『ワールドトリガー the Stage』大規模侵攻編 溝口琢矢インタビュー

“これが『ワーステ』です”と胸を張って言えるものを

待望の続編となる『ワールドトリガー the Stage』大規模侵攻編。溝口琢矢にとっては、前作が初の本格的な2.5次元舞台だった。

溝口「2.5次元という世界を知らない分、台本読みまでは他の方がどんなふうに演じるのかがわからなくて。僕もあえて事前にイメージを膨らませる作業はせず、フラットに臨んだのですが、みんなの本読みを聞いて、『ワートリ』の世界をそのまま舞台で表現しようという意志を感じました。だから僕自身も2.5次元ということは特に意識せず、僕が思う三雲 修を演じようと決めました」

溝口自身、『ワートリ』の大ファン。演じる三雲 修への思い入れも強い。

溝口「三雲ってヒーローじゃないなって思ったんです。原作を読んでいると、僕の中ではめっちゃカッコいいんですけど、自分が演じてみると、すごい滑稽だなと思って。でもその滑稽さが心地良かったりするんですよ。周りが三雲を見て笑う中、空閑(遊真)だけは笑わないで、ちゃんと向き合ってくれる。前回もそのシーンを(植田)圭輔くんとやっているときに、三雲として生きていることを実感できた。今回もそこは大切にしたいです」

異世界からの侵略者とのバトルを、ダンサブルなパフォーマンスとリズミカルな音楽を用いた“フィジカライブ”(Physical×Live performance)と呼ばれる手法で表現する。

溝口「ダンスに苦手意識のある僕が、踊って楽しいと思える瞬間ってお芝居をしているときなんです。この“フィジカライブ”はダンスの技術で魅了するのではなく、原作を読んだときのあの感覚をダンスにして表現するもの。ダンスをうまく踊ることが目的ではない。だから、プレッシャーはなかったですし、お芝居の延長線上だと思えばしっくり来た。このシーンをダンスで表すのは、不安なのか期待なのか決意なのか、そういうことをイメージしながら踊る時間はすごく楽しかったです」

届けたいのは、誰が観ても楽しめるエンターテインメントだ。

溝口 「漫画を読まない両親が、本番を観て『すごく楽しかった』と言ってくれて。それってすごく大切だと思うんですよ。僕もふらっと当日券でよくお芝居を観に行きますが、前知識がないと置いてきぼりになる作品は正直あまり好きではない。『ワーステ』に関しても原作ファンの皆さんはもちろん、原作を知らない方がご覧になっても楽しめるものを目指したいです」

にこやかな笑顔に秘めるのは、俳優としての矜持。確たる決意と自信をもって、再び『ワーステ』に向かう。

溝口 「僕は2.5次元というものをこれまであまり知らなかったけど、前回、『ワーステ』をやってエンタメとして面白いなと思いました。人の好みはそれぞれだし、僕はそのどれも否定はしたくない。みんなが自分の好きなジャンルを選べばいいと思うからこそ、選択肢は多いに越したことはない。こういう間口の広さも2.5次元の持つエンタメとしての魅力なんですよね。少なくとも『ワーステ』は2.5次元というエンタメを観たい人の期待に応えられる自信がある。“これが『ワーステ』です”と胸を張って言えるものを今回もお見せしたいです」

インタビュー・文/横川良明 Photo/篠塚ようこ

※構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載

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【プロフィール】

ミゾグチ タクヤ
■’95年生まれ。東京都出身。’07年に俳優デビュー。その後、映画、ドラマ、舞台で幅広く活躍。