舞台『吸血鬼すぐ死ぬ』│山本一慶&鈴木裕樹 インタビュー

秋田書店「週刊少年チャンピオン」にて好評連載中の『吸血鬼すぐ死ぬ』。2021年10月にテレビアニメ化され話題を呼び、第2期も絶賛放送中の大人気ギャグコメディが初の舞台化。2023年6月に上演される。ちょっとしたダメージですぐに死んで塵になってしまう史上最弱の吸血鬼・ドラルクと苦労人気質の吸血鬼退治人(バンパイアハンター)・ロナルド。なりゆきで同居することになった二人が織りなす、ハイテンション&スローライフな日常を描く注目作。ドラルク役の山本一慶とロナルド役の鈴木裕樹の二人に、今作の魅力や見どころなどをたっぷり語り合ってもらった。

――お二人は、今回が初共演だそうですが、第一印象から伺えますか?

鈴木 今まで面識も全くなかったんですよ。

山本 そう、本当に初めましての状態です。

――お二人の共通点を探したところ、過去にとあるミュージカルで同じ役を演じていらっしゃるんですよね?

鈴木 あ~そうだ!

山本 そうだったんですか!

鈴木 はい、やってました。いいじゃないですか。すごくいい共通点がありました(笑)。

山本 そうですね、すごい共通点(笑)。

――実際に会ってみて、お互いにどんな印象を持たれましたか?

山本一慶扮するドラルク

鈴木 最初に会ったのが、ビジュアル撮影で、山本さんは既にドラルクの姿だったので……(笑)。

山本 初対面がキャラクターの扮装状態だから、むしろ今日の普通の姿がお互い新鮮ですよね?

鈴木 そうそう。キャラクターとしての認識のほうが強いかも(笑)。でも、ツーショットの撮影からスタートしたので、親近感がわいたというか。話しやすい感じはしてます。

山本 ほんとですか?僕、けっこう人見知りなんでよかったです(笑)。

――『吸血鬼すぐ死ぬ』の原作は、享楽主義者の最弱吸血鬼・ドラルクと苦労人気質の吸血鬼退治人(バンパイアハンター)・ロナルドの日常を描いたギャグ漫画。作品の印象は?

山本 アニメの第1期を一気見したんですけど、ぶっ飛んでてめちゃめちゃ面白かったですね。ぶっ飛んでいるがゆえに、これをどう舞台上で表現するんだろうなと思いながら、けっこう真面目に見入っちゃいました。ジョン(ドラルクの使い魔のアルマジロ)もかわいいし。時には主人公の二人より、活躍したりしますからね。

鈴木 うん。ジョンが舞台でどう表現されるのかも楽しみだよね。まず、原作がとにかく面白いですし、『吸血鬼すぐ死ぬ』というタイトルもいいですよね~。なんかもう、強い意志を感じますよね、このタイトルから。

山本 アハハハハ!同感です。

鈴木 盆ノ木至先生が、もうこれでもかというほどの、あらゆるジャンルの笑いを詰め込んでいらっしゃると思うので。まあ、下ネタもあり…(笑)。

山本 ほんと、作中の下ネタ面白いんだよな~(笑)。下品じゃないギリギリの、小学生も喜べるような、ちょうどいい塩梅の。

鈴木 そうなんですよね。ベタなギャグもあり、ワードセンスのあるボキャブラリー的な笑いもあり、キャラクター性の笑いもありで、笑いの要素が満載ですよね。

山本 ドラルクとロナルド以外のキャラクターも強烈で、会話の中での笑いも面白いんですけど、ビジュアル面でも強烈な笑いがある。

鈴木 毎回登場する吸血鬼もみんな、ほぼほぼ出オチだもんね(笑)。

山本 完全に(笑)。

――お二人のキャラクタービジュアルの再現度は、お互いから見ていかがですか?

山本 めっちゃロナルドです。

鈴木 いやいや。ドラルクそのものです。

山本 このビジュアルの気合の入り方、仕上がりなら“この舞台は大丈夫だ!”と確信しましたね。ただ、ドラルクは吸血鬼なのにすぐ死ぬという設定で、死ぬと塵になってまたすぐ復活するのですが、この一連の表現は、きっとすごくハードル高いですよね。

鈴木 うん、それにこれはもうこの作品一番のポイントと言っても過言ではないし。

山本 まだ演出のことはわからないけれど、もしかしたら舞台上がどんどん砂だらけになっていく…みたいになるかもしれない(笑)。

鈴木 砂だらけになっていくって、それは面白いね(笑)。

山本 それで、一旦休憩みたいなのが入って、掃除されたりしたら面白いですよね。そういう視覚的な面白さで表現できる作品でもあると思うので。

鈴木 うん、そういうところは我々も楽しみだし、楽しみにしていただきたいですね。

――すごく楽しみです。山本さんはドラルクを、鈴木さんはロナルドを、どんなふうに演じたいと考えていますか?

山本 第三者からしたら仲悪くも仲良くも見えるし、この二人のバランスって面白くて、すごく素敵で。

鈴木 そう、バランス感がいいんですよね。

山本 まあ、本人たちはパートナーとは認めていないかもしれないですけど、見る側からしたら、すごくパートナーとしていいバランスがとれているなと思いました。だからこそ、他のクセの強い登場人物たちが現れたときに、この二人のタッグが際立って素敵にみえるのかなって。だから皆さんから愛されるコンビになっているんじゃないかなとも思うので、そのバランス感を出すために、稽古で僕ら自身の関係値も深めていけたらなと。それが、舞台上で出せたら素敵なバランスになるのかなと思いますし、クセ強キャラたちも出やすくなるかなって(笑)。

――お二人の関係性がすごく大事な作品ですよね?

山本 そうですね、中心に二人がいますから。

鈴木 ここ(二人)がしっかりできれば、あとはまあ、何とでもなるのかもしれないっていう。

山本 他の役者さんには遊んでもらえると思うし。

鈴木 みんな、絶対そのつもりで来るでしょう(笑)。

山本 もう、他のキャストは悪だくみしかしてないんじゃないですか?(笑)。

鈴木 だって自分が他の役だったら、“いかに散らかそうか”みたいな気持ちになると思うよ(笑)。

山本 僕も他の役だったら、何の緊張感もないですもん、きっと(笑)。

――鈴木さんは何を大事にロナルドを演じたいですか?

鈴木裕樹扮する ロナルド

鈴木 ドラルクとロナルドっていうのは、分かりやすくボケとツッコミという形にすると、ロナルドは一応ツッコミ役になると思うんですけど、こんなにしっかりとツッコむということができる作品も、なかなかないと思いますし……。僕はコメディがすごく好きで、常にやりたいくらいなんですけど、演劇でこれだけしっかりと“笑かしに行くぞ”っていうチャレンジは、なかなか機会がないとできないと思って。それが、この作品のお話をいただいたときに、強く“やりたい!”と思った大きな理由のひとつ。だから、喉がちぎれるほどツッコもうと思っています。

山本 アハハハハ!

鈴木 ただただ笑いに来てほしいなって思います。

山本 原作を全く知らない方にも、楽しんでいただきたいと思います。

――山本さんもコメディはお好きですか?

山本 観るのも、お芝居でやらせていただくのも好きです。今回の舞台は、視覚的な瞬発力のある笑いっていうのを表現する中で、そこで起きたお客様との笑いの空気とかを、舞台上にいる役者たちがうまいテンポで運んでいかなきゃならない。そのテンポ感っていうのは、毎日、お客様とのやりとりになっていくから、より一層そういう瞬発力が大事な作品だなと思います。

鈴木 うん。たぶん相当カロリーを消費するんじゃないかな。

――役者としての初共演で楽しみなことはありますか?

山本 ロナルドって意外と小心者な一面もあって、周りを気にして、どんどんおかしくなっていっちゃったりするようなところもあるんですけどそういうところを鈴木さんがどう演じるのか楽しみだなっていうのはありますね。

鈴木 ハハハ。2人ともキャラクターにすごく素敵な特徴がたくさんあるので、お互いにどれだけ明確に魅力的に演じられるのかも大事にしたいですよね。

山本 それぞれのキャラクターをどう表現していくのかっていうのは、お互い気になりますもんね。初共演だからこそ、この作品に対して一緒に悩んでいけたらなと思っています。

鈴木 そうだね。

――ドラクルとロナルドとしてコンビ関係を深めるために、お稽古以外で何か一緒にしたいことはありますか?

鈴木 何かします?

山本 ほんとは飲みに行きたいですけどね。

鈴木 今は難しいから、『吸血鬼すぐ死ぬ』のゆかりの場所、新横浜にでも行く?

山本 アハハハハ!シンヨコデートですか?

鈴木 うん。シンヨコ行ってみる?

山本 僕、その辺行ったことないので。

鈴木 僕も、そんなに詳しくないけど。

山本 聖地巡り、行きましょう(笑)。

――是非、聖地巡礼していただくということで(笑)。最後に、読者への熱いメッセージをお願いいたします?

山本 1月からアニメの第2期も始まって、作品に注目が集まっている中で、舞台化という新たな形で盛り上げに携わられることが本当にありがたく思います。だからこそ、お客様の期待を裏切らないように、笑いと愛がこもっている作品にしたいと意気込んでいます。本当に突飛ですごいキャラクターたちが揃っていると思うので、何も考えずに楽しんでいただける作品になるんじゃないかな。ちょっとでも気になる方がいらっしゃいましたら、劇場に笑いに来ていただけたらなと思っております。

鈴木 “まったく同じ”です!

山本 アハハハハ!

鈴木 まだまだ大変な世の中ですけれども、心の底から笑っていただいて、その日一日幸せな気分になれるような作品にしたいと思っていますので、是非、劇場へ!

取材・文/井ノ口裕子

©盆ノ木至(秋田書店)/舞台『吸血鬼すぐ死ぬ』製作委員会2023