きめでもいいと思う」
「ポスターが好きで集めているんですが、最近はキャストが全員映っているか、ひとりで映っているシンプルなものに二極化している印象。シンプルなものはティーザーポスターに多い。そういう意味で、タイミングごとにポスターを変えてみてはどうか。ポスターが変わるだけでも話題になると思う」
「バットマンをあまり知らない人にも、パッと見で何かわかることがポスターでは大事なので、そういう意味では1がいいんじゃないか。あと、それぞれ単独のキャラのポスターは欲しいです。飾れるように売ってください。できれば額装も!」
「2がいいと思います。キャストが色々いても、例えば鼻から下だけとかイメージを崩さない範囲でやるとかでもいい」
###ファンの声を実現させるべく、奮闘中!
この日の会議で寄せられた声は、ファンならではの細やかな視点で、数々の舞台を作り上げてきた下浦氏も「毎回会議に参加してほしい(笑)」舌を巻くほど。「ニンジャバットマン ザ・ショー」のことを、まずはファンの方に届けて、そこからどんどん一般の方にも広げていきたいと制作陣は語っていた。
コロナ禍のあおりを受け、短期集中にはなってしまうが、ファンの意見を参考に6月から徐々にいろいろな情報を出していくべく、制作陣は奔走中。ぜひ、期待して待とう!
取材・文/宮崎新之