特集!マーベラスのステージの魅力!! 制作スタッフインタビュー

わたしたち、こんなところをこだわってます ~スタッフウラ話~

 

【Q1】通常の舞台作品の常識から外れるような、マーベラス作品から生まれた表現方法や手法はこれまでにありましたか?ある場合は、どういったものがありました?実現までの過程や苦悩、実現した結果どのような変化が生まれたのかお聞かせ下さい。

【Q2】マーベラス作品に携わる上でのこだわりや気を付けていることがあればお聞かせ下さい。

 

■衣裳 惠藤高清
【A1】
これまでに多くのライブ衣裳やTV、映画などの衣裳を製作してきましたが、舞台衣裳はそれらとは一線を画すものだと感じています。アーティストのライブ公演では、一度脱いだ衣裳を再び着用する事はまずありませんが、舞台作品では2度、3度着用します。過去には1公演で20回以上着替えがあったキャストもいました。
舞台作品に携わるようになってから、汗をかいていても脱ぎ着しやすい裏地に変更したり、様々な早替えの加工を試してみたり、キャラクターのイメージを損なわないように着崩れの対策をしたりと、それまで以上に多くの点で苦悩する事が増えました。さらに、1週間のうち6日間は公演があり、1日に2公演の場合もありますので、洗濯やメンテナンスもしやすくする必要があります。
本番中は着崩れしないように固定している箇所であっても、メンテナンス時には簡単に着脱出来なければ、洗えない衣裳になってしまいます。簡単に着替えられて、着崩れず、すぐに洗える状態を作らなければならず、毎回悪戦苦闘しています。

【A2】どの作品でもそうなのですが、お客様の前でキャラクターを演じるのはキャスト自身なので、少しでも衣裳に関しての不安要素を取り除けるように、着用する本人の声を聞くようにしています。
「丈を1cmほど短くしたい」「ここを固定したい」など、着用してみるとたくさんの調整箇所が出てきます。そういった点をひとつひとつ解消していく事が、パフォーマンスの向上にも繋がると思っています。

 

■ヘアメイク 古橋香奈子
【A1】
舞台の常識がまだまだ分からなかったので、自分の感じることや思う事で動いた感じです。

【A2】なるべく思い通りに好みのものになるように、たくさんキャストやスタッフとかと話す事を大事にしています。動いた時にも綺麗に動いて不自然にならないように、本人の骨格や顔に馴染むようなヘアとメイクのバランスを心がけています。

 

■フォトグラファー 金山フヒト
【A1】
舞台『弱虫ペダル』の話になります。風を吹かせ衣裳をはためかせてスピード感を出したかったのですが、衣裳のサイクルジャージは風の抵抗を受けないためはためかせる事が出来ませんでした。
悩んだ挙句スモークマシンを使いスピード感を表現してみました。ロードバイクで走っているというマイムと煙が生み出すスピード感によって他の舞台のビジュアル撮影より間違いなく圧倒的な躍動感を表現できたと思います。

【Q2】被写体を情熱的に煽りながら冷静に撮ること。

 


■宣伝・物販デザイン 羽尾万里子
【A1】
舞台『弱虫ペダル』の4作目(インターハイ篇~The Second Order~)では、陰影を強調してアスリートのように撮影するという、生きている人間ならではの撮り方を採用しました。当時は、2.5次元舞台作品ではあまり見られなかった空気感でしたが、その後、スタンダードになって行ったように思います。
舞台『刀剣乱舞』では、他の原作舞台とは違い原作の設定を生かした舞台ならではの物語が展開されるため、宣伝・物販ビジュアル共に、観る前には「これはどういう意味なんだろう?」と物語を想像し、観た後には「そういう事だったのか!」と膝を打つようなデザインになるよう、事前に頂いた脚本を参考にコンセプトを設定し、それを実現すべく撮影プランからカメラマンさんも含めて入念に打ち合わせをしています。
撮影方法、デザインの細部の意匠などに意味を込める事で、お客様に一種の謎かけのように盛り上がって頂くという、観劇時間外での楽しみ方が生まれたのではないかと思っております。

【A2】キャストさんの美しさは勿論なのですが、なによりも、その方の演じる物語が伝わるビジュアルにしたいという思いがあります。ビジュアルを見た時に、「このキャラクターはどんな想いを抱いているんだろう」と思って頂けるように、撮影時にキャストさんに表現したい場面や感情をお伝えし、それがより引きたつ写真選びや加工になるよう、作業中は常に心がけています。特に物販ビジュアルは、舞台という作品形態にとっては、視覚的に思い出を持ち帰る数少ない方法でもあるので、お客様の舞台を見た時の心揺さぶられる感情や、鮮やかな印象が蘇るものにしたいと考えています。

 

■映像収録 畑井和佐
【A1】舞台千秋楽公演を映画館でライブビューイング上映したり、インターネットでのライブ配信を積極的に取り組んでおります。舞台はコンサートやスポーツ中継とは違い、ストーリーや俳優のセリフや動きも撮影していかなければならないので、事前に本公演を各セクションのスタッフが観劇し、撮影のシミュレーションを行うなど、撮影クルーの連携がとても重要です。いつも、撮影の演出家やスイッチング、カメラマンを中心に、撮影クルー全員にとても良い仕事をしていただき、クオリティの高い中継が出来ていると思います。
また、撮影するにも舞台のスタッフの協力が不可欠でして、カンパニー全員で映像の中継に取り組んで頂き、良いものを提供出来ていると思っております。そして映画館は大画面での視聴なので、あまり俳優に近すぎる映像はお客様が酔ってしまう為、引いた映像を多く使うよう心掛けております。逆にBlu-ray/DVDでは視聴環境がテレビなので、俳優に寄った近い映像を多数入れ込んだ編集にしております

【A2】舞台を収録した映像を見ても、見る人が引き込まれるような映像を作りたいと心がけてます。生の舞台は、やはり目の前に人がいるのでとても臨場感がありますが、DVDで舞台を見たときに、生の舞台とは違った面白さを感じてもらえるような作品つくりをしているつもりです。舞台の上で演じているのは俳優です。もちろん演じている間は、遠くからではわからない表情の変化や目の動きなどがたくさんあり、それを見せることが出来るのは映像ならではだと思ってます。
そして、TVドラマや映画と同じように舞台を映像で見せるのはとても大変なんです。ドラマや映画は被写体に対してカメラの位置を自由に設定でき、そのカメラ位置に合わせて照明を作り、撮影側のタイミングで演技をスタートしてもらいます。舞台撮影は本番中に行うので、当然カメラの位置は動かせず、演技も撮影のために止めてやり直して頂く事は出来ません。2時間~3時間のものをほぼ一発撮りなのです。
そんな中で撮影している映像が、まるで映画と同じようにストレスなく見ることが出来るのは撮影クルーが裏で本当に頑張っているから成せる事なんです。

 

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