ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇 橋本祥平 インタビュー

「薄ミュ」10周年。
“僕の運命を決めてくれた作品です”

 

大人気ゲーム『薄桜鬼』を原作とした、ミュージカル『薄桜鬼』=通称「薄ミュ」の歴史は2012年GWに始まる。新選組の数奇な運命を描く物語を「殺陣×ダンス×歌」で表現し、好評を博した「薄ミュ」は、ライブを含めて13作続く人気シリーズとなった。

今作は14作目、そして「薄ミュ」10周年の節目となる。発表されたタイトルはミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇。第一弾公演と同じく、新選組三番組の組長・斎藤一が主人公だ。演じるのは「薄ミュ」と深い縁のある俳優・橋本祥平。遡ること十年前、橋本が役者を志して芸能スクールに通っていた頃に手伝いのスタッフとして参加した公演がミュージカル『薄桜鬼』の初演だった。

橋本「電撃が走りました。舞台を観るのも初めてだったので“こんな世界があるんだ!”と驚きましたし、芝居に歌と踊り、殺陣の場面も迫力があって釘付けになりましたね。当時の僕は明確な目標を持っていなかったのですが、“舞台がやりたい”“この世界に行きたい”と思うようになりました。僕の運命を決めてくれた作品です」


デビュー後、着実にキャリアを重ねた橋本は6作目のミュージカル『薄桜鬼』藤堂平助 篇から斎藤一役を担うことに。

橋本「憧れた作品に憧れた役で立てる日がくるとは……。なんて夢のある世界だろうと思いました」


2015~2016年の「薄ミュ」4作品を懸命に駆け抜けた。だからこそ今作で再び斎藤一を演じることが決まった際は「しばらく放心状態でした」と、正直な心境を明かす。

橋本「また斎藤一を演じられるという喜びもありましたが、怖さを感じました。前に演じてから数年が経っているので、役者としての成長を見せることができないとマズいぞ、と。でも「薄ミュ」を終えた後も、「斎藤一 篇」をやっている夢を見たりはしていたんです。“役者あるある”で、夢の中では台詞が出てこなくてオロオロしているんですけど(笑)。追い詰められたところでバッと飛び起きて、“ああ、自分は「斎藤一 篇」をやりたかったんだな”と自覚したり。それがこの大切な節目でやらせていただけることになった。どこまでも夢を叶えてくれる作品だなと思います」


前作からは『薄桜鬼 真改』を原作に“新たなる「薄ミュ」”として西田大輔が脚本・演出・作詞を務めており、キャストはシリーズ経験者や初参加者と様々だ。

橋本「受け継がれているものと新しいものを作るという気概が混ざり合っている作品だと思います。僕としては“はじめまして”の気持ちを持って臨もうと思いつつ、斎藤一は左利きなので箸を左手で持つようにしたり、ドアを開ける時なども利き手とは逆を使うようにしていると“前に演じていた時もこうして慣らしていったなあ”と思い出して、懐かしい気分になっています(笑)」


主演舞台に映像作品公開、ライブ出演と多忙を極めている橋本だが「待っていてくれる作品がいくつもあるのはすごくありがたいこと。まずは一つひとつを無事に届けられるように過ごしていきます」と、驕らず怠らずの姿勢を2022年の目標として掲げる。今作の上演は4月22日から。

橋本「シリーズが10周年を迎えるタイミングで「斎藤一 篇」をやらせていただけることを心から光栄に思っています。いくら恩返しをしても足りないくらいの御恩がある作品。真摯にひたむきに向き合っていきますので、ぜひご覧いただきたいです。これまでに自分が吸収してきたもの、いろんな人と出会って学んだことを見せられたらと思います」

 

インタビュー・文/片桐ユウ
Photo/篠塚ようこ

 

※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
※写真は誌面とは異なります。

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【プロフィール】
橋本祥平
■ハシモト ショウヘイ ’93年生まれ。神奈川県出身。2.5次元舞台をはじめ、映画やテレビドラマなど数多くの作品に出演。